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リア充爆発しろ! ~クリスマス・テロのお知らせ~

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リア充爆発しろ! ~クリスマス・テロのお知らせ~

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 客席に、雅羅たちが心をこめて作ったケーキや料理が運ばれてきました。
「ひゃっほ〜い! メリー・クリスマス!」
 パンパン! とクラッカーが弾け、紙ふぶきが舞い散る中、クリスマスパーティは始まったのでした。
 普段は客のいないこのレストランも、今夜は招かれた参加者たちでいっぱいになっています。
 近所の住人や子供たちまで集まってきており、賑わっていました。
 自前で用意してきた一部の参加者たちを除いて、みんなタダ飯です。
 交流を深め、レストランの宣伝をするにはいい機会なのですが、肝心のオーナーのリナが病室で寝ているのは残念な話です。こんなところで散財して、立ち直りかけているのにまた破産しないよう生暖かい目で見守っていましょう。
 それはさておき。
「大勢来てくれてありがとう。派手ではないけど楽しんでいってね。皆さん、今年もお疲れ様! 乾杯!」
 雅羅が、パーティ参加者たちに挨拶しました。それを合図に、乾杯します。
 それぞれが思い思いに飲んで食べて談笑するようです。立食ではなく、各テーブルに料理が運ばれ、座席のボックスではすでにグループが出来上がっています。
「お料理足りなくなったら作って持ってくるから、どんどん食べてね」
 ミニスカサンタの衣装に着替えた陽菜都は、料理人兼ウェイトレスの役を買って出るようでした。柱の影から顔を半分だけ出して様子を見ます。
 せっかくのパーティーなのですが、客席に男子が結構います。テーブルで向かい合って食事をするなど、緊張に耐えられそうにありません。厨房に引っ込んでいたほうが落ち着くらしいです。
「なんだか、いじめられっ子が仲間はずれにされているみたいなんだけど」
 気になった雅羅が誘いますが、陽菜都は首をぶんぶんと横に振って断ります。しばらくそっとしておきましょう。そのうち出てくるでしょう。
「さて、私は」
「ウェルカム」
 雅羅は、どこの席に着こうかと迷うまでもなく、あっという間にさらわれてしまいました。
「無事だったのね、雅羅。てっきり、クリームや練乳でも頭から被って白濁液まみれになっているのではないかと、心配してたのよ」
 パーティーと聞いて葦原明倫館から駆けつけてきたルゥ・ムーンナル(るぅ・むーんなる)が、隣に座った雅羅の両手を握り締めて安堵の溜息を漏らしました。
「おかしな連中が街をうろついているみたいだけど、ここなら安心ね。一緒に、性夜を楽しみましょうね」
「いらっしゃい、ルゥ。でも聖夜の字が間違えている気がするんだけど」
 そう言いつつも、今日は災難なしの雅羅はちょっと強気です。クリスマス・バージョンの雅羅は一味違うのです。
 ルゥの他には、パートナーの此花 知流(このはな・ちるる)と、彼女らと親しい間柄の城 観月季(じょう・みつき)が、同じボックス席でスタンバっているのでした。
 雅羅は、ルゥの手をそっと解くと、彼女らをドヤ顔気味に見回しました。ちょっと待っててね! とビシリと指差し席を立ちます。
「ケーキを食べる前に、やっておかなければならないことが、私にはあるの!」
「?」
 ルゥが首をかしげている間に、雅羅はいったん奥へと引っ込み、紙袋を抱えて戻ってきました。
 袋の中から、リボンのついた箱を取り出して、ルゥに差し出します。
「メリー・クリスマス! ささいだけど、プレゼントよ」
「雅羅」
 受け取ったルゥは、感激のあまりじわりと涙ぐみそうになりました。雅羅がこんなに気にかけてくれていたなんて、想像するだけで鼻息が荒くなりそうです。
「まあ、可愛い」
 中身は、綺麗な刺繍が施されたレースのハンカチでした。ルゥによく似合いそうです。
「ごめんね、安物で。あまり重いのもどうかなと思ったから」
「そんなことないわよ。雅羅からプレゼントしてもらえただけで嬉しいもの」
 ルゥは本心から言います。
「観月季と知流にも。同じものでごめんね」
「なんということでしょう! 雅羅が普通なんて!?」
 プレゼントされた観月季は、ショックを受けた表情になります。
「先を越されてしまったどすなぁ」
 ルゥの隣に座っていた知流が微笑みました。もちろん、彼女らも雅羅にプレゼントは用意してあるのです。
「プレゼント交換どすな」
「そうね」
 ルゥも頷きます。
「立っておくんなはれ、雅羅はん。案内いたしましょ」
「え?」
 雅羅が驚くより先に、ルゥと観月季が雅羅を両側から挟みこみ、連れて行きます。胸の弾力がたわわに揺れてます。
「え、えっっ!?」
 何事? と呆気に取られる雅羅がたどり着いたのは、このレストランの女子更衣室でした。従業員はいませんが、一応着替えられるようになっているのです。
 厨房や客席も使っていいなら更衣室も自由だろうと言うことで、知流たちはクローゼットを持ち込んできていたのでした。
「これは……」
 雅羅は絶句しました。
 クローゼットには、美しいパーティードレスが掛けてあったのです。
「雅羅はんへのプレゼントどすえ。気に入ってもらえたらよろしいんどすけどなぁ」
 知流は、軽く雅羅の手を取って鏡の前に立たせました。
「さっそく着替えましょう! 私は、是非とも雅羅がパーティードレスを着てくれることを強く望んでいるわ!」
 ルゥが、ハァハァ言いながら迫ってきます。目がちょっと血走っています。
「あなたもですわ」
 そんなルゥの肩をポンと叩きながら、笑顔の観月季が隣を指します。
 ルゥのために青薔薇飾りのついたドレスが用意されているのでした。知流には真紅のをプレゼントしてくれるようです。
「仕方ないわね」
 ルゥは、クリスマスらしく清楚な衣装を纏っていましたが、いかにも渋々といった口調で雅羅に向き合いました。
「脱がせあいっこしましょう」
「ええっ!?」
「私が雅羅の服を優しく脱がせて上げるわ。雅羅は、私の服を脱がせてくれていいわ」
「いやあの。自分で着替えられるんだけど」
 ルゥの妙な迫力に押されて、雅羅は後ずさります。
「もう、雅羅ったら悪い子ね。わかったわよ。そこまで言うなら、私が先に着替えるわよ。見ないでね、エッチ。いや、見てね」
 ぷくぅ、とルゥは可愛く膨れます。
「えええええ!? ちょっと、よくわからないんだけど」
 ルゥが雅羅を見つめながらおもむろに衣装を脱ぎ始めたので、雅羅も雰囲気に飲まれて服を脱ぎます。更衣室での着替えなど普段の出来事のはずなのですが、どういうわけか全身真っ赤になっています。
「……」
 その様子を、観月季と知流がめっちゃ見てます。
「観月季は着替えないの?」
 下着姿になった雅羅が聞きます。
「これが正装ですがなにか?」
 観月季は豊満な胸を張って見せます。
 ここへ来る前に、服屋の店員に勧められるままに、ミニスカサンタの衣装を着てきたのです。メロンサイズの胸がえらいことになっています。窮屈そうで、脱走して弾けてしまうかもしれません。
 真っ白な肌を露にしたルゥが恥じらいながら言いました。
「ねえ、雅羅。ドレス着せあいっこしましょう」
「ええっっ、また!?」
「ドレスを着やすいように、私が雅羅の胸を寄せて上げてあげるわ。雅羅も、私を触ってくれていいのよ」
「いやあの。ドレスなら一人で着れるから」
「わかったわよ。私も一人で着るわよ。もう、意地張って後悔しても知らないんだからねっ」
 拗ねたように言うルゥに、雅羅は困惑顔です。
「ええええ。どうして私怒られてるの?」
 ルゥにあわせて雅羅もドレスを着直すと、自然と向かい合って両手を重ね合わせたのでした。
「雅羅、よく似合ってるわよ」
「ルゥもね」
「……」
 観月季と知流が、二人に暖かい拍手を送ります。
 さあ、お色直しも終わったことですし、客席へ戻りましょう。