リアクション
◇ ◇ ◇ 救護室。 そこではエイボンの書が浄化の札で正気に戻した発狂者に、リカバリを使っている。 「はい。これで大丈夫ですわ。……それにしても兄さまは大丈夫でしょうか。参加している方の中ではクトゥルフ神話に関しての耐性もあるので、そう簡単には発狂をしないとは思いますが」 別の場所ではアルコリアが治療済みの発狂者たちに、ヒプノシスをかけて眠りに誘っていた。 「ショゴスかわいい。かわいい、とてもかわいい。『てけりり』とか鳴き声ちょぉかわいい、かわいいかわいい、ほらもう怖くない。」 「ミ=ゴかわいい、ちょぉかわいい。わんわんおと同レベル、こわくないこわくないかわいいかわいい。想像してごらん、わんこと戯れる科学者系少女、萌えかわいいかわいい、ミ=ゴ萌え」 耳元でそう囁き、恐怖を萌えにと移行させている。 ルルイエテキストと魔術の真理は運ばれて来た犠牲者に、自らの魔導書に記された恐るべき内容を読み聞かせて、さらなる狂気の世界に導いていた。 「救護室でさらに発狂させてどうするのー!!」 治療よりも発狂者を創っていく魔道書たちにヘルが悲鳴を上げる。 「呼雪君!」 エメがジェイダス入りの白絹の袋を肩に担いで中に入って来る。 早川 呼雪(はやかわ・こゆき)は浄化の札と命のうねりや応急手当を駆使して介抱していた手を止め入口の方へ顔を向ける。 「どうした?」 「すいません、中にジェイダス様入ってるんですが……もうこのまま治療お願いします。決して開けないでください。正気だと本人が仰っても本当にそうなのかちょっと判らない状況なので……っ」 「袋から出さないと、ちゃんと診られないんだが(そんなに酷いのか……)」 「そう言わないでください! 本当に誰にも見せられないのです。仕切りの中で治療してください」 「わかった。そこまで言うならちょっと待ってろ」 救護室の一角に仕切りを作り、白絹の袋をその中で開けた呼雪。 「我は薔薇のけs…」 突如大声で叫び出したジェイダスに浄化の札を貼る呼雪。 少しは大人しくなるジェイダスに命のうねりをかけ、さらに命の息吹も施す。 「なかなか回復しないな。……そうだ、俺の絵を見せれば逆に回復するんじゃないか……?」 閃いた呼雪は従者の動く肖像画―自分が描いた理事長の絵―を呼んでくる。 「呼雪……その絵連れて来ちゃったの!? うああ周りの人のSAN値がー。ただの絵は動かないよ! ああ! 額に! 額に!」 動く肖像画を見つけてしまったヘルが叫びながら、仕切りの中へ入っていく。 「呼雪! ってなんでナチュラルにジェイダス理事長を膝枕してるのー!」 仕切りの中では肖像画を見て気絶したジェイダスを膝枕している呼雪がいた。 「なんだ、うるさいぞ。理事長が起きてしまうじゃないか」 「寝てるんじゃなくて気絶させたんでしょ! なんだって膝枕なんて……」 「自分の学校の理事長だぞ?」 「いや理事長だから……って理由になってないっ」 地団太を踏んでヘルはべりっと音がするようにジェイダスと呼雪を引き剥がす。 「ああん僕の膝枕がー」 「僕の膝枕がーじゃない! ほら、治療する人はわんさかいるんだよ」 ヘルは呼雪を引っ張って治療に当たらせるのだった。 ◇ ◇ ◇ エメがジェイダスを担いで行った間に、クマラは第三試合へコマを進める事が決定し、現在はエリザベートと煙のかるた取りはエリザベートが勝利をおさめ、発狂判定をしていた。 「エリザベートさん、第三試合へ進出! 続いて……待って下さい。救護班、煙さんの後ろにいた方が発狂しています! ただちに救護室へ運んで下さい」 加夜が次の対戦を伝えようとした所で、煙のそばにいた冥利が発狂していることに気付いた。 「ロリが1匹……ちびじゃり2匹……校長が……あれ皆悪プルギス!? えぇ!? 権力パネェ……もうだめぇ」 ぐったりしている冥利を分御魂たちが運んでいった。 |
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