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闇狩の末裔たち

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闇狩の末裔たち

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 ジャタの森に到着した調査隊第一班は、遺跡に到着するまでのプランを確認することにした。
「今日は天候にも恵まれて、なによりですね」
 未来人の開拓者(パイオニア)であるエル=ポン――愛称はエルポン先生――が、手書きの地図を大きく広げる。
 白髪混じりのパンチパーマに片眼鏡。くわえパイプからは白煙が立ち上り、裾の長い白衣に身を包んでいる様は、何だかちょっと権威持ちのようでもある。
「遺跡まではどれくらいの距離があるんですか?」
 アイリ・ファンブロウ(あいり・ふぁんぶろう)が、エルポン先生の手の内をのぞき込んだ。
「最寄りのサレイン集落までが半日、遺跡の手前にあるシグー集落までが更に2時間ほどかかりますね。遺跡まではまる1日と言ったところでしょう」
「思いのほか険しい道のりのようですけど。わしらに任せておけば、どうとでもなるであろう」
 エルポン先生の遙か頭上より地図を見下ろしている馬場 正子(ばんば・しょうこ)が、落ち着き払った様子で進言する。彼女はあくまでも補佐役に徹するようだ。
「ええ、その点は心配しておりませんよ。ご協力いただいた方々の活躍に期待しておりますから」
「エルポンは、大船に乗ったつもりデ、エンジョイしてくだサーイ」
 薙刀の鎚で地を叩いたティファニー・ジーン(てぃふぁにー・じーん)が、胸を張った。
「実に心強い。では集落を経由して遺跡へ向かいましょう。野営を繰り返すよりは安心して身を休められそうですからね」
「そうしていただけると、わしら乙女も安心であろうな」
「おココロづかい、感謝しマース。ですが、ノジュクも立派な野ブシの営みですヨ」
「私は野武士スタイルではちょっと……携行コテージなどはこちらの世界へ持って来なかったので」
「当に。アイリくん、わたしも実は何度も後悔していたんですよ。携帯居住さえあれば遺跡でもどこでも住み込みで調査が……っと、まあ仕方なしですね」
「わしも波羅蜜多の未来を覗いてみたいものですよ」
「それではサレイン集落へ向かいましょうかね。よろしく頼みます」

 エルポン先生ら一行は、ジャタの深い森の奥へと踏み込んでいった。