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【最後の方のアレ、元ネタは這い寄る方ではありませんよ?】

「わーい、ネズミさんが一杯だにゃ〜」
「ああ! 御影ちゃんダメですよう!
 ネズミさんなんて食べたらぽんぽん痛いになるのです!」
 街を駆ける無数の子アッシュを見つけた夕夜 御影(ゆうや・みかげ)が、じゅるり、と喉を鳴らして後を追おうとして、オルフェリア・アリス(おるふぇりあ・ありす)に制される。
「べ、別に食べる訳じゃないにゃ!
 ただ、玩具を見つけたから遊ぶだけなんだにゃ!
 決して食べたいとかそんな欲求があるわけじゃないのにゃ! ほんとだにゃ!」
「食べるって二度言ってるのにはいそうですか、なんて信じられないのです!
 確かに一杯居るから一匹や二匹や三匹や四匹食べても気づかれないかもしれないですが、ダメです! ばっちいからダメなのですよ!」
「うぬぬぬぬ〜……」
「むむむむむ〜……」
 暫く二人、にらみ合いを続けて、
「……どろん!」
「ああっ!? 御影ちゃんが消えちゃいました!」
 一瞬の隙をついて姿を消した御影をオルフェリアは探すものの、辺りに見当たらない。
「しょうがないのです……御影ちゃんを連れ戻しに夜の街に繰り出すのですよ!」
 気を取り直し、オルフェリアが御影を探すべく動こうとした所で、オルフェリアは背後に迫る何者かにすんでのところで気付き、持っていた盾を構える。
「きゃあ!」
 直後、自身を襲う強烈な衝撃にオルフェリアは盾を取り落とし、地面に倒れる。
「いたたたた……」
 涙目になりながら身を起こした所で、オルフェリアは自分を狙う何者かの姿を認める。
「シュウゥゥゥゥゥ……」
 それは、虎の姿をしたアッシュ、虎アッシュだった。やはり見かけは変なのだが、アッシュらしくない純粋な強さというものが感じられて、オルフェリアは思わず身を震わせる。
「えっと……もしかして、すっごくピンチだったりしちゃいます?」
 あはは、と笑ってこの場を切り抜けようとするものの、虎アッシュは全く構わずオルフェリアの首元を狙って跳びかかる。
「!」
 咄嗟に首元をガードするオルフェリア、虎アッシュの一撃は装備していた手甲で防がれるものの、再び襲う衝撃に手甲は外れ、装備していた腕は痺れて全く動かない。
「だ、誰か助けてくださいです……」
 湧き起こる恐怖にかたかたと震え、オルフェリアが助けを乞う。しかしこの場にはオルフェリアと虎アッシュ以外誰もおらず、オルフェリアは哀れ虎アッシュの餌に成り果てるかと思われた矢先――。

 上空から一筋の光が降り注ぎ、虎アッシュをかき消していく。

「……た、助かりましたです」
 光が消え、虎アッシュの姿も消えたのを確認して、オルフェリアはほっ、と安堵した息を吐く。
「大丈夫ですかー?」
 上から届く声にオルフェリアが首を上げれば、魔力の残滓が羽のように漂う姿で、豊美ちゃんが降りてくる。
「危ないところでしたねー。怪我とかしてませんかー?」
「…………は、はわわ!?
 あああ危ないところです。オルフェにはお嫁さんが居るのですっ」
 ぶんぶんぶん、と首を振って、オルフェリアが目をキラキラと輝かせて、首を傾げる豊美ちゃんに尋ねる。
「あの、豊美ちゃんですよね!
 オルフェ、豊美ちゃんのサインが欲しいのですよぅ!」
「ふぇ? わ、私のサイン、ですか?」
 何を言うかと思えばサインが欲しいと、色紙を差し出してワクワクと待っているオルフェリアに豊美ちゃんは、「私ので良ければー」と頷いてサインを書く。
「わー、ありがとうございますですー、大切にします」
 色紙を抱いて満面の笑みを浮かべるオルフェリアに、豊美ちゃんも何となく嬉しそうな顔になる。
「あっ、そうです。大変なのですよ!
 御影ちゃんがネズミさんを追いかけて、どこかに行ってしまったのです。探さないと御影ちゃんのぽんぽんが痛い痛いなのですっ」
 オルフェリアの話を聞いて、豊美ちゃんが顔を真剣なものにして分かりました、と頷く。子アッシュには魔法少女が一人、危ないところまで追い込まれている。二人目の犠牲者を出すわけにはいかない。
「探索に協力します、一緒に探しましょうー」
「はいです!」
 オルフェリアも頷いて、豊美ちゃんに同行する。

 ――その頃、御影はというと――。

「ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉっ、逃げるがいい逃げるがいい!
 にゃーはパラミタ最強の黒にゃんこにゃー!」
 捕まえた子アッシュの、脚を一本ずつもいで遊んでいた。非常に猫らしい『遊び』に、子アッシュは必死になって逃れようとするがそれが、御影を余計に駆り立たせる。やがて最後には達磨になってしまった子アッシュを転がして遊びながら、御影は思いつきを口にする。
「そうだ! にゃーが『らすぼす』になり替わればいいんだにゃ!
 でも、どうやったらなれるかにゃ?」
 考えて、御影は目の前でコロコロされている子アッシュを見て、キラーン、と目を光らせる。
「何かの薬を飲んでおっきくなる、ってのを見たにゃ!
 きっとこれを飲めばおっきくなって、にゃーがらすぼすになれるにゃ!」
 どうしてそう思ったのかもはや御影にしか分からない理論で、ともかく、御影はその脚を全部もがれた子アッシュを口に運び、一息に飲み干す。

「う〜〜〜〜〜〜〜……にゃーー! にゃーーー!!」

 ……そして、なんと本当に、おっきくなってしまった。
「にゃはははははは!! どうだ見ろぉ、にゃーがらすぼすにゃ!
 らすぼすは二人もいらないにゃ! 覚悟するにゃー!」
 上機嫌でひとしきり笑い、御影は巨体なのに俊敏という反則的能力を武器に、動物的直感で『らすぼす』の所へと向かう――。