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兄の仇はローレライ!?

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兄の仇はローレライ!?

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〜エピローグ〜

「大分集まりましたわね」
イングリット・ネルソン(いんぐりっと・ねるそん)はうんっと頷く様に海のモンスター退治という名目で集まってもらった勇士達を見て、傍らに立つパッフェル・シャウラ(ぱっふぇる・しゃうら)にはっきりと聞こえるように囁いた。
「そう、ね」
パッフェルはとてもはっきりとした口調でどこか誇らしげに答える。パラミタ全体から見れば些細な問題であるこの事件にこれだけの人間が手間暇を掛けてここにいる事実に嬉しく思ったのだろう。
今二人が話しているのはパラミタ内海にある中型帆船などが停泊している港の桟橋。そこに今回のモンスター退治の為に集まってもらった、ほぼ全員が集まっていた。
各々それぞれの準備を整えていて、用意の良い事にちらほらと小型飛空艇や箒など飛行性能を持ったアイテムを持ち出しているものもいる。今回の戦闘が激しくなればこの用意した帆船自体が沈没する可能性も大いにあると分かっての事なのだろう。まぁ万が一なのだが……。
 しかし、相手はどんな敵なのだろうか?船を簡単に沈没させてしまうような力を持っているのだから相当な強敵なのは間違いない。ただ、ここに集まった勇士達には未知の敵に対する恐怖は感じ取れない。むしろ楽しんでいるような、そんな雰囲気さえある。
「ローレライさんが原因ではないとすると誰が、兄の船はなぜ沈没したのでしょうか?」
アイラは怒りと不安、そして疑問に満ちた表情で呟いた。
アイラは兄の仇、ローレライに復讐する為にここまでやってきた。それが違うと分かって今まで真っ直ぐに向けていた憎悪のやり場に困っていた。
「私ではないんです。だからと言って私以外のローレライという事も無いのです。一体どんなモンスターの仕業なのでしょうか?」
ローレライもアイラ同様に不安な気持ちでいた。ただ、無実である証明よりも事件を単純に悲しんでさえいるような感じである。
「船を……沈める……だけの……力と、恐らく人を……操る力、もちろん……魅了なんてレベル……ではない。強敵……というのは……間違いないわ」
 パッフェルは神妙な面持ちを見せるがどこか力強い意志が感じ取れた。
「そうですわね、けれどこれだけのメンバーがいれば間違いはないでしょう。」
イングリッドはそう言って、集まった人達の前へと歩を進める。一瞬周囲の視線が一人に集まる。
「みなさん、今日はわたくし達の呼びかけに集まっていただきましてありがとうございます。早速なのですがわたくし達が用意した帆船に乗りこんでいただきます。その後の行動を制限する事は特にないのですが命の保証はしませんので。個人で別行動を希望の方は申し出てください。今回はモンスターの全長、特徴が未知数ではありますがみなさんの臨機応変な対応を期待しています。それではよろしくお願いしますわ」
 イングリッドがそう告げるとみなは帆船に向かって移動を始めた。
 「さぁ私達も行きましょう。」
 「ええ……そうですね」
 そう行って、帆船へと向かった。