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【大罪転入生】物語の始まり

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【大罪転入生】物語の始まり

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 憤怒の化身を無事捕獲したぺロ子達。次なる目標である傲慢の化身、ルシ子の元へ向かう。途中でルシ子の元に向かっていた小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)紫月 唯斗(しづき・ゆいと)マイア・コロチナ(まいあ・ころちな)キスクール・ドット・エクゼ(きすくーる・どっとえくぜ)の五人と合流。
 古代兵器を前に奮戦しているメンバー達に気を取られている蛮族達に見つからぬように通り過ぎ、特に襲われることもなくルシ子の元へとたどり着いた。
「……ほう、よくここまで来れたものだな」
 古代兵器が設置されている敵陣のさらに奥。そこにルシ子がいた。
「さぁ、大人しく回収されるのですわ!」
「……モモンガの貴様に言われてはいそうですかと頷くわけがなかろう?」
「そうにゃぁ。せめて元の姿で言うべきにゃぁ」
「……それはあなただけには言われたくありませんわ」
 現在のベル子は唯斗の背中におぶさっている状態。ベル子とぺロ子。この二人を見て唯斗自身が二人の足になると買って出たため、このようになった。
「しかし……憤怒の化身サタ子。貴様もそちらにつくか」
 ルシ子がみんなの後ろで黙っているサタ子に目を向ける。
「……色々あったんや。あんたもやられればきっと分かるんよ……」
 若干、虚ろな目をしているサタ子。
「情熱的で熱い百合展開があったにゃぁ」
「……その言葉二度目ですわ」
「あぁ……あんな事、二度とごめんなんよー!」
「ふん、しょせん貴様等はその程度ということなのだろう。はなから油断してかかるからそのように足元をすくわれるのだ」
「な、なんやて! さっきから聞いていれば……!」
 サタ子のボルテージがぐんぐん上がっていく。
「おー、サタ子やる気だね! 私だってやってやるんだから!」
 やる気がみなぎっているサタ子を見て美羽もウォーミングアップを始める。
「その傲慢な態度。挫いてあげるから!」
「ははっ! 面白い事を言うな。良いだろう。特別に我が相手をしてやろう。全力で来ると良い。せっかくだ。貴様ら手伝え」
「おうっ! 最強の俺達に任せろ!!」
 ルシ子の言葉に待機していた蛮族達が武器を構える。
「いくでぇ!」
「いくよっ!」
 サタ子と美羽が真正面から突撃する。
「邪魔や! 弱い奴はどっかいっとき!!」
「ぐへっ!」
 サタ子の全力パンチで正面の蛮族が野球ボールのように飛んでいく。
「遅いよ!」
「見えそうでみえ……あべしっ!!」
 ゴッドスピードで加速し、脚力強化シューズによる強化された飛び蹴り。蛮族が真横に吹っ飛ぶ。どうやらスカートの中を覗こうとしたらしいが、鉄壁のスカートを持つ美羽のスカートの中を見ることは出来なかったらしい。
「……ほう、やるではないか」
 吹っ飛ぶ蛮族達を見ながらも未だ一歩も動いていないルシ子。
「余裕そうだね!!」
 ルシ子の前に現れた美羽。そのまま、飛び蹴りをお見舞いする。
「余裕……? そうだな」
 だが、その飛び蹴りを余裕で避けて見せた。
「実際に余裕なのだから仕方あるまい?」
「あれを避けられるの……? なら!」
 速度を上げる美羽。その地面に影をも残さない速度による連続蹴りでルシ子に迫る。
「む……」
「無影脚……くらえー!!」
 トドメの一撃! ルシ子は具現化させた魔法剣で防ぎきって見せたものの、かなり後方へと押し出された。
「おまけや!!」
 そこにサタ子が上空からの渾身の一撃。地面に叩き付けられたルシ子を中心に大きなクレーターが出来るほどの威力だった。
「どうや! 傲慢娘なんてうちにかかればこの程度なんよ!」
「やったね!」

 その激闘が繰り広げられている一方で、ベアトリーチェはペロ子に協力をお願いしていた。
「ブリュンヒルデさん、どうかお力を貸していただけませんか?」
「い、いやですわ……! だって、それはその……ちゅ、ちゅーをしなきゃいけないということなんですわよね!?」
「……そこまで嫌なのか?」
 唯斗の言葉に全力で頷くペロ子。
「軽くで構いません。こちらのミニバッキーとキスしていただくだけでよろしいのですよ?」
 ベアトリーチェに抱かれているのは可愛らしい子犬型機晶ロボットのミニバッキー。
「それでもですわ! ちゅ、ちゅーはおいそれとするものではありませんわ!」
「しかしですね……」
「嫌なものは嫌なんですわー!!」
 落ちないようにと唯斗の頭に居たぺロ子が飛び降りて逃げていく。
「あっ! ブリュンヒルデさん! 危ないですよ!」
「俺が行きます! ベル子を頼みます!」

「……大丈夫なの?」
 エクゼは吹っ飛ばされた蛮族達にヒールやナーシングで治療をしていた。
「……あ、あぁ。サンキュ……」
「良かったなの。これで、大丈夫なの」
「おぉ、ホントだ! しかし、なんで俺の治療なんか……?」
「それは……あなたが心配だったからなの」
「俺が心配……」
「人は助け合いながら生きていく生き物なの。そこにあるのは愛……。人は愛がないと生きていけないの。あなたにも、それを分かってほしかったの」
「愛……なんて素晴らしい!」
「分かってくれて嬉しいなの」
「俺にも手伝わせてください! その愛の素晴らしさ……みんなに伝えて来ます!」
「嬉しいなの」
 エクゼの考えに賛同した蛮族が他にも傷ついた蛮族達の手当、愛の素晴らしさを説き始めた。
「……七つの大罪の中の最強は色欲……。真実の愛って言うものを教えてあげるなの」
 そう呟いたエクゼも再び他の蛮族達の治療を始めた。

「大丈夫ですか?」
「あ、あぁ……くそっ! あんなパンチ一発で沈んじまうなんて……」
 一方のマイアも傷ついた蛮族達に話しかけて回っていた。
「……悔しいですか?」
「当たり前だ! 今まで鍛錬を怠らず日夜努力してきたのに、あんな女の子パンチ一発でやられるなんてなさけねぇ……」
「その悔しい嫉妬の気持ち……力にしてみませんか?」
「……なに?」
「その悔しいという嫉妬の気持ち。それを力に換えて、一泡吹かせてみませんか?」
「この気持ちで……どうやるんだよ?」
「ボクがそれを燃料に術を使います。だから、その嫉妬の気持ちが集まれば集まるほど大きな力になるのです!」
「……それで本当に一泡吹かせられるんだな?」
「たくさん集まれば……です」
「分かった……他にも悔しがっている奴を探してみる」
「……七つの大罪の中の最強は嫉妬です。決して憤怒や傲慢ではないですし、色欲なんてありえません」
 蛮族が行ったのを確認してからマイアがそう呟いた。