リアクション
* * * * * * * * * * 「見つかったのは、これだけです」 洋がセレスティアーナに差し出したのは、サッカーボールほどの球体。少し黄色がかっている。と、その球体に付着した輪。土星を思い浮かべると分かりやすいかもしれない。 「罠はないようですが、用途は不明です」 「ふむ」 セレスティアーナが手を伸ばす、横からソレを誰かが奪った。興味深そうにソレを眺めているのはクマラだ。エースが慌てて取り上げようとするが、クマラは楽しげに笑って 「へい、パース!」 美羽へ投げた。美羽はパチパチと瞬きした後、自分の方へやって来るセレスティアーナを避けるようにイコナへまた投げる。 「イコナちゃん!」 「わわっこ、これぐらい受け取れるですの。えーい」 イコナもまた投げる。受け取ったベアトリーチェが「どうしたら良いものか」とソレを見下ろす。そんな彼女の元にセレスティアーナが駆けてくる。 「ほらっこっちこっちー」 「え? あ、はい!」 「ああっ!」 セレンフィリティの声に思わず投げるベアトリーチェ。ショックを受けるセレスティアーナに、「すみません」と謝る。 「むー、貴様ら、ズルイぞー」 怒りだしたセレスティアーナに、瑠璃が 「吾輩は代王の味方なのだー! えい」 空中でソレをヘディング。セレスティアーナへと渡す。ようやくセレスティアーナがソレに触れた瞬間。。 『なんやおんどらぁっ! 人がせっかく気持ちよお寝ちょるっちゅーに、うっさいわぁ!』 調査隊の誰のものでもない声は、セレスティアーナが持つソレから聞こえた。 銀の瞳と、黒くつぶらな瞳が見つめ合う。 さらに良く観れば、先ほどはなかったと思われる丸く小さい突起物のようなものが4つ、球体から生えていた。それがちまちまと動く。手と足なのだろうか? 良く分からないが、球体についていた輪も回転を始め、ふわっとソレは宙に浮いた。 見た目だけを言うならば、愛らしい。……見た目だけならば。 『まったく。最近の若もんはこれだからあかんっちゅーねん。わしの若いころはもっと礼儀っちゅーもんを……』 しばらくマシンガントークが続いたが、長かったので省略させていただく。 「貴様は一体何なのだ」 『何って……はぁ。礼儀がなっとらんなぁ。そういうお前さんは誰やっちゅー話で、だからやな』 「わ、私はセレスティアーナ・アジュアだ」 また説教が続きそうだったのを、なんとか遮る。 つぶらな瞳が、若干(数ミリ)ほそまった。 『ふーん。セレスティアーナのう。けったいな名前やな』 「なんだとっ?」 なんとも失礼なことを言ったソレは、宙を飛んで中央の台座の上に乗った。 『ま、しゃあない。ええとこ連れてったるさかい、捕まっとけや』 がくん。と、床が揺れる。かと思えば床ごと沈み始めた。この空間そのものがエレベーターになっているらしい。 驚く調査隊の面々に、『忘れとった』とソレが振り返り言った。 『わしはここ……移動式住居の制御をしとるもんで、コーン・スー言うんや……あ。コーンスープ、とか言いやがったらどつくで』 機晶生命体コーン・スーは、そうニヒルに(本人はそう思っている)笑みを浮かべた。 「移動式住居おおおっ?」 数秒遅れて、そんな叫び声が響き渡った。 ちなみにこの移動式住居。正式名称をコーン・スーピオンバクーム……以下略、といった具合に長かったため、セレスティアーナの「よし。土星くん弐号にするぞ」という一声で【土星くん弐号】と呼ばれることになった。 『変な名前つけんなや。ここは』 「というわけで、貴様もこれからは土星くん壱号だ」 『ガーン!』 |
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