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リアクション
■
「ええーと、後田キヨシさん、ですわね。
2階角部屋の、『201号室』でよろしくて?」
管理人室のマレーナ・サエフ(まれーな・さえふ)は台帳をパラパラとめくりつつ答える。
そのしぐさには、上品な大人の色香が感じられる。
亜麻色の長い髪をかきあげて。
「時にキヨシさん、ほかに外にどなたかいらして?」
「い、いいいい、いえっ!」
キヨシはなぜか赤面しつつ、ふるふると首を振る。
そして、思う。
なんでこんなに自分はドキマギしなければならないのだろうか? と。
(管理人さんが「大人」で、自分が何も知らない「ボウヤ」だからだろうか?)
しかし分かってはいても、絶対に認めたくないキヨシなのであった。
そうだ、男の器の大きさは、「経験」では計れないはずだ! ……たぶん。
「まだ幾人か来ていらっしゃらないようですけれど……」
台帳を閉じて、マレーナはスッと立った。
「皆さんにご挨拶に行かなければなりませんわね? キヨシさん」
「は?」
「挨拶回りですわ、私も参りますので」
マレーナはニッコリと笑って、キヨシの手をひいた。
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