空京

校長室

【2020修学旅行】東西シャンバラ修学旅行

リアクション公開中!

【2020修学旅行】東西シャンバラ修学旅行
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リアクション

 
●その後……
 
 『アキマス』を盛況のうちに終えることが出来た出場者たちは、樹月 刀真(きづき・とうま)が用意したという打ち上げ会場ですき焼きに舌鼓を打っていた。
「ティセラ、『TTS』のファンクラブが結成されたわ。これから会員を増やしていくつもりよ」
 会場の席で、祥子が『TTSファンクラブ』の結成の旨をティセラたちに報告する。
「まあ、それは素晴らしいですわ。わたくしたちもその想いに応えたいですわね」
「……私は、ティセラに付いていくわ」
「……ラーメンが食べられるなら」
 喜ぶティセラと、淡々とした様子のパッフェルとリフルに対して、セイニィは顔を赤らめ立ち上がって言葉を発する。
「ちょ、ちょっと、どんどん話が大きくなってない!? どうしよう、このままだとズルズル付き合わされることに……!
「セイニィ! 俺はもうファンクラブに入ったぜ! 見ろ、この会員番号1番の会員証を!」
「って、早っ!! 牙竜、あんたねぇ……」
 確かに『S00001』と書かれた会員証を見せる牙竜に、セイニィが呆れた顔をしていると、横からトライブとリュシエンヌがやはり同じ『S00001』の会員証を掲げて首をつっこむ。
「おっと、会員番号1番は俺だ。何せ俺が『TTS』のプロデューサーだからな」
「何言ってんの!? 会員番号1番の会員証ならここにあるわよ!」
「……どういうこと?」
 セイニィの疑問に、祥子が答える。
「1番が一人だけ、だと争い事になるかと思って。同じファンクラブ同士で揉め事なんて、起こしてほしくなかったから」
「……いいと思います、そういうの。私はそれでいいと思います」
「ということは、俺が『【M】シリウスファンクラブ』の会員番号1番ということになるな」
「えっ……本当に作るのですか?」
「ではミルザムさん、ファンクラブの人気でも勝負ですわね」
「ちょっと待って下さい、そちらは4名に対してこちらは1名、流石にそれではこちらが不利です」
「大丈夫です、その時は我々もお供しますから」
 ミルザムが祥子の案に同意するが、次の瞬間、シルヴィオの言葉に予想外といった顔を浮かべる。さらにはティセラに勝負を持ちかけられ、人数の不利を訴えるもディミーアに参加すると言われ、引くに引けなくなってしまった。
「ふふふ、楽しみですわね」
 そう言うティセラは、言葉通りに楽しげであった。
 
 そして、宴の時間が過ぎていく。
「ティセラ……解ってる、疲れてるんだろ。俺の方からもティセラたちにもう少し休みがもらえないか頼んでみるよ。
 だからさ、疲れた時は疲れたって言うんだぞ」
 ポンポン、と葛葉 翔(くずのは・しょう)に肩を叩かれつつ言われ、ティセラが首を傾げる。
「あら、何のことですの? わたくしは平気ですわよ?」
「自分で疲れを自覚できないほどに疲れているんですね……可哀想なティセラさん。
 あたし達もティセラさんの負担が軽くなるよう手伝うから」
「?」
 アリア・フォンブラウン(ありあ・ふぉんぶらうん)の同情するような目に、ますます分からないといった様子のティセラ。
「すぅ……すぅ……」
 一方で、ティセラに付き合わされて結構飲まされたセイニィが、リーン・リリィーシア(りーん・りりぃーしあ)に寄りかかるようにして寝息を立てていた。慣れないアイドル業の上であれば、仕方のないことである。
「あらら、寝ちゃったわ」
「ま、しばらく寝かせておこう。パラミタに帰ったら、また忙しくなる。休める時にゆっくり休ませてあげたいからな」
「うん……そうだね」
 緋山 政敏(ひやま・まさとし)の言葉に、リーンも頷いて微笑む。
「よし、最後にみんなで写真を撮るぞ! 一番良いポーズを頼む!」
「後でみんなにも写真配るからねー!」
 宴の最後に、如月 佑也(きさらぎ・ゆうや)アルマ・アレフ(あるま・あれふ)がティセラとパッフェル、セイニィ、リフル、それにミルザムへカメラを向ける。
「ふふ、ミルザムさん一緒に写りましょ♪」
「ちょ、ティセラさん、酔ってますね? ……その、胸が当たります……!」
「リフル、そっちを持って。……ふふふ、あえて起こさない方が、ネタとしていいわよね」
「……仲間外れはよくない」
「んぁ……すぅ……すぅ……」
 自身の胸を自分の胸に押し当ててくるティセラにミルザムが顔を赤らめ、パッフェルとリフルがセイニィを両側から支えて、5名がカメラの領域に収まる。
「ハイチーズっと!」
 シャッターが切られ、続いて大撮影会へと場は進行していく――。
 
「……ふぅ」
 盛り上がる会場を背に、裏口から外に出た刀真が、ポケットに入っていたまだ温もりの残るおでんの入った缶詰を手の中で転がす。
「……ふぅ」
 それを仕舞い、今度は自分の財布をやはり手の中で転がす。財布は、先程の缶詰よりも明らかに軽い。色々買おうと入れておいた現金も、カードの残高も、中で振る舞われているすき焼きに消えてしまった。
「……ふぅ……」
 ビルに囲まれた、まるで切り取られたような空を見上げ、刀真が目尻に涙を溜める。
(いいんだ……皆が幸せなら、それで……)
 彼こそまさに、皆の(財布を守る)ロイヤルガードであろう――。
 
 
 そして、彼らの非日常は幕を閉じた。また彼らは、日常へと戻っていく。
 
『……はきゅ〜ん』
「か、勘弁してくれ……」
「……翔、お前と私は一蓮托生だということを忘れるなよ……」
 
 ……何やら決定的な影響をもたらしてしまった気もするが、まあ、それはそれ、である。