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【大罪転入生】物語の始まり

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【大罪転入生】物語の始まり

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「フハハハ! ものども! もう少しだ! もう少しで古代兵器が発射できるぞ! もう少し時間を稼ぐのだ!」
 ルシ子との戦闘が佳境に入る中、古代兵器側もちゃくちゃくと準備を進めていた。
「……ねぇ、もう壊しちゃっても良いよね? 発射されたら元もこうもないし」
 ドクター・ハデスの言葉を聞いてルカルカ・ルー(るかるか・るー)が後ろで準備をしているダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)に聞く。
「まだ時間はある。第一、勿体ないだろ。仕組みを解析して平和利用をだな……」
「ねぇ、雅羅はどう思う?」
「私? 私は破壊するというのが使命だから破壊しなきゃいけないから……」
「ほら、平和利用なんて言ってたら雅羅の使命が果たせなくなっちゃう」
「うーむ……」
「準備できたかしら?」
 偵察していたセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)酒杜 陽一(さかもり・よういち)が戻ってきた。
「すまん。待たせたな。とにかく、壊すにしても一通り解析を済ませ、作動プログラム等をダウンロードしてからだ」
「それが終わったら壊しても良いかしら?」
「勿体ないが……仕方あるまい」
「じゃあ、本気で行かせてもらうわ」
「みなさん! 古代兵器は目前です! 頑張りましょう!」
 陽菜都の言葉に全員が頷く。
「道は俺が開きます。真正面から行きますよ!」
「派手に暴れるよ!」
 陽一を先頭に古代兵器へまっすぐ向かう。
「なんだ貴様ら!?」
「邪魔だ!」
 陽一がナノバリア、ナノ攻撃強化装置、彗星のアンクレット、パスファインダー、大天使の翼で全員を強化。ブランド時計で敵の速度を低下させ、蹴散らしていく。
「あたし達も行くわよ! 古代兵器は任せるわ!」
「任せて!」
「気を付けていけ」
 陽一たちからセレンフィリティとセレアナが離脱して、蛮族達の迎撃を始める。
「俺達は兵器へ急ごう」
「だねっ!」

「さてと、楽しみましょうか」
 セレンフィリティとセレアナをあっという間に蛮族達が取り囲む。
「はっ! 女二人だけで最強の俺達を倒そうってか!?」
「ヒャッハ―! 血祭だぁ!」
「ふふっ……あんた達が、いかに惨めで虫けら以下の存在であるか……教えてあげるわよ」
「口だけは達者だな! みんな行くぞっ!」
 二人に取り囲んだ全員が一斉に飛びかかる。
「その油断が命取りよ!」
 セレアナが光術を発動。閃光爆弾代わりの目つぶしが蛮族達に直撃する。
「うおっ! まぶしっ!」
「傲慢さ故にこの程度の事も警戒出来ない……ダメね」
 目つぶしを食らって動けない蛮族をソーラーフレアで撃ちぬいていく。
「何してんだお前ら! この程度で!」
「この程度? あんたも結局その程度で終わるのよ!」 
 ゴッドスピードで加速したセレンフィリティが光術を受けなかった蛮族の後ろに回り込む。
「はっ……?」
「言ったでしょ? あんた達がいかに惨めで虫けら以下の存在であるか……ってね」
 蛮族にその身を蝕む妄執で恐ろしい幻覚を見せる。
「な、なんだこれぇ!? いやだ、こんなのいやだぁーー!! ミジンコ以下なんていやだぁーー!!」
 その幻覚を見て悶え苦しむ蛮族。
「なんて奴だ……だが、そんな精神攻撃最強の俺には……」
「俺には? 何かしらね?」
「ひっ!?」
 亡霊のように蛮族の背後に現れるセレンフィリティ。再び幻覚を見せる。
「ぎゃあぁぁぁあ!! やめろぉ! 俺はゴキブリ以下じゃねぇ! そんなみんなで俺を責めるなぁ!!」
「……なんで、虫が出てくるのかしらね?」
「こなくそ――」
「虫けら以下の存在……だからじゃないかしら?」
「ごふっ!」
 セレンフィリティを狙っていた蛮族をセレアナが撃ち落とした。
「でもまぁ、傲慢の力を得ても所詮はこの程度……か」
 セレンフィリティ達の周りには、幻覚に悶え苦しむ蛮族か、セレアナに撃ちぬかれ倒れている蛮族達しかいなかった。
「……つまらないわ。さっさと古代兵器の所に行きましょ」
「そうね」
 
「……ふぅ。なんとか来れたようだ」
 一方の陽一達も無事古代兵器のコントロール装置の元へとたどり着いていた。
「すまない陽一。おかげでこちらは体力を温存できた」
「いえ、俺の目的は味方の消耗を減らすですから。兵器の方はお任せします」
「あぁ」
「フハハハ! よくここまでたどり着いたな!」
 コントロール装置の前にはハデスが仁王立ちしていた。
「悪いんだけど、そこをどいてくれる? そっちの装置に用事があるんだー」
「断る! 俺たちの目的のため、ここで足止めさせてもらうぞ! いけっ! ものども!」
 ハデスの合図で蛮族達が襲いかかる。
「あははっ。こっちだよ!」
 ルカルカが敵を挑発するように動く。
「おい! あっちだ!」
 2023年のモテ期のおかげか蛮族達がどんどんルカルカの方に向かう。

「いっぱい来たねー」
「そこの御嬢さん! 最強の俺とデートしないか!」
「何言ってやがる! 俺とだろ!」
 寄ってきた蛮族が今度はルカルカを巡って言い争いを始めた。
「そうだねぇ。一番強い人とならデートしてあげなくもないかな♪」
「よし来たっ! おらっ、くたばれやぁ!」
 ルカルカの一言を聞いて蛮族達が殴り合いを始めた。
「いやぁ、お馬鹿さんだね。さてと、適当にボコりますかー。二人も手伝ってね♪」
「やったるでー!」
「ふん、仕方ありませんわね」
 ルカルカについてきた【七つの大罪】ぷんぷん罪娘と【七つの大罪】高飛車罪娘も攻撃に加わる。
「ぐはっ! こいつめっ!」
「よっと!」
「な、なんで御嬢さんが……ぐふっ!」
 混戦状態の中、蛮族に交じってルカルカ達が蛮族を倒していく。そんなことも相まってあっという間に数が減っていく。
「よっしゃ! 俺様が一番……」
「はーい、お疲れ様♪」
「ごはっ!?」
 最後の一人も倒して蛮族は全員地に伏した。
「うん、こんなもんだねー。さて、次っと」

「フハハハ! いけっ! 戦闘員達!」
 ハデスが戦闘員をけしかける。
「ふっ!」
「甘いなっ!」
 エリート戦闘員の攻撃を陽一が素早く深紅のマフラーで防御。
「はっ!」
「あっ!」
 陽一が攻撃してこようとしたノーマル戦闘員の武器を弾き飛ばす。
「ご、ごめんなさい!」
「ぎゃー!」
 そして、陽菜都が鉄拳をお見舞いし、地面に沈める。
「食らいなさいっ!」
 雅羅が銃で陽一を援護する。
「くっ!?」
「そこだっ!」
「ぐはっ!」
 雅羅の射撃に気を取られたエリート戦闘員を陽一が吹き飛ばす。
「……よし、接続完了」
 その間にさりげなくダリルがコントロール装置に到着し、先端テクノロジー、機工マスタリ、サイコメトリ等スキルをフル活用してデータを解析し始めた。
「むっ! させるものか!」
 気づいたハデスがオニキスキラーを構える。
「そこまでだよ!」
 だが、蛮族達を蹴散らし終えたルカルカが合流。ハデスのオニキスキラーを吹き飛ばした。
「なんと……! あの数の蛮族をもう倒したというのか……!」
「狙い通り相打ちしてくれたからね」
「なんと……だが――」
「おっと、動かない方が身のためよ?」
 何かしようとしたハデスの後頭部に【シュヴァルツ】【ヴァイス】を突きつけるセレンフィリティ。
「チェックメイトね」
「……フハハハ!」
 突然笑い出したハデス。
「……何がおかしいの?」
「俺達の勝ちだということだ!」
「発射10秒前ナノダー!」
「もう止まらないナノダー!」
 騒ぎ出したのはポムクル戦闘員さんの方々。
「うそっ!? ダリル!」
「分かっている!」
 すでに発射寸前なのを察知していたのか解析を中断し、ダリルが古代兵器の機関部を荷電粒子銃で焼き切り始めていた。
「無駄である! 一つ壊したところでこの装置は止まらぬ! 俺が調整したのだからな! そのぐらい予測済みである!」
「ちっ!」
 危険と感じダリルがすぐさま兵器から離れる。
「5!」
「セレン!」
「えぇ!」
「4!」
 セレンフィリティとセレアナが銃でありったけの弾丸をぶち込む。
「それも予測済みだ! 防弾も完璧なのだよ!」
「2!」
「こんなところまで来て……!」
「1!」
「さぁ、俺達の祝砲を上げるのだ!」
「ゼロ! ナノダー!」
『…………』
 全員が沈黙する。
「あ、あれ? 何も起きませんね?」
「ダリル。どうなってるの?」
「分からない。確かに発射目前だったんだが……」
 警戒しつつダリルが兵器の確認をする。
 バンッ! その時何かが爆発する音が聞こえた。
「えっ!? なに!?」
「……爆発する。全員逃げろ!!」
 ダリルが叫ぶ。
「えぇ!?」
「ハデス! 何か無理な改造を施さなかったか!?」
「うむ。出力が5倍になるように改造したのだが……ちょっと無茶があったか……」
 冷静に分析するハデス。
「それだ! そのせいで兵器がオーバーロードしたんだ!」
「全員退避ー!!」
 ハデスを残して全員が兵器から避難した。
「むむむ……やはりあの配線が間違いだったか……」
「爆発ナノダー!」
「爆発ナノダー!」
「そうか! 爆発……! む? 爆発?」
 そこで我に返ったハデス。だが、時すでに遅し。
 ドガーン!!! 大地を揺るがすほどの大爆発が巻き起こった。
「フハハハ! 次こそは俺達が世界征服を成し遂げるのだっ! 覚えておくがいいーーーー!!」
 そう残してお星さまになったハデスだった。