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リアクション
「危ない!」
レティシアとノノンの前に黒崎 竜斗(くろさき・りゅうと)が緑竜殺しで受け止めブレイドガードではじき返した。
「大丈夫ですか!?」
「あちきは平気」
駆け寄ってくるユリナ・エメリー(ゆりな・えめりー)。
「少女を人質に取るとは卑怯な連中だ。私たちで粛清してやろう!」
「せっかく美味い酒を飲んでたってのに、邪魔するとはいい度胸してんじゃねーか」
ミリーネ・セレスティア(みりーね・せれすてぃあ)はそう意気込み、セレン・ヴァーミリオン(せれん・ゔぁーみりおん)は苛立ちを隠さず敵を見ている。
「なら良かった。ここは俺たちに任せて後ろに隠れてな」
「ありがとねぇ」
レティシアをノノンだと思いそう言ってくる竜斗に、レティシアはノノンのふりをして答え返す。
ノノンには話さないよう人差指を口に当ててみせ、ノノンの影に隠れるような素振りでノノンの守りに徹したレティシア。
「おい、そこの四人は妹に危害がないよう守備に当たってくれ」
「なに言ってるの!? 私たちだって戦えるよ!」
一緒に戦うとばかり思っていた郁乃は慌ててそう言う。
「竜とユリ、それにミリ―がいれば大抵の事は片せる」
「そういうことだ。……我らが正義の鉄槌、受けるがいい!」
「オレの至福の時を邪魔した報いを受けてもらうぜ?」
不敵に笑うミリーネとセレン。
緑竜殺しを構える竜斗とグレネードランチャーを敵に向けるユリナ。
「さて、お前らは俺たちのコンビネーションにどれだけもつかな!?」
「弱い人を人質に取るような人たちなんて、許せません! 少し痛いですが、我慢して下さい!」
郁乃たちをそのままに竜斗たちは敵の中へ突っ込んで行く。
「わ、私たちも手を貸してここは一気に…」
「待て、郁乃」
「どうしてよ!? アンタル?」
「見て分からないか?」
アンタルに言われて竜斗たちの戦闘を見る郁乃。
そこでは竜斗を援護するユリナとそれを受けて動き回る竜斗のコンビ。
別の場所ではお互いがお互いの背を預けて戦っているミリーネとセレンがいた。
「セレン殿!援護は任せた!私の背中は預けたぞ!」
「今回ばかりは援護してやるぜ、ミリー! お前こそしっかりオレの背中を守れよ!?」
サリッサの長い槍を器用に使いこなすミリーネと機関銃で一気に敵を一掃していくセレン。
「非道な相手に容赦はせんぞ!」
「五体満足で明日を迎えられると思うなよ!?」
次々に沈んで行くヤンの部下たち。
「すごい……」
「俺たちが俺たちなりのコンビネーションで進めていくように、あいつらにだってコンビネーションっつうもんがあるんだ。それを俺たちが崩していいもんじゃない」
「ノノンさん!」
郁乃たちが竜斗たちの戦いを見ていた時、レティシアとノノンの方へ飛びかかってきた猛獣にミスティが気付き、プティフルスティックで受け止める。
「ノノンさんには指一本触れさせません!」
天のいかづちを呼び、飛びかかってきた猛獣は焼け焦げて死んでいった。
「みんな、彼の言っていた言葉を聞いてなかったの? 彼はレティとノノンさんを守るよう言っていたでしょ!?」
「ミスティ」
「敵を倒す前に肝心なノノンさんが連れ去られては本末転倒よ!」
「ミスティ!!」
レティシアに危害が及びそうになり、興奮ぎみなミスティを一括するレティシア。
「あ…ご、ごめん」
「確かに今回は気が逸れていたかもしれない。でも、ミスティがちゃんと守ってくれたでしょ? だからねぇ」
「うん」
「あちき、わざと捕まろうと思うんだぁ」
レティシアの言葉はミスティ以外にも驚きを抱かせた。
「な、なんで?」
「だってここで騒ぎが大きくなって今度こそ脱出できなくなるかもしれないでしょ? だから、あちきがノノンさんとして捕まればこの騒動も収まると思うのぉ」
「でも、だからと言って」
ミスティは反対しようとするが、レティシアの決心した表情を見てその作戦を受け入れた。
「分かったわ」
「ありがと。じゃ、あちきが合図を出すまではしっかり守ってねぇ」
チャンスを見計らう郁乃たちの面々。
「……彼に捕まるわねぇ」
守りを固めていた郁乃たちにそう言って隙をわざと郁乃たちは作る。
「捕まえたアル!」
「は、離して!!」
レティシアは自分の腕を掴んでいる敵から逃げようともがく。
「ノノンさん!」
「彼女を離しなさい!」
「そうはいくカ! いったんこいつらを放ってヤン様の所へ行くゾ!」
レティシアを捕まえた部下はこの場を去っていく。
「そうはいくかよ!」
レティシアの作戦を知らない竜斗は引き留めようと緑竜殺しを振りかぶる。
―――ザシュッ