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ゴチメイ隊が行く4 ひょっこり・ぷっかり

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ゴチメイ隊が行く4 ひょっこり・ぷっかり

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彷徨う島へ

 
 
「なんで、こんなことになっちゃったんだあ」
 わいわいと集まった学生たちを見て、ココ・カンパーニュ(ここ・かんぱーにゅ)がぼやいた。ツァンダの反対側の南端に位置する岬に集まって、一同は今、雲海を前にしている。
「いつものことじゃない」
 あっけらかんと、リン・ダージ(りん・だーじ)が突っ込む。
「まあ、あれだけ派手に調べ物してれば普通はばれるよな」
「ええっとお、いいじゃないですかあ。楽しくてえ」
 マサラ・アッサム(まさら・あっさむ)の突っ込みをごまかすように、チャイ・セイロン(ちゃい・せいろん)が言う。
「いいじゃないですか。みんな楽しみにしているようですから」
 そう言う自分が一番楽しそうにペコ・フラワリー(ぺこ・ふらわりー)が言った。
「とりあえず、シェリルが来るのを待たなくちゃね」
 小ババ様と一緒出かけていったアルディミアク・ミトゥナ(あるでぃみあく・みとぅな)の合流を待つように、ココ・カンパーニュがみんなに言った。七不思議の彷徨う島の手がかりは、彼女とジャワ・ディンブラ(じゃわ・でぃんぶら)が知っている。出発は、二人が揃ってからだった。
「うう〜、どきどきするぅ。いいですよね、七不思議。今回の冒険は、忘れないようにちゃんと記録します」(V)
 以前、他の七不思議に遭遇したときになぜか記憶が飛んでいた浅葱 翡翠(あさぎ・ひすい)が、今度は忘れないようにとメモとペンを片手に言った。
「よーし、未知の大陸にむけて出発なのだあ!」
 もう待ちきれないとばかりに小型飛空艇を乗り回しながら、ハンニバル・バルカ(はんにばる・ばるか)が叫んだ。
「おーい、少しは落ち着こうよねぇ。出発は、まだまだ先みたいだよぉ」
 なぜか顔に足形の痣ができているクド・ストレイフ(くど・すとれいふ)が、自分の小型飛空艇を壊されないかと内心はらはらしながら叫んだ。
「どうしたのですか、その顔?」
 はしゃぎ回って騒いでいるハンニバル・バルカをたしなめようとやってきたペコ・フラワリーが、クド・ストレイフの顔を見てちょっと驚いたように訊ねた。どう見たって、不自然だ。
「いえ、そのぉ、大丈夫ですよぉ、なんでもないですからぁ。ああ、ハンニバルさんは俺がなんとかしますからぁ」
 まさか、のんびりと休日の惰眠を貪ろうとしていたところを、ハンニバル・バルカの顔面キックをもろに受けて叩き起こされたなどとは口にできないクド・ストレイフであった。
「そうですか。雲海にでたら単独行は危険ですから、ちゃんとしてあげてくださいね」
 軽く会釈して、ペコ・フラワリーがその場を去っていく。
「悪くはないかも……」
 ペコ・フラワリーの姿を見送ってから、クド・ストレイフは小さくつぶやいた。
 クド・ストレイフの本心は寝ていたかったため、ここへ来ることもあまり乗り気ではなかった。まあ、秘境探検というのであれば多少心惹かれたりもするが、手間を考えたら正直めんどくさい。とはいえ、ハンニバル・バルカを放っておくわけにもいかないのでついてきたわけだが、今ので半分眠っていた目がぱっちりと覚めた気がする。
 ハンニバル・バルカのお守りだけではたまったものではないが、よくよく周囲を見回してみると、ゴチメイたちを始めとする綺麗どころが結構揃っているではないか。
「これは、予想外でしたねぇ。いやぁ、眼福、眼福」
 にんまりとしながら、クド・ストレイフはがぜんやる気が出てきた。それにしても、初顔合わせが顔に足跡つきというのは、ちょっといただけない。それとも、強烈に印象づけたと思い込むしかないだろうか。
 とにかく、その前に……。
「行くよ、行くよ、行くよー♪」
「ハンニバルさんをなんとかしないといけませんか。はあ……、引きこもりにこれはつらいッス」(V)
 小型飛空艇を乗り回すハンニバル・バルカを見て、クド・ストレイフは軽く溜め息をついた。
 
    ★    ★    ★
 
「ふふふふふ、あれが噂のゴチメイとやらじゃな。あれだけたくさんいるのだから、一人ぐらいパイタッチしても、問題はなかろう」
 両手をワキワキさせながら、ウィンディ・ウィンディ(うぃんでぃ・うぃんでぃ)がそろりそろりとココ・カンパーニュの背後から迫っていった。魔鎧としては、人のボディサイズは特に気になるらしい。
「ちょっとお待ちなさい!!」
 あわてて、藍玉 美海(あいだま・みうみ)が後ろからウィンディ・ウィンディを羽交い締めにして引き止めた。
「なぜ止めるのじゃ!?」
 エロエロの藍玉美海らしくないと、ウィンディ・ウィンディが言い返した。
「命がおしいならおやめなさい。火傷じゃすまないですわよ、覚悟はよろしくて?」(V)
「ふっ、パイタッチぐらいで、何が起きるともあるまい。現に、沙幸をぺたぺたしても、どうってことなかったじゃろうが」
 ゴチメイをなめきって、ウィンディ・ウィンディが言った。
「まあ、ボロぞうきんになったあなたを縫い直して、部屋のお掃除に使ってあげたとしても、わたくしはよろしいのですけれど……」
「酷いことを言うのじゃ」
 ちょっと想像して、ウィンディ・ウィンディが顔を顰めた。布製の魔鎧としては、ぞうきんにされるというのはものすごい屈辱だ。もっとも、ただの人間にそんな芸当はできないであろうが。
「正直すまんかった!!」
 突然大声が響いたかと思うと、ココ・カンパーニュの前で国頭 武尊(くにがみ・たける)が土下座をしていた。
「いろいろあったとはいえ、ビデオを撮ろうとしたり、だきついて邪魔をしたり、パンツ、パンツと、はっきり言って迷惑をかけた。だからこそ、海賊島ではアルディミアクを助けるために努力もした。それに免じて許してくれ」
 地面に額をすりつけながら、国頭武尊ことパンツ番長が平謝りに謝る。
「まあ、過ぎたことだから。最後には、味方してくれたようだしね」
 もちろん、ココ・カンパーニュは、そこにいたるまでに国頭武尊がアルディミアク・ミトゥナが入れられていたシリンダの下からのぞこうとしてトライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)ノア・セイブレム(のあ・せいぶれむ)たちに阻止されたことは知らない。
 それに、世界樹の中での盗撮は記憶に鮮明に刻み込まれている。
「ただし、飛行中に今度撮影したら、こ・ろ・す……」
「本当か。もちろん、今回はビデオカメラなんか持ってないぜ。見てくれ、ほら……」
 言うなり、国頭武尊が着ていた波羅蜜多ツナギの前をがばっとはだけた。その下は、何も持っていないどころか、すっぽんぽんだ。
「お前はぁ!」
「むぎゅっ!」
 ココ・カンパーニュが、振り上げた手で国頭武尊の頭をがしっとつかむと、そのままめり込む勢いで地面に叩きつけた。
「さて、今顔を上げれば、命と引き替えに天国に行けるがどうする?」
 国頭武尊の頭を押さえつけたまま、ココ・カンパーニュが言った。
 なんだとと、国頭武尊が気力を振り絞って視線をわずかに動かした。視界のぎりぎりに、ココ・カンパーニュの絶対領域の太腿とパニエのレースが見えたような気がする、気がする、気がする……。だが、それ以外にもほのかに青白い光が上から照らされているような気がした。
「あのー、ココさん、もしかして星拳出してます?」
「もちろん」
 冷ややかな声が、上からした。
 生きるか死ぬかの選択を迫られる国頭武尊であった。
「よく分かったのじゃ……」
 そのすべてを見学してしまったウィンディ・ウィンディが、ブルブルと震える。
「ちなみに、あの星拳の威力は?」
「最大出力なら、イコンの一機ぐらい完全消滅できるぐらいですわ」
「ひー」
 藍玉美海の言葉に、ウィンディ・ウィンディが縮みあがる。
 確かに、スター・ブレーカーの最大出力なら戦艦クラスの大型飛空艇の一つぐらい吹き飛ばせるが、それには相応のエネルギーを吸収しなければならないため、使用者の身体が耐えられるという保証がない。そのへんは、藍玉美海はわざとスルーした。
「あのー、お姉ちゃん、何やってるんですか?」
 やっとやってきたアルディミアク・ミトゥナが、異様な体勢のココ・カンパーニュを見て少しあわてた。
「ああ、やっと来た。よし、あっちでいろいろ相談しよう」
 国頭武尊の頭を放すと、ココ・カンパーニュがその場を立ち去った。
「助かったのか……」
 国頭武尊は、全身からどっと汗が噴き出してくるのを感じていた。