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リアクション
11.ドラゴン襲来〜下宿を守ろう!〜
キヨシとマレーナが戻った下宿では、最後の攻防に備えて下宿生達が右往左往していた。
同刻・天守閣。
「状況を報告せい」
信長が、用務員・唯斗に命じて状況報告をさせる。
「ふむ、すると。
もはや人員は出尽くしたというのだな?」
「はっ」
唯斗が重々しく頷く。
「あと数匹なのだ!
誰ぞおらんのかっ!」
きえいっと、龍骨の剣で空を斬る。
「小型結界さえ、あれば……」
「いえ、まだ望みはあります」
スッと地上を指さした。
嬉々として、ドラゴンに向かう3つの点がある。
「うむ、干し首講座の教師か」
なるほど、と頷く。
満足そうに、定位置へと戻るのであった。
■
「わぁい♪ 元気なお客さまがたがたくさん!」
藤原 優梨子(ふじわら・ゆりこ)が部屋から飛び出したのは、とどのつまりが「ライフワーク」の為だった。
決して、受験生達を送り出して暇々だったから――な訳ではない。
「ふむ、干し首になって頂くにせよ下宿生として入居して頂くにせよ、
まずは黙らせないといけませんね♪」
「げ! お嬢!」
宙波 蕪之進(ちゅぱ・かぶらのしん)が聞き咎める。
「そ、それは。
本気でおっしゃっているんで?」
「あら、私が本気でなかったことなんて、ありましたか?」
蕪之進は空を見上げた。
ドラゴンの目に、ギロッと睨まれる。
「よし、お嬢、こいつはとっとと尻に帆かけて逃げ……
うぅん、なんでもない!」
途中で首を振ったのは、優梨子に睨まれたから。
「おれ、がんばる!」
涙目で、まずは準備に励む蕪之進なのであった。
「迷彩塗装に、光学迷彩……ああもう、俺を敵と見定めるなー!
お嬢のところだけに行けー!」
急降下し始めたレッサードラゴン達に訴えるが効果はないようだ。
「行きますよ、みなさん!」
優梨子が嬉々として告げて、戦闘ははじまった。
地獄の天使、強化光翼、黒檀の砂時計と、機動力に重点を置く。
「ではまずは、みしるしを!」
半ば透けた、影の翼で素早く飛び回る。
歴戦の必殺術で弱点を見極めてから、龍骨の剣で一撃!
カクッとドラゴンの首が不自然な具合に折れ曲がる。
「おっと、でも、これでは気絶くらいですよね♪
ドラゴンですもの!」
では、と遠慮なく吸精幻夜でスタミナ補給を行う。
それでも追い付かない場合は、懐からゆるスターを取りだした。
「夜露死苦荘名物講座・講師の意地を見せますよー!」
優梨子の戦いは続く。
亡霊 亡霊(ぼうれい・ぼうれい)は無表情のまま、上空を見上げていた。
亡霊さん! と優梨子は片手を振る。
(そうです!)
優梨子は彼に空飛ぶ魔法↑↑を付与する。
これで彼も、心置きなく空中戦を楽しめるはずだ。
(まずはこの連中を叩きのめせば良さそうだな。
ふむ、面白い……!)
亡霊はベルフラマントを纏った。
不意打ちで、首を狙うつもりらしい。
優梨子にならって、黒檀の砂時計を使う。
殺気看破とディテクトエビルについてはやめる。
殺気も害意も待機中に満ち満ちて……つまり、敵味方の判別すらつかない状況だ。
(ゆくぞ! 優梨子)
そうして、優梨子と共に、亡霊はドラゴン達のみしるしを求めていくのだった。
■
「だが、もはや戦える者は、奴らくらいのものだな」
戦闘用ドリルを構え、ガイウス・バーンハートは管理人室にいた。
背に、マレーナとキヨシを護っている。
「キヨシくん、小型結界の事は知っているのか?」
「え? ああ、あのお守りのこと?」
キヨシは目を点にする。
この期に及んで、このドラゴニュートは何を言い出すのかと。
「あれが、だな。キヨシをパラミタに留めておいたのだ」
そうして、ガイウスはパラミタと地球の歴史を話す。
なぜ、契約者だけがパラミタを歩き回れるのかということを。
「じゃ、じゃあ、本来は。
『パートナー』契約のない地球人は、『小型結界』がないと居られないんだ?
パラミタには」
サッと顔が青くなる。
カレンが指摘した「小型結界」意味は、このことだったのだ。
「あのドラゴンは、みんな……僕のせいなの?
僕がここから出ていけば、皆は助かるんだね?」
「いや、方法はある」
ガイウスは深い息をついて、携帯電話を見た。
和希からの連絡はない。
(もはや選択の余地はない、か)
マレーナ、と振り返る。
「キヨシと契約すれば……彼は契約者になれるのだ。
夜露死苦荘は救われる」
「わ、私が? キヨシさんと……」
マレーナは胸に手を当てる。
(ドージェ様……)
だがその顔は、キヨシではなく窓に向けられた。
先刻まで傷だらけで戦っていた、ナガンの幻が見える。
「マレーナさん……君は……」
マレーナの視線を追って、キヨシは絶句する。
おーい! と元気な声が聞こえたのは、その時だった。
「駿河北斗、参上!
加勢に来たぜ!」
小型飛空艇ヘリファルテに乗った少年が、片手をあげた。
その手にはしっかと「小型結界」がある……。
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