リアクション
懐かしさ、感じて
敵イコン部隊、並びに坑道内にいたグランツ教徒たちはもういない。
クルセイダーに関しては姿が見えないため生き残りはいるかもしれないが、
この地点にいる全ての契約者が集まっているところへ攻めることはしてこないだろう。
「それじゃ、ネフェルティティ女王の元へ行きましょう。カケラさんもそれを望んでいるんだから」
『……』
「……カケラさん?」
『……望……もの……ょうか……生……す』
カケラが何かを、呻くように呟くがあまりにも小さな声すぎて、誰も聞き取れなかった。
「ちょっと、しっかりするですぅ!」
エリザベートがカケラの肩をつかみ、ガクガクと揺らす。
するとカケラがハッとなる。どうやら正気を取り戻したようだ。
「平気?」
静香の心配そうな言葉にカケラは慌てて首を縦に振る。
「……とにかく、女王の元へ行くわよ。護衛は、これだけのイコンと契約者がいれば申し分ないわね」
そう言って校長や契約者たちはカケラを護送する。そんな中、アイリスとルドルフはカケラを見て、互いに話をする。
「……やはり彼女は重要な存在みたいだね」
「ああ。そのようだな……だがそれ以上に、だ。僕はあの子を守りたい……不思議と心からそう思う」
「奇遇だね。……僕も彼女には妙な親しさを感じる。カケラとは初対面、なはずなのだがね」
アイリスとルドルフは正体不明の懐かしさをいつまでも感じていた。
他の校長も強く、契約者たちも大なり小なりカケラに感じていた懐かしいという感覚。
それを感じさせる、このカケラという少女は一体何なのか。
謎は多い。だが今は進まなければならない。
舞台は、グランツ教本部へと移り変わっていく――――――。