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リアクション
雪 汐月(すすぎ・しづく) 大石 鍬次郎(おおいし・くわじろう) 斎藤 ハツネ(さいとう・はつね) 天神山 葛葉(てんじんやま・くずは) ベファーナ・ディ・カルボーネ(べふぁーな・でぃかるぼーね) アドラマリア・ジャバウォック(あどらまりあ・じゃばうぉっく)
みんなで黙って立っていたら、外側から普通に、数回、ドアをノックされたんだ。
「は、はい。中におります」
やっぱりというか、当然というか、アドラマリアちゃんが返事をして、ドアを開ける。
無言で汐月ちゃんが、僕をかばうように前にでてきてくれました。
ベファくんは腕組みをし、平然と立ってます。
訪問者は、みたところ少女の二人連れで、彼女はかわいらしくも、子どもらしくもなかった。
「あ、ううっ、くっ、ぬぬぬ、げげっ」
僕は無意識のうちに声をあげていた。あくまで無意識だ。
コリィベルで、僕は、この子に襲われたんだ。
おぼえてる。
あの時は、今日はいない時代劇の浪人みたいな、刀を使う男もいた。
「クスクス…家具職人のアーヴィンの事件はハツネがやったの♪
三人を殺したのは、ハツネたちなの♪
自分が犯人だとか言ってる、あなたのこと、気になるの♪
クスクス…ハツネと遊びましょ♪」
右手にナイフ、左手に鎖を持った黒いドレスの彼女が、楽しげに笑いながら部屋に入ってくる。
隣には、巫女さんみたいな恰好したおかっぱ頭の女の子。こちらは、髪は白髪で、獣、おそらくきつねの耳と何本もの尻尾がはえてる。
「嘘なんかつくから悪いんですよ。
嘘なんかついて平気で人だますのは、頭のおかしい人間です。
僕は、そんなやつは、許せないんだっ!」
「葛葉は、頭のおかしな人がキライなの♪
この館には、自分が犯人だっていう頭のおかしな人が多すぎるの♪
だから、ハツネが壊して数を減らしてあげるの♪」
アドラマリアちゃんにむかって言ってるんだけど、僕が叱られてる気分になるのは、なぜだろう。
「しかたありませんねぇ。
全部、アドラマリアくんの責任らしいですよ」
「すいません。ベファ様。どうしたらよいのでしょうか」
「さっき、すでに怪我をさせたんですよねぇ。なら、その続きをしたらどうです。
キツネの血肉は、どんな味がするのかなぁ」
とかなんとか言いながらも、ベファくんも、アドラマリアちゃんも、逃げる素振りはまったくみせず、2人の少女と正対している。
戦いはすでにはじまっている! ってやつなのか。
「…私があなたを守るから……あなたはここから逃げて…この部屋をでて」
汐月ちゃんは、4人の動きをみながら、後ろに手をまわして、僕の体を押してくれた。
「…いまのうちに早く…行って」
「わかった。
汐月ちゃん。かわい家おばさんから伝言で、ありがとうございます。力不足ですいません。って」
「私は……自分にできることを…するだけ」
僕はドアにむかって走る。巫女さんのほうが僕に反応してこちらへ動きかけると、汐月ちゃんが、僕と巫女さんの間に入ってガードしてくれた。
汐月ちゃん。ありがとう。
部屋をでて誰もいない廊下をしばらく走った。