リアクション
「……本気なのか?」
片付けも終え、解散をしてから。
両手に荷物を抱えて歩くレモの傍らで、カールハインツが、ぽつりと呟いた。
「本気だよ」
「そうか……」
また暫く、沈黙が落ちる。
「カールハインツさんはさ、僕が困ってないと、手を出しにくいんだよね」
「なんだよそれ。人聞きが悪すぎねぇか」
「だって、本当だもの」
口が悪い世話焼きのカールハインツは、それでいて臆病だから。そう、もうレモにはわかってしまっている。その裏に、過去の傷があるということも、うすうす感じ取ってはいた。
一方、カールハインツはといえば、旅行以降、どうにもレモにペースを握られているようで居心地が悪い。
「簡単に言うけどな、相当危ないんだぜ?」
「そうだろうね。けど、僕は一人じゃないし。……それに」
「なんだよ」
ぴたりと足を止め、レモはカールハインツを見上げて、出し抜けに言った。
「カールハインツさんも、プレゼントちょうだい」
「はぁ!? なんだよ、それ。そんだけあればいいだろ!」
「だめだよ」
レモは、不意に真剣な表情で、カールハインツに告げた。
「君の、命をちょうだい」
衝撃的な言葉に、カールハインツは言葉を失う。そんな彼に、レモは続けて言った。
「僕の、盾であり、剣になって欲しい」
「……レモ……」
「返事は、急がないから」
レモはそれだけ告げると、荷物を抱えなおし、足早に立ち去る。
「メリークリスマス」と、それだけを告げて。
カールハインツはしばし、その場から動けなかった。
――そうして、聖夜が、過ぎていく。
今年が、終わっていく。
たくさんの笑顔と涙と、そして成長がそこにあった。
新たな年に、新たな願いをかけて。
そして、また、立ち向かっていくのだろう。
未来はまだ、誰の目にも見えない。
ただその胸には、つねに、希望という星が輝いている――。
●ご参加いただき、ありがとうございました。
リアクションをお待たせしてしまい、申し訳ございませんでした。
●予想外にたくさんの方にプレゼント交換に参加していただけて、とても嬉しかったです。普通のクリスマスパーティよりは、少しゲーム性があるものを……と考えた結果でしたが、何故か出目が集中してしまい……。次回に似た企画をするときには、もう少し考えたほうがよいのかなと、良い課題にもなりました。
また、「交換相手は当日発表なのかそうでないのか」をきちんとガイドにも書いておくべきだったなと、そちらも反省しています。
●来年は、薔薇の学舎もまた変革があるかもしれませんね。
思えば、最初は赤ん坊のようだったレモも、ずいぶんと成長したものです。
皆様のお力添えのおかげだと、本当に本当に、ありがたく思っています。
●少しでも、楽しんでいただけたならばなによりです。
それでは、また新たなシナリオで、お会いできますように。
メリークリスマス&良いお年を。