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リアクション
プロローグ
「フォグホーンとパクト達が予定通り洞窟へと向かってきました」
「ふっ、そうか……」
暗い中、壁に背をつけた若い男が蝋燭の光によって照らされる。顔こそは見えないがおそらく笑みを浮かべていることが、伝令の男には分かった。
その暗い中でもう1人、いや複数の何かが動く陰があった。
1人の女性がゆっくりと暗闇から蝋燭の光へと、現れてきた。
「生け贄が来たわねえ……ふふふ。私は勝手に動いていいわよね魔導書様?」
「……」
その女性、斎藤 ハツネ(さいとう・はつね)は背筋の凍るような冷たい笑み浮かべながら、暗い洞窟の奥へと声をかけた。
そこにはもう1人誰かが居た。しかしその誰かは頷くそぶりも声を上げる様子も無かった。
逆に、ハツネを止める声も無かった。ハツネは「ふっ」と笑みのため息をつくと、洞窟に来る客を迎えるため暗闇の奥へと歩き出した。
「で、私もそろそろ動いてよいのですか? 村長の息子さん」
黒髪の男もハツネの後を追った。
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