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―アリスインゲート1―後編

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―アリスインゲート1―後編

リアクション

 地上に降り、アリサの安否を確認するシリウスたちだったが、アリサの死体も姿も見つけることが出来なかった。
「アリサ……」
「呼びましたか?」
 突如空間を割ってアリサがシリウスの背後から現れた。
「うお!? お、おまえ生きてたのか!? というかどこから出てきているんだ!?」
 予想外の登場の仕方にシリウスが狼狽する。
「どこっていうと……パラミタでしょうか?」
「は?」
「そうです! パラミタです! 皆さんパラミタに帰れれる様になりましたよ!」
 唐突にそう言い出すアリサに、全員が驚愕の声を合唱した。


 テロリストがビルを荒らすだけ荒らして撤収した後のこと。
 アイザックは拘束を解かれて、社内の現状を確認していた。最初に確認したのはあのパッケージされた大量の脳が保管してある場所だ。
「そうか、ここはなにもなかったか……」
 安堵するアイザックに、本日予定されていた来訪者が言う。
「なるほど、これがあなた達のやっていることですか――」
 声の主、バルドル・ディン・ノース第一王子へとアイザックが振り向く。萎縮して声が上ずる。
「これは、王子様。このような場所にわざわざお越しいただくとは……」
「王代理の視察ですから。それでこれは――」
「これはその――つまりですね。先の戦争と混乱で負傷した難民を――」
「わかっています。あなた達が何をしているのかは噂もかねがね」
 王子の言葉にアイザックは息を飲む。難民を連れ去り、人体実験した挙句にその脳をサイボーグの材料にしていたのが今完全に露見下からだ。
「王からの言葉をあなたに伝えます」
 冷や汗を流すアイザックに王子が言う。
「『現状を続けるように。必要な資金があれば支援する』とのことです。僕はそれを伝えにきただけですので、ご安心ください。これも難民を助けるためのプロセスなのでしょう?」
「……は、はい! まったくもってその通りです!」
 この王子は愚者なのかそれともキレ者なのかは分からないが、今は王子の口車に乗っていよう。そうアイザック・サンジェルマンは判断した。