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【架空大戦】絶対無敵! 僕らが奇跡!

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【架空大戦】絶対無敵! 僕らが奇跡!

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06:要塞突入、奮闘の国軍

「要塞から新手が飛び出したであります」
 吹雪のリポート共に、要塞から出撃するロボットやら巨大生物やらの映像が流れてくる。
「って、こっちに向かってくるよ!」
 コルセアの言うとおり、要塞の周囲をうろちょろしていた吹雪にも敵が差し向けられたようだった。
「葛城少尉、退避しろ!」
 そう呼びかけたのは飛空艇部隊の天城 一輝(あまぎ・いっき)少尉だった。
 一輝の呼びかけを受けて、急降下をかける吹雪。それと対照的に上昇する一輝の飛空艇。
 S-01の速度についていけず、オリュンポスのロボットは狙いを一輝に変更する。
「それを、待っていた」
 一輝は敵の銃口が自分に狙いを定めたのを感じると、飛空艇のエンジンを切る。
 エネルギーを絶たれた飛空艇は、物理法則に従って自由落下する。
 ロボットが同士討ちをする。
 10メートル落下すると、一輝の飛空艇は自動的にエンジンが再起動する。浮力を取り戻した飛空艇は、機械類のレーダー波の死角に潜りこむことによって自らの姿を隠し、関節部分などの脆い部分を狙って機銃の掃射を行う。
 地面に設置して使うタイプの大型機関銃を積んだ飛空艇はバランスが悪い。それ故機首を浮上させてから射撃を行わなければならないのだが、それが逆に敵の意表をついたようだった。
 機首をあげ後部機関銃で掃射する。ニヤリと笑う一輝。敵の驚愕の気配が操縦に伝わる。
 モニタリングカメラを狙い撃ちして目を潰す。撃墜する必要はない。味方が戦いやすいように弱体化すれば良い。それが一輝の戦いだった。
 
「まったく、なんてベタな悪の組織なんだ……」
 笠置 生駒(かさぎ・いこま)は愛機のジェファルコン特務仕様――センサーや装甲を追加したマントをつけている――を駆って戦場の空を駆け抜ける。
「ターゲット、ロック……ショルダーキャノン発射!」
 肩に備え付けられた大砲が火を噴く。敵は一輝によってモニターを潰されているのでレーダーに頼る回避しか出来ないので、外れることはそうそうなかった。
「それにしても獣臭いな……」
「生駒! 誰が獣じゃ!」
 生駒のつぶやきに、サブシートのジョージ・ピテクス(じょーじ・ぴてくす)が激怒する。
「五月蝿い猿!」
「ハエなのか猿なのかはっきりせい!」
 あまりに頭に血が回りすぎてどうでもよいことに反応するジョージを、生駒はスルーして「ほら、レーダー読み上げて」と促す。
「おお、そうじゃのう。 2時から3時の方角に敵3。後方にはなしじゃ」
「了解」
 生駒は敵をロックして多弾頭ミサイルを発射する。
『よし、よくやった』
 被弾した敵を第六天魔王が屠っていく。
「攻撃力が違うね……さすがは勇者、かな?」
 生駒のつぶやきに、ジョージは頷く。
「さりとてわしらはやれることをやるだけじゃ」
「そうだね……次の敵は?」
 生駒の問にジョージはレーダーを見ながら答える。
「9時の方向から熱源反応あり。ワイバーンクラスじゃな」
「おーけー!」
 生駒は機体を加速させると、勢いに乗ってビームサーベルでワイバーンを二枚に下ろす。
『さて、要塞の周辺の敵が減ってきたね』
 朋美がそう言うと、忍が『そろそろ突入するか!』と応じて機体のエネルギーを増加させる。
「爆ぜよ、割く風!」
 エネルギーが上空に積乱雲を呼び、激しい嵐が巻き起こる。
 飛行している敵の巨大生物やロボットが気流に動きを奪われ、接触して墜落するが、街や味方には一切被害を及ぼさない。
 そして嵐が過ぎ去った後には、飛んでいる敵はいなかった。
「馬鹿な……全滅だと……」
 要塞の中で、逆光を受けてシルエットしか見えぬ男が、呆然として思わず呟くほどには衝撃的だった。
「大丈夫じゃ。まだ結界やら幾人もの勇士がおるわい」
 玉藻 御前(たまも・ごぜん)が男にそう囁く。オリュンポスの副首領の玉藻がそばに居てこのような口をきく人物。それは自らをクロノスと名乗るドクター・ハデス(どくたー・はです)その人以外にはありえなかった。
「それもそうだな、御前」
 クロノスは納得すると、椅子に深く座り直した。
 だが、その目論見は外れることになる。

「要塞自体に結界が張ってあるのか……」
 フレイがそう言うと、忍が「任せろ」と叫ぶ。
「行くぞ信長!」
「応ともよ!」
 意思を確認し合い、ボタンを押す。リミッター解除……全てのエネルギーを使い切る代わりに強力な必殺技を放つことができる奥の手だ。
『みんな、後は任せた!』
『第六天魔王よ、その真の力を見せるのじゃ!』
 忍と信長の声に答え、エネルギーを開放する第六天魔王。
 要塞の銃座からの攻撃をバリアで防ぎ、残像を残すほどの高速で動き回りながら無数の銃弾で要塞の壁面に穴を穿つ。
 その穴を結ぶと線になり、その線は第四の結印を描く。
『さあ、要塞の壁をぶち破るのじゃ! 第六天魔砲・天! 発射じゃぁああああああああ!』
 オリュンポスの要塞砲に勝るとも劣らないエネルギーを持つ超威力の砲撃が、要塞の外壁を襲う。
「おっと拙いのう。そろそろ潮時じゃな」
 衛はそうつぶやくと、転送のルーンでメイスンとプリンを連れて要塞から抜けだした。
『おおおおおおおおおおおおおおお!!!』
『いけえええええええええええええ!!!』
 信長と忍の気合が、第六天魔砲・天の威力を上げる。
 迸るエネルギーの奔流は要塞の外壁に大穴を開けると静かに消えた。
 それと同時に、第六天魔王が粒子となって虚空に消え、忍と信長は学校に転送される。
「よし、穴が開いた!」
 フレイがガッツポーズを取って機体を動かす。
「あらら……結構やばいんじゃない? ボス」
 ルーシッド・オルフェール(るーしっど・おるふぇーる)がクロノスに通信を入れると、クロノスは「そういえばお前達がいたな」と答える。
「出ようか?」
 瀬乃 和深(せの・かずみ)が問いかける。
「頼もう。傭兵として高い金を払っているのだ。少しは活躍してもらおうか」
「了解。ゼアシュラーゲン、出る!」
 そして勇者たちが{ICN0004490:機動城塞オリュンポス・パレス}に突入すると、何もいないはずの空間に、突如としてロボットが現れた。
『ちょっと待った。ここを通りたければボクを倒していくんだね』
 ルーシッドが不敵に笑う。
『望むところだぜ!』
 恭也が歌舞く。
『ここは俺が抑える。お前たちは先にいけ!』
『でも!』
 そういう美羽に
『駄々をこねるもんじゃない。子供は大人の言うことは聞くもんだ。久しぶりに空を飛んだが、まだ技量は鈍ってない。行け、子供たち!』
『そうだな。行こうぜ!』
 勇平がそう言うと、アポロンが『同意します。今は時間が惜しい』と賛意を示す。
『わかった。負けないでね』
『当たり前だ。俺はお前らとは経験値が違うんだ。そう簡単にやられはしないぜ』
 美羽の投げかける言葉に、恭也は自信たっぷりの笑みを浮かべて答える。
『じゃあ、この場は任せたわよ、恭也君。さあ、皆、行きましょう』
『はい、先生』
 イーリャが促すと、生徒たちはおとなしく従った。
『さあ、行け!』
 そして、勇者達が機体を動かすと、『行かせないよ!』そう行ってルーシッドが妨害をしようとする。
『させるか!』
 恭也はそれに対してツインレーザーライフルでゼアシュラーゲンを牽制する。
『邪魔を、するなあああああああ!』
 頭に血が上ったルーシッドは、風斬剣でラーズグリーズに斬りかかる。
『踏み込みがあまい!』
 恭也はシールドでそれを防ぐと、デスサイズを横一線に薙ぐ。
『くっ!』
 間一髪でそれを回避するとルーシッドはステルス状態に移行する。
「遮蔽状態に入ったか……だが……」
「熱源探査に切り替えます。敵機は後退中……接近に切り替わりました。15度の角度より攻撃来ます。回避を!」
 そのエグゼリカの判断と指示が、恭也を救った。
 回避行動をとったラーズグリーズのいた空間に、ゼアシュラーゲンの斬撃が振るわれる。
『回避した!?』
『ステルスも完璧じゃないんだぜ、お嬢さん!』
 驚愕するルーシッドに恭也は不敵な笑みを浮かべる。
『このおおおおおおおお!』
 激高してバスターライフルを何発も発射するルーシッド。
 恭也はそれを圧倒的なテクニックで回避する。
「落ち着け、ルーシッド」
 和深が、冷静にルーシッドを諭す。
「う、うん……」
 落ち着きを取り戻したルーシッドは、再度ステルスモードに移行する。
「奴にステルスは効きそうにないな……リミッターを解除しよう」
「本気?」
「ああ」
 和深の判断に驚くルーシッドに、和深は冷静に説明する。敵はベテランの古参兵のような動きをしている。敵の動きに追従するには、リミッターを解除して機体の性能を全開にするしかない、と。
「わかったよ。リミッター解除。フルバースト!」
 ゼアシュラーゲンのリミッターが解除される。
「主、敵のエネルギーが大幅に上昇。機動性等の各種数値も上昇しています」
「厄介な……ランダム回避を取るぞ」
「はい!」
 恭也は各種スラスターを駆使して、回避行動を強化する。
 しかしゼアシュラーゲンはそれに追従して一気にラーズグリーズに接近する。
『いまだ!』
 和深の指示を受けてルーシッドは引き金を引く。
『お前達に与える慈悲は無い』
 和深の言葉と共に、ゼロ距離でバスターライフルが発射される。
「くっ!」
 恭也はとっさに飛行形態に変形させると、強引な機動で回避を試みる。
『まだ堕ちる訳にはいかねぇんだよ!』
 急激に上昇したラーズグリーズは、バスターライフルのゼロ距離射撃を紙一重で躱すと、再び人形に戻り、急降下しながらデスサイズを真上から振り下ろす。
『なっ……』
 息を継ぐ暇もなく、ゼアシュラーゲンは両断される。
 和深は脱出装置を作動させると、衝撃に備えた。
 脱出した直後、爆発。その爆発は要塞の内部を破壊し、更に大きな風穴を開けた。
 そして奥に進んだ勇者たちに、新たな敵が待ち構えていた。