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【WF】千年王の慟哭・後編

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【WF】千年王の慟哭・後編

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「くぅッ!」

 Mと戦っていたラルクは、敵の放った真空波を巧みな体術で回避する。
 そしてすぐに自分も攻撃を繰り出した。
 ふたりの攻防を激しいものとなる。
 そんな中、強盗 ヘル(ごうとう・へる)の放った銃弾がMに向かって飛んできた。
 それに気づいたMはロケットシューズを噴かして宙へと舞い上がる。
 すると、そこには床を蹴って飛び上がっていたザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)の姿があった。

「覚悟してくださいッ!」

 彼は両手に握っている天のカタールと地のカタールを疾風迅雷の動きで振るう。
 その素早い太刀捌きに対抗できなかったMはその身を仰け反らせて、地上へと叩き落される。

「そろそろお前等の顔も見飽きてきたぜ、地獄へ落ちな!」

 ヘルが機晶スナイパーライフルの照準を態勢の整わないMへと合わせる。
 そして鉄爪を引いた。

「――!?」

 Mはその攻撃に気づいたが、時すでに遅し。
 狙い済まされたヘルの一撃は、Mの急所へと伸びていく。
 だがそんなMの前に、ダークヴァルキュリーの羽をはためかせて東 朱鷺(あずま・とき)が突如として現れる。
 そして彼女は、Mの腕を掴むとそのまま宙へと舞い上がった。

「見つけたのです、マリアンヌ」
「……何者だ?」

 突然現れて自分を助けた朱鷺に、Mは油断のない視線を向けてそうつぶやく。
 そんなMの視線を受けながら、朱鷺は口を開いた。

「朱鷺は従者を求めています」
「……それは私には関係ないことだ」
「関係あります。朱鷺は、マリアンヌ。キミが欲しいのです」
「……残念だが、私の命はウィアード様のものだ」
「ウィアード様? それはあなたの契約者ということですか?」
「……」
「答えたくないのなら、それでもいいです。でも、朱鷺はキミが欲しいという気持ちを曲げるつもりは無いのです。だから朱鷺は、キミの言う”ウィアード様”に会わせてもらいたいのです」
「……何を企んでいる?」
「企む? 朱鷺は何も企んでなどいません。ただ朱鷺は、朱鷺の心の望むままに動いているだけです」

 と、宙に浮かぶMと朱鷺に向かって熊楠 孝明(くまぐす・よしあき)の放ったニューラル・ウィップが伸びてくる。
 ふたりはその攻撃をかわし、地上へと降り立った。

「いけ、マリオネットたちよ!」

 とそこへ、考明の命令を受けた等身大マリオネットたちが襲い掛かる。
 だが、Mと朱鷺はそのマリオネットたちを撃退した。

「君は……いや、お前は間違っている!」

 と、ニューラル・ウィップを巧みに操る考明が、Mを容赦なく攻め立てる。
 考明はMに対して怒りを覚えていた。

「お前は自分の命を仕える主の物と言ったな。ふざけるなよ。お前の命は、心は、お前自身の物だ!」
「それなら、この命をどう使おうが……それは私の勝手だ!」

 Mはそういうと、覚醒型念動銃で増幅した念動力をぶつけて考明を吹き飛ばす。
 と、そんなMの肩にちょこんとわたげうさぎ姿の天禰 ピカ(あまね・ぴか)が乗った。

「ぴっきゅう!(隙ありなのだ!)」

 考明が戦っている間に、隠れ身と超感覚を駆使してMへと密かに近づいたピカは、口に咥えていたブロウガンから吹き矢を吹き出した。

「――ッ!」

 首筋に走った痛みで気づいたMは、ピカを払い落とす。

「マリアンヌ、大丈夫ですか?」

 朱鷺がそう声をかける。
 その声に、Mはうなずいて答えた。

「……たいしたことはない。戦える」
「そうですか、では戦いを続けましょう」
「……おまえ。仲間を裏切って、私に力を貸すというのか?」
「言ったはずです。ウィアード様に会いたいと……だから朱鷺は、その願いを叶えるための行動をしているだけです」
「……勝手にしろ」
「そうします」

 Mと朱鷺はそういって会話を終えると、戦闘態勢に入る。
 ヒト型になって起き上がったピカと考明もそんなMたちと戦う態勢をとった。
 そんな時、契約者たちの元に外からの斥候が到着した。