空京

校長室

終焉の絆 第二回

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終焉の絆 第二回
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ネフェルティティ女王、つかのまの安らぎ 1

非不未予異無亡病 近遠(ひふみよいむなや・このとお)は、
空京の街ではぐれてしまったパートナーのことを心配していた。
「モンスターがたくさんいましたし、
皆、無事だといいのですが」
「パートナーロストの影響が出ていないことが、
全員が無事でいる証拠ですわ。
安心して、今は、あたしたちにできることをしましょう」
ユーリカ・アスゲージ(ゆーりか・あすげーじ)に諭され、
近遠はうなずく。
「そうですね。
ネフェルティティ女王をあやしてあげましょう」

ユーリカが、ネフェルティティを抱きかかえ、
優しく揺らしながら、静かな歌を口ずさむ。

その際に、近遠は、外の様子を、理子やセレスティアーナ、ティフォンたちにも伝える。
「おそらくは、契約者側が有利な状況のはずです」
「ネフェルティティ女王が、
頑張って結界を維持してくれているおかげですわ」
ユーリカがうなずいた。

ネフェルティティは、ユーリカの歌に、微笑を浮かべていた。

「ネフィちゃん、かわいいね。
ボクにも抱っこさせて」
神月 摩耶(こうづき・まや)
ミム・キューブ(みむ・きゅーぶ)
そして、クリームヒルト・オッフェンバッハ(くりーむひると・おっふぇんばっは)
アンネリース・オッフェンバッハ(あんねりーす・おっふぇんばっは)が、
ネフェルティティの周りを囲む。

「だいぶ落ち着いてきて、
皆、不安な気持ちはなくなってるみたいなの。
よかったの。
ネフィちゃんはきっと、周りの感情に影響をされちゃうから」
ミムが、周囲を見渡して言った。

「ねえ、摩耶、これって将来、
赤ちゃんと暮らすための予行演習になると思わない?」
「えへへ。クリムちゃん、そうかもしれないねっ」
クリームヒルトに、摩耶はうなずく。

「あう……」
「あ、おしゃぶりしたいのかな?
じゃあ、ボクのおっぱいをくわえてもいいよ!」
「あらあら、そのおっぱいは本来、あたしのなのよ。
でもいいわ。
今日だけ特別ね」
「もう、クリムちゃんったら」

「アンネ、ミルクの準備をして」
「はい、お任せください」
クリームヒルトに言われ、アンネリースがミルクの準備を行う。

「ひゃうっ、やんっ!?」
「あー、うー」
摩耶は、はだけた胸をネフェルティティにくすぐられた。
「もう、ネフィちゃんったら」
「あらあら、おませさんね。
はぁ〜っ、本当に可愛いわ。ねぇ、ミム?」
クリームヒルトに、ミムがうなずく。
「うん、ネフィちゃん、とってもかわいいの!」

「うふふふ、摩耶ごと抱きしめちゃう♪」
クリームヒルトが、ネフェルティティを抱っこしている摩耶ごと、
ぎゅっと抱きしめる。
「あーう?」
2人の胸に挟まれ、ネフェルティティがきょとんとしている。


やがて、ネフェルティティがまたぐずつき始める。
「ふえ、ふえっえっえっ」

「あ、あの……もしかしてお腹がすいてるの?
さっき、結界の維持に、たくさんエネルギーが必要って言ってましたけど……」
白石 忍(しろいし・しのぶ)が、
ネフェルティティに駆け寄る。
「忍、乳を飲ませてやれよ。
出なくても吸うだけでも気持ちが落ち着くだろ?
赤ん坊を泣かせといていいのかよ?」
リョージュ・ムテン(りょーじゅ・むてん)の発言に、
忍は真っ赤になる。
「わ、私は母乳でませんし、
私の胸なんて……。
それに、もっと適任の方がいらっしゃいますし」
忍が、摩耶の方を見て言う。

「それより、ミルクをあげた方がいいんじゃ……。
私、作ってきますね!」
忍がミルクをあげると、ネフェルティティは喜んで飲みはじめる。

「さっき、ミルクをあげたばかりなのに、
本当に、すぐにおなかがすくのですわね」
アンネリースがネフェルティティの幸せそうな顔を見て言った。

「あう、あっあっ、うー」
「ん? まだ、何か、気にいらないのかよ?
もしかして、おむつ交換じゃないのか?
よし、換えようぜ!」
「リョージュくんは換えなくていいです、
私がします……」
「なんだよ、変なこと考えてねえって」
「……」
「その目はなんだよ。信用してないだろ!?」
忍にジト目で見られ、リョージュが言う。

おむつも交換したが、まだネフェルティティがぐずっているので、
リョージュは歌を歌うことにした。

「俺の歌を聞け!」
ロック調のララバイに、
ネフェルティティが穏やかな表情になりはじめる。

「あー、だー」
「お、温かくて柔らけえ……なんだか不思議な気持ちになってくるぜ。
忍も、いつか生むのかな?」
「え、そのっ……」
リョージュの言葉に、忍は真っ赤になる。

「でも、本当に、赤ちゃんって可能性の塊ですよね。
世界そのもの、と言えるかもしれません。
この子も、世界も……なんとかして守りたいです」
忍が、優しくネフェルティティを覗き込みつつ言った。