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【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編

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【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編
【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編 【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編

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■□■2■□■ ヴァイシャリー湖畔・カンガンガニとの対決

「あっ、あれは、カンガンガニ……!」
静香は悲鳴に近い声を上げる。
以前、ある島で見たのと同じ、鋭いハサミのカニがいた。
「お優しい静香さまの事ですから、
小ラズィーヤちゃんや
ボク達に任せきりに出来ないんですよね……?
わかりますっ……でも大丈夫です!
ボクも付いていますからっ……」
そういって手を握る真口 悠希(まぐち・ゆき)を、静香は心配そうに見る。
「え、でも……」
悠希は、静香や小ラズィーヤの前に躍り出る。
「ボクに出来る最大限の事はっ……!
静香さま、ボクが機会を作ります……チャンスを逃さないでくださいね!」
「小ラズィーヤさん、やみくもに追いかけるのは上手な漁の方法ではありませんよ。
逆に獲物を呼び寄せ、待ち構えて捕らえる。これが漁の基本です。
さて、呼び寄せるためには餌が必要です。
カンガンガニの餌といえば男の娘。そう、このボクがカンガンガニを呼び寄せる餌となりましょう!
さあ、あのはりつけ柱にボクをしばり付けてください!」
「本当にいいのか!?
お前がそれほどまでに言うなら、その言葉に甘えよう。
だが、安心しろ、必ず守ってみせる!」
姫宮 みこと(ひめみや・みこと)は提案し、小ラズィーヤは言うとおりにする。
その様子を見ていた、未来のみことは思う。
(ついに……運命の時がやってきました。
そう、この日この時、カンガンガニ漁の餌となった過去のボクは、
あわれカンガンガニの犠牲に……。
以来宦官として、本心と裏腹に人々を苦しめる忍耐の日々……。
ですが、それも今日終わります!
静香校長にもとに戻ってもらうため、
そして過去を変えるため、ボクはカンガンガニを捕まえるのです!)
未来のみことは宦官なので、もう切られる心配もない。
「この防衛線は譲れません!」
(なんとしても過去のボクを守りきらなければ!)
未来のみことは、小ラズィーヤとともに網を構える。
「あのカニのソーセージで、
おかしくなっちゃった未来の皆さんや
未来の校長先生を元に戻せるんですね……!」
神楽坂 有栖(かぐらざか・ありす)もまた、
網を使い、ウォーハンマーで固い甲羅を破壊してカニと戦おうとする。

しかし。

「きゃああああああ、ああんっ、そこは、いやあああっ」
「カンガンガニが防衛ラインを突破してボクのところに……いやぁ、もうダメェェェ!!」
「や、やめてくださいっ、服を切らないでー!
え!? ス、スカートはだめえっ、やぁんっ!」
悠希も、現在のみことも、有栖も、カンガンガニに襲われて服を切り裂かれていた。
有栖は、胸が露出しそうになったり、スカートも切り裂かれて、
履いているお気に入りの青の縞々ショーツがちらちらと見えそうになっている。
悠希も、現在のみことも、服がボロボロになり、素肌が露出していた。
「皆だけを危険な目にあわせられないよ……きゃあああああああ!?」
静香も、同様の状況となり、大ピンチであった。
「静香さまっ! 静香さまが襲われるくらいなら、ボクが、ああああんっ」
悠希は、なんとか静香の周りのカニを振り払おうとするが、
カニの数が多く、全身まとわりつかれて喘ぎ声をあげる。
「きゃあああ、助けてえ、未来のボクーっ」
「がんばってください、過去のボクーっ」
現在のみことに群がるカニを、未来のみことが放り捨てるが、
現在のみことの服は大変きわどい状態であった。
「あっ、ブラジャーの紐切られ……ああんっ」
有栖は背中の感触に、青ざめる。

★☆★

「サンダーブラスト!」
「「「きゃああああああ!?」」」
紅き仮面のユーキーが現れ、悠希と、現在のみことと、有栖に雷撃を放つ。
「一撃では死にはすまい……。今のうちに静香さまを!」
「あ、ありがとです……でもどうして貴方が?」
ぶすぶすと煙を上げながら、悠希はユーキーに問う。
「フッ……お前と静香さまの互いを思い遣る心が
この仮面の心を紅く燃え上がらせたらしい……」
ユーキーの仮面からは血涙が……というか、鼻血が流れていたが、かっこつけてごまかした。
「僕は既に宦官、襲われはしまい……手を貸そう」
(この人、二刀流、仮面の血のタイミング……やっぱり未来のボクだ!)
(バレたか……)
二人の悠希は、お互いの存在を認識し、協力することにした。
「今のうちに静香校長を!」
「わかりました、過去のボクッ!」
現在のみことは未来のみことに声をかけ、静香の周りのカニを追い払おうとする。
「静香校長、しっかり!」
有栖も、自らもあられのない姿になりつつも、
同じくらいの姿になっている静香の周囲のカニを倒そうとする。
「ああんっ」
「ああっ、有栖さん!」
しかし、またも、有栖はカニに服を着られて、静香は青ざめる。

★☆★

「えっちなのはいかんと思うぞッ!」
そこに、パワードスーツで完全武装して、エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)が現れた。
エヴァルトは、キノコやソーセージをばらまく。
エヴァルトも、鼻血をこっそり隠していた。
「奴らは、アレに似ているとされる、キノコやソーセージにも群がる習性をもつのだ。
見ろ! ソーセージが切られていく!」
エヴァルトの言う通り、カンガンガニの群れは、キノコやソーセージを切り刻みまくっていた。
「なんだか、見るだけでも痛い光景だな……。
あと、これはカンニングのようだが、気にしてはいけない!
なにせコメディだからな!」
エヴァルトは言う。
そこに、3メートルのイコンが現れた。
未来のエヴァルトは、前回、爆発に巻き込まれたのだが、
記憶と人格を無人イコンに移しておいたのであった。
「この身体になれば、もはやアレを切られて痛い想像をすることもない……。
今、助けるぞ!」
未来・エヴァルトは、カニの群れに突撃し、
現在・エヴァルトのおびき寄せたカニを倒していく。
「しまったあああ、この大きさでは効率が!」
身体が大きくなりすぎても、いいとは限らないのであった。
「巨大化……合体……そういえばすっかり忘れてたが、
この未来では俺のパートナーはどうなってるんだ?」
現在・エヴァルトの問いに、未来・エヴァルトは遠くを見ながら言う。
イコンになっているので、表情の変化はない。
「ツァンダが沈没する時、合体し、
全エネルギーを使って一度きりのバリアを張って、
皆が避難する時間を稼いだ……今では水の底だろう……」
「そんなことが……さっきコメディと言っていたのに!」

★☆★

現在・エヴァルトが動揺する中、
ネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)が、未来の自分とともに現れる。
「このまま長々と無益な戦いを続けていたら、
このシーンがイベントピンナップになった時にコミカル投票多数で確定ね。
それでも、昔のあたし、あなたはまだやるつもりかしら?」
未来のネージュにそう言われ、現在のネージュは共同戦線を行うことにしたのだった。
「カンガンガニのソーセージを作るためには、
カンガンガニを狩猟しなければならない……狩猟といえば、そう、これしかない!」
現在のネージュは、未来のネージュをヒールで支援する。
外見が10歳程度に成長した未来のネージュは、7歳程度の現在のネージュと並ぶと、
姉妹のようであった。
しかし、未来のネージュの手には、でっかいウォーハンマーが握られていた。
「あたしは、ハンターランクG(ギャグコメ)級。
カンガンガニ大狩猟作戦、発動!
なんとしても、ソーセージの具を手に入れて、
バーベキューで『上手に焼けました』しなければ!」
もとい、未来のネージュに付き従い、カニをカゴに放り込む現在のネージュは、
ハンターに付き従う小動物のようであった。

★☆★

「私も手をこまねいてはいられない……くっ!?」
小ラズィーヤがピンチに陥り、シューティングスター☆彡が降り注ぐ。
「魔法少女ストレイ☆ソア、ただいま参上です!
小さな子どもの危機となれば、どんなに離れていても一瞬で駆けつけますよ!
魔法少女ですからっ」
未来のソア・ウェンボリス(そあ・うぇんぼりす)が急行し、颯爽と登場したのであった。
なお、直前まで迷子だったのは秘密である。
「おお、ありがとう、ストレイ☆ソア!」
小ラズィーヤは感謝する。
「な、なんだかちょっと魔法少女も格好良い気がしてきました!」
現在のソアも、小ラズィーヤを助けようと、
ドMでロリコンのジャタ族の一部族、オマタゲ・ソルデス一党ともにやってきていたのだが、
直前に、
「ソア様、本当にこっちでいいんですか?」
「い、いいと思いますっ、多分!」
という会話が繰り広げられ、思いっきり迷子だったのは秘密である。
「そういうことなら〜正義の魔法少女【突撃魔法少女リリカルあおい】にお任せよ☆
……と言う訳で未来の私も一緒にがんばろー」
秋月 葵(あきづき・あおい)も、決めポーズで登場し、未来の葵に言う。
「いや、ちょっと待って過去の私……流石に二十歳過ぎて魔法少女ってのは……
勘弁してほしい……」
だんだん小声になっている未来の葵に、現在の葵は言う。
「それ言っちゃうの……豊美ちゃんが聞いたら怒るよ……たぶん」
【終身名誉魔法少女】飛鳥 豊美(あすかの・とよみ)の決め台詞は、
「魔法少女は、いくつになっても魔法少女なんですよー」である。

★☆★

「……って、なんかえらいことになってますー!?」
男の娘達が服をボロボロにしている様子を見て、現在・ソアは叫ぶ。
「こ、このままではいけません! 蒼空のフロンティアは全年齢向け対応作品です!
こうなったら、私が魔法で皆を守らないと……」
「ふふ、ついに過去の私も魔法少女として目覚める時が来たようですね」
「えー、そういう展開なんですか!?」
「『シューティングスター☆彡』は前提アイテム『魔法少女コスチューム』ですからね!
さあ、変身ですよっ!」
未来のソアに言われて、恥ずかしがりつつも、ソアは着替える。
「ちょっと恥ずかしいですが、魔法の力でみんなを助けたいのは確かですから!」
「新旧の魔法少女が大集合して戦う……劇場版みたいですねっ!」
現在・ソアに、未来・ソアはノリよく言う。
「ほらほら、私達も、一緒に【突撃魔法少女リリカルあおい】に変身だよっ」
「あうあう……」
現在の葵に言われ、未来の葵も着替える。
未来のソアちゃんは、外見年齢が変わってないから……とかなんとか、未来の葵はいっていたが、
現在の葵は聞こえないことにした。
「「【突撃魔法少女リリカルあおい】!!」」
「「【迷走系魔法少女ストレイ☆ソア】!!」」
4人はポーズを決める。
「検索しよう……
キーワードは男の娘・蟄居・カンガンガニ……
『E☆2 27号』第3話掲載〜おとこのこうちょう!〜に今回のヒントがある!」
未来の葵は、小型コンピューターを手に言う。
「じゃあ、ソーセージでおびき寄せて一気に捕まえればいいんだね!
って、あれ!?」
現在の葵は言うが、
「きゃああああああ!?」
ハンターランクG(ギャグコメ)級の未来・ネージュは、大量のカニに苦戦していた。
さらに、オマタゲ・ソルデス一党も、男性だったために、大ピンチに陥っていた。
しかし、ドMのため、カニに切られるのもまんざらではない様子であった。
「「こうなったら、ダブル・シューティングスター☆彡ですっ!」」
二人のソアが流星を放つ。
「よーし、じゃあ、ここはサンダーブラスト!
巻き込まれた人に怒られてぶっ飛ばされても気にしないよ!」
現在の葵は、サンダーブラストを放つ。
「がふううううう!?」
「ああっ、未来のあたしーっ!?」
未来のネージュは、現在のネージュの前で、二人のソアと現在の葵の攻撃に巻き込まれていた。
「か、身体がしびれ……でも、これがイイ!!」
オマタゲ・ソルデス一党も、巻き込まれたが、快感に打ち震えていた。
「ご、ごめんなさーいっ! でも、蒼空のフロンティアは全年齢向け対応作品ですってば!」
現在・ソアは悲鳴を上げる。
こうして、カニをめぐる戦場は、大混乱を極めるのであった。