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リアクション
百合園生の雷霆 リナリエッタ(らいてい・りなりえった)と、
ベファーナ・ディ・カルボーネ(べふぁーな・でぃかるぼーね)は、
学生達と人形や幽鬼が交戦している間に、密かに館の中に侵入していた。
ベファーナのアシッドミストとサンダーブラストで屋根を破壊し、
リナリエッタの破壊工作で穴を広げて無理やり通るという乱暴な手段だったが、
ジャルディニエとアーダルヴェルトの部屋まで辿り着くことができた。
「御機嫌よう。私達は哀れな吸血鬼の顔を見にきただけですわぁ」
リナリエッタは、ジャルディニエに敵意がないことを示そうとする。
「ほほう、それで?」
ジャルディニエは耳まで裂けるような笑みで二人を出迎える。
「こういうことよぉ」
リナリエッタは、アーダルヴェルトに近寄ると、足蹴にする。
「私はね、他力に頼る吸血鬼は特に嫌いでね」
ベファーナは、アーダルヴェルトの髪をつかんで顔を近づける。
「しかも相手が人間! 餌に頭を下げるとは!」
ベファーナは、ジャルディニエに提案する。
「一度でいいから、吸血鬼の血を飲んでみたかったんだ。
これって、君の実験の手伝いにならないかい。
私が神子の血族の血を飲んだら、どうなるのだろうね」
「汚らわしい。……ッ!」
「君の意見は聞いていない」
アーダルヴェルトをベファーナは打ち据える。
リナリエッタはその様子を笑いながら観察する。
「麗しい殿方を追い出すために、
テロリストや鏖殺寺院と手を組むなんて悪い人ぉ……自業自得ねぇ。後悔してる?」
そして、不利な証言を録音しようと、携帯電話を操作する。
薔薇の学舎にとって、有利に交渉を進められるようにというのが、リナリエッタの狙いだった。
「貴方がたは本当に面白い」
ジャルディニエは、その様子を笑って見ていたが、
ベファーナがアーダルヴェルトに噛み付こうとするや、その身体を弾き飛ばした。
「ここは私の庭だよ……。
そして『それ』は私の薔薇。
何を考えているのかな」
リナリエッタとベファーナは、ジャルディニエの言葉を聞いた後、意識を手放した。
ここまで難なく辿り着けたのも、ジャルディニエの故意によるものだったのだ。
それから程なくして、
桜田門 凱(さくらだもん・がい)は、
拘束したパートナーのヤード・スコットランド(やーど・すこっとらんど)を連れて現れた。
「お客様が多くてにぎやかなことで」
ジャルディニエは薄気味悪い笑みを浮かべる。
凱は提案する。
「なあ、俺のパートナーを人工神子にしないか?
神子を操るつもりなら、
レンタルしてやってもいいぜ。
もちろん、レンタル料はいただくけどな。
そうしたら、ボディーガードくらいはしてやるよ」
「こんな下衆な人間が神子を手にするなど間違っテイル」
ヤードは、自分のパートナーをにらみつける。
「神子のパートナーは高潔な人物であるべきデス。
だからワタシが神子などアリエナイ」
「おまえは黙ってろ!」
凱はヤードを殴りつける。
「面白い人たちですね」
ジャルディニエは、配下の人形を呼び寄せると、けしかける。
「金を払う気がねえならトンズラだ!」
凱はヤードを置いて、換金できそうな小物を持ち逃げしようとしたが、
人形に攻撃され、倒れる。
「この私と対等に交渉できると思っているとは……」
ヤードも人形が気絶させたのを確認すると、ジャルディニエはあきれたように言う。
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