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リアクション
一章
「…………」
「これが大罪を開放した結果です。無闇に力を振るう事の危険さが解りましたか?」
「わ、わかりましたわ……」
憤怒の化身に扇動され、怒り狂う蛮族達から少し離れた場所。そこにモモンガになったブリュンヒルデ・アイブリンガー(ぶりゅんひるで・あいぶりんがー)とその面々がいた。
「ふぁ……まだかにゃー」
ベル子が目の前で繰り広げられている光景を見て眠そうに答えた。
「も、もう良いかしら……いい加減行かないと……」
「本当に反省しましたか?」
先ほどからブリュンヒルデに説教しているのはザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)。
「力には常に危険が伴います。その中でも特に大きな力である7つの大罪。これはまだその氷山の一角です。やってしまったことの事の重大さ。しっかり理解していますか?」
「はい……」
「しかし……なんというかこれは……アレですね」
ブリュンヒルデの手伝いをしにやってきた沢渡 真言(さわたり・まこと)。目の前で繰り広げられている説教タイムを見て苦笑している。
「ちょっと!? 見てないで助けてくれるとかするべきですわ!」
「こら、まだ終わってませんよ」
「はい。すみません……」
本人達は至って真面目なのだろが、周囲からはどうも真面目には見えない。
「事情を知らなきゃただ、動物に注意しているだけの人にしか見えないもんな」
十文字 宵一(じゅうもんじ・よいいち)の言葉に見ていた面々が頷いた。
ブリュンヒルデは今、モモンガの状態。ザカコはそのブリュンヒルデに向かって説教をしている。傍から見ればとてもほのぼのした光景である。
「本人達は真面目なのでしょうけれど、微笑ましい光景ですわね。ですが、ザカコ様? そろそろ行きませんか? ぺロ子様も反省している事ですし。何よりあまり時間をかけると状況が悪化してしまう可能性もありますし」
「……そうですね。別にぺロ子さんと仲違いしたいわけではありませしん。むしろ、信頼できる関係を築きたいと思ってはいますからね」
ヨルディア・スカーレット(よるでぃあ・すかーれっと)の言葉が功をなし、お説教タイムは終了となった。
「ですが、良いですかぺロ子さん。力を使う時は十分注意してください」
「はい……分かったですわ」
延々と説教をされてさすがに少しは堪えたようで、しゅんとするブリュンヒルデ。
「それから私は、ぺロ子ではありませんわ! ブリュンヒルデ・アイブリンガー! ちゃんと覚えやがれですわ!」
「それじゃ、行くにゃー」
「ちょっと! ちゃんと聞きやがれですわー!」
キーキー喚くブリュンヒルデ……ではなくぺロ子を肩に乗せて歩き出した。
「だからぺロ子ではないですわ!」
「……誰に言ってるにゃぁ?」
「あ、あら? 誰かに言われたような気が……」
「それより、落ちないように気を付けるにゃー」
ここにいる全員の目的は憤怒の化身――サタ子の回収。そのためにはまず、目の前に広がる憤怒の化身によってバーサク状態と化している蛮族達を退けなければならない。
「おうおう! なんだおめぇら!」
突然現れたブリュンヒルデ達に大小様々な丸太を持った蛮族達が気づいてわらわらと集まってきた。
「すみません。憤怒の化身であられるサタ子さんに会わせていただきたいのですが……」
真言が蛮族に丁寧に尋ねるが、尋ねられた方は、俯き肩を震わせていた。
「あ、あの。どうかしましたか?」
「……俺は、俺はなぁ……」
「沢渡、下がれ。様子がおかしい」
「あ、はい」
ただならぬ雰囲気を感じ取った宵一が真言を下がらせる。
「俺は、その余所余所しい態度がだいっきらいなんだよぉーー!!」
突如、手にした丸太で襲ってきた。
「ふっ!」
スッと前に出た宵一が終焉剣アブソリュートで丸太を受け止める。
「どうやら、話を聞いてくれそうもなさそうだな」
「ちっ!」
蛮族がバックステップで距離を取る。
「そうみたいですね。なるべく穏便に済ませておきたかったのですが……致し方ありません。少々強引に相手を落ち着かせるとしましょう」
「わたくし達の出番ですわね」
「リイム。ぺロ子とベル子は任せた」
「分かったでふ」
ぺロ子達の前にちょこんと立つのはリイム・クローバー(りいむ・くろーばー)。
「あら、可愛いですわね……」
「ぺロ子ちゃんも十分可愛いと思うにゃー」
「だからぺロ子じゃないと……!」
「お話は後にしましょう」
ただならぬ雰囲気を纏った蛮族達がぺロ子達の前に立ちはだかる。
「女と楽しく喋りやがって……気にくわねぇんだよぉーー!!」
その中の一人が爆発したかのようにザカコへと殴り掛かる。
「それは、嫉妬では……?」
それを極斬甲【ティアマト】で受け止める。
「っ! 意外に重たい一撃ですねっ!」
横に受け流し、そのまま丸太を真っ二つに両断する。
「まぁ、嫉妬と怒りは似てるからにゃー。あながち間違いではないにゃー」
「詳しい話は後だ。一気に行くぞ!」
「ぺロ子さん達は私とリイムさんにお任せください」
「頼んだ!」
「では行きましょうか……!」
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