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お風呂ライフ

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 お待たせしました。
 こちらは同時刻の女湯である。
「ちょっ……玉ちゃん!? ストップ! ストーップッ!!」
「うむ。月夜……相も変わらず慎ましいな。我はそなたの胸はまだまだ発展途中と見た」
「え? ちっ小さくないモン! 大丈夫なの! あンッ! 放っておいてよ!」
 湯船に浸かっていた漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)は、背後から玉藻 前(たまもの・まえ)に強襲され、胸を揉まれていた。
「それは無理であろう」
「ど、どうして!?」
「我は、風呂に入ったら月夜の胸を揉んで大きさを確認する、と決めていたからのだよ」
「だから、どうして!?」
 やや上気した顔で玉藻がフフフと笑う。
「沙幸の胸を見て」
「え?」
「沙幸の胸は、美海が大きくしたと豪語していたからな。我も負けずに月夜の胸を大きくせねばと決めていたのだよ」
「そ、そんなー!?」
 そこに、妖艶に登場したのは、藍玉 美海(あいだま・みうみ)であった。
 美海は、玉藻が月夜の胸を餅をこねるような手つきでひたすら揉むのを見つめた後、
「玉藻さん、いけませんわ」
「美海!?」
 助け舟を出した美海に月夜が目を輝かせる。
「優しさが足りません」
「……え?」
 月夜の表情が凍りつく。
「月夜さんことならわたくしにお任せください。沙幸さんのあの胸に育てたのはわたくしですもの。『整胸師』の二つ名は伊達ではありませんわよ」
 美海はそう言って、玉藻に代わり、月夜の後ろから彼女の胸を両手でそっと包んでやる。
「ひっ!?」
 そして、優しく撫でる様に丁寧に揉みしだきながらこう囁く。
「この手を月夜さんの大切な方のものだと想像してくださいませ」
「え……?」
 瞬時にとある人物の顔が浮かび、月夜の顔が赤くなる。と、同時に嫌がっていた声色とは違う声が漏れてくる。
「うっ……あ、あぁ……」
「ほら、だんだんと気持ちよくなって来たでしょう?」
 美海はそう言いながら月夜の耳に息を吹きかける。
「はぁッ……ん!」
 すっかり術中に堕ちた月夜は、もはやなすがままにされている。
「(ふふっ、月夜さんもノってきている様ですし、このまま敏感な所を刺激しながら少しずつ強くしていきますわよ)」
 美海は、自分の中で揉みしだくギアを一段上げる。
「さあ、良い声で鳴いて下さいませ……」
「ぅ……むぐっ!!」
 月夜は両手で口を押さえ、声を殺す。一番、女として、乙女として、こんな声を聞かれたくない人物が壁の向こうにいるのだ。
「成る程……でも、いつまで我慢が続きますでしょうか?」
 そう言うと、円を描くようにしていた美海の手が、月夜の膨らみの中心部へと伸びていく。
「も、もう、駄目! ダメダメダメーッ! ぅぅぅ……んゆぅーーッ!?」


「今日は月夜にご執心みたいね、ねーさまは」
 久世 沙幸(くぜ・さゆき)は湯船の端で繰り広げられる月夜と美海の、百合の花が咲きそうな光景を遠目に見ながら入浴していた。
 封印の巫女 白花(ふういんのみこ・びゃっか)もまた、喧騒とは別にのんびりと入浴を楽しんでいた。
「はぁ……気持ちが良いですね、沙幸さん」
「うん。月夜にはちょっと申し訳ないけど、たまにはのんびりさせてもらっちゃおうかな」
「私も、もう少しだけのんびりしておこうかな、と」
 二人は顔を見合わせ笑う。
「そうそう。スイッチが入っちゃったねーさまは、わたしにだって止めることが出来ないんだもん」
「沙幸さんと美海さんはとても仲が良いんですね……」
「仲が良い……て、そう見える?」
「だって、お話の中に美海さんが出てこない事なんてありませんよ?」
「ねーさまか……出会ったばかりの頃はもう少し大人しかったと思うんだけど、いったい何時からああなっちゃったんだろう……」
 日夜、美海からスキンシップという名のセクハラを受け続けている沙幸が、顔を半分湯船に浸けて考える。
 白花とガールズトークしながら過去のことを振り返ってみるけれど、思い起こされるのはねーさまからセクハラを受ける日々のことばかり。
「そういえばあの時も、あの時だって、ねーさまに胸をもまれてたなぁ……。そしていつぞやはさらにエスカレートして……」
「さて、もうそろそろ美海さんを止めましょう。よろしいでしょうか?」
「そうだね。白花さん。お願いします」
 白花が、そろそろ限界間際の顔を見せる月夜を見かねて、そちらに向かう。
 その時、沙幸の背後に近づく人影があった。
 ムニュッ!
「ひぃぇ!?」
 沙幸が胸を鷲掴みにされて、驚いた顔で振り返ると、そこには玉藻の姿があった。
「た、玉藻さん!? な、何を!!」
「うむ。月夜が言い声で鳴いている、美海は調子が良さそうだ……そこで、我も負けずに沙幸を可愛がろう、と。しかし良い声だな? 気持ちいいのか?」
「い、いきなり胸をつかまれたらビックリして変な声が出ちゃうって!」
「ふむ……美海が自信作だと言っていただけのことはある。大きさ、柔らかさ、張り、全てが一級品だな」
 後ろから胸を揉む玉藻がじっくりと感触を確かめる。
「やッ……あッ!?!」
「どうした? いつも揉まれているのであろう?」
「ね、ねーさま以外に触られたことなんて……ないから! ああ!」
「そうか。では我の手つきを覚えるがいい。良い声で鳴け」
「あ……ああぁぁぁッ!!」
 白花は背後から聞こえた沙幸の声に振り返る。
「……と思ったら玉藻さんまで!? もうっ、お風呂では静かにして下さい!」 
 白花が咎めるも時既に遅く、女湯は胸を揉まれる少女二人が、必死に声を押し殺す花園へと化した。
「(ああん、今日はゆっくりできると思ったのにー……)そ、それ以上は、絶対にダメなんだからねっ!」
 沙幸はそう言いつつも何故か玉藻の手から抜け出すことは出来ず、結局、玉藻の気が済むまでされることになる。