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リアクション
切り落とされたのはレティシアを捕まえた部下ではなく、アンタルが飛ばした猛獣だった。
「は?」
驚いてアンタルを見る竜斗とユリナ。
ミリーネとセレンも同じようにミスティのブリザードに邪魔され進むことが出来なかった。
生き残った僅かな部下たちはレティシアと共に逃げ去り、残されたのは数十大の猛獣だけ。
「なぜ俺たちの邪魔をした?」
「そうです。なぜですか」
「おまえらは一体なにがしたかったのだ」
「まんまと敵に人質を捕られてしまいやがって」
それぞれがそれぞれの怒りを郁乃たちにぶつけてくる。
「あ、あの…これは」
「説明は後でゆっくりしようぜ!」
「来ます!」
竜斗たちは竜斗たちのコンビネーションで、郁乃たちは郁乃たちのコンビネーションで一気に猛獣を倒していった。
敵はいなくなり、増援もなくなると話を切り出すミスティ。
「ふぅ……あのね、これはレティの作戦なの」
「作戦?」
「えぇ。このままだとノノンさんを逃がす事ができなくなってしまうからと、わざとレティが捕まったのよ」
ミスティと郁乃たちの言葉についていけない竜斗たち。
「えーと、つまりですね、ここにいる彼女がノノン様なんです」
「そしてさっき捕まったのが、ノノンに変装したレティシア」
「だからここにいるノノンさんを連れて早く館から出ればなんの問題もないの」
そこまで言うと竜斗たちも連れ去られたのがニセモノのノノンことレティシアで、レティシアの服を着ている彼女が人質だったノノンだと理解できた。
「なら、さっさとここを脱出してあの酒場に行くか」
「なんで酒場に?」
「あそこは俺たち以外にも契約者がいるだろ? ここでレティシアを助けに二組に別れてもし捕まったりしたらそれこそ元も子もないだろ」
「そうですね。それに私たち以外にもこの館に潜入した人がいますし、大丈夫でしょう」
竜斗たちと郁乃たちはノノンを連れて館を脱出することになった。
◇ ◇ ◇
出口付近までなんとか来れた竜斗と郁乃たち。
「出口に近づけば近づくほど倒れてる敵が多いね」
「そうだな」
「もしかして、これって」
ゆっくりと周囲に気を配りながら進んでいると、今まで外の木の上で様子を見ていた庚が現れる。
「敵か? それなら容赦はせぬぞ」
「あとわずかなんだから邪魔するなよな」
いつでも動ける体勢で庚を見る面々。
「待て…俺はアンタらの脱出に手を貸そうと思っただけだ」
「本当か?」
「あぁ…このまま真っ直ぐ行くとヤンの部下の中でも上位に当たる各の奴が何人も集まってる。ここを迂回していけ。俺が陽動をかける」
対物ライフルを発射させる庚。
足音がこちらにやってくる。
「なにをしてる…早く行け」
「……助かる!」
「もうちょっとで外だからね!」
「はいっ」
竜斗と郁乃たちはノノンを連れて庚が教えた方向へ走っていく。
ノノンたちが見えなくなると、上位各の部下が庚に迫ってくる。
「フレンドリーファイアとかはシャレにならないからな…」
レビテートで浮かぶと、弾幕援護とサイコキネシスでヤンの部下たちを攪乱させつつ次々に仕留めていく。
「…しゃらくせェ。ちゃんと逃げ切ってくれよ」
ちらりとノノンたちが逃げていった廊下を見やる庚。
そこへ唯斗が命じて館に潜入していた下忍たちが現れる。
「助太刀致す」
「あんたらは…」
「唯斗様の下忍の一人、黒夜」
「同じく新月」
「影乃」
簡単に名前だけ言うと集まった部下たちにそれぞれ向かっていく。
庚も三人の存在を気にしながら銃を撃っていった。