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第四師団 コンロン出兵篇(第2回)

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第四師団 コンロン出兵篇(第2回)

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 戦闘が終わった後。
 大空洞は瓦礫の山と化していた。しかも、奥の横穴が多数ある部分も大規模な崩落を起こして、奥へ続く通路が何本も埋まってしまった。
「ああもう、どうするんだか、これ……」
 せっかく作った設備を破壊された天璋院 篤子(てんしょういん・あつこ)は嘆いたが、それで瓦礫の山が片付くわけもない。
「こうなった原因を作った人が率先して後片付けをするように! それでいいですよね、香取司令官!」
 ……と言うわけで、地下で戦闘することを主張した生徒たち(香取翔子本人を含む)が、瓦礫の撤去に邁進することになった。特に、横穴部分の大崩落を招く原因になった洋とみとは、篤子の監視のもと、朝から晩まで働くよう言い渡されてしまった。
「わらわは今はメイドさんであって、工兵ではないのに……」
 平和にアフタヌーンティーのサービスができるようになる日はいつ? と恨みがましい視線を向けられて、洋は笑ってごまかすしかなかった。
 
 
 戦闘が終わり、皆が瓦礫などの片付けに追われる中。早見 涼子(はやみ・りょうこ)は、作業の合間を縫って、ずっと気になっていたことを確かめるために、ながねこの長の元を訪れた。
「それで、私、こう考えたのですわ。コンロンにも古代のイコンがあって、あの龍騎士たちはそれを探しているのではないかと……」
「ムゥ。……龍騎士ノ目的ガ何カは判ラヌ。ガ、『いこん』ニツイテハ、確カニ伝承ガ残ッテオル」
 ながねこの長は「チョット待ッテテネ」とずるずると奥へ引っ込んだ。
 涼子はかなりの時間を、そこで待たされた。そして、やっとながねこの長が戻って来た時、その手には今にも朽ちてばらばらになってしまいそうな、古い巻物があった。
「コレニネ……オオット!」
 開こうとした端からぽろりと角が欠け、長は手を止めた。涼子も、触ったとたんに崩れてしまいそうな状態の巻物に手を出しかねて、長に尋ねた。
「その巻物には、何が書いてあるんですの?」
「コレハ、我々ノ歴史を伝エル、古イ古イ資料。ココニ、大昔ニモながねこハひとト共に戦ッタ、トイウ記述ガアル。ソノ中ニ、人間タチガオ前タチノ『いこん』ニ、トテモ良ク似タモノヲ使ッテイタトアルノヨ」
「で、それはこの洞窟の中にあるのですか?」
 身を乗り出して涼子に、長はかぶりを振って見せた。
「『ソレ』ガドコカニ取ッテアルノカ、アルトシタラ、ドコニアルノカハ伝ワッテオラヌ。……ダッテ、ながねこ達ニハ使エナイモノダカラ。アッテモナクテモ関係ナイシ」
「まあ、それはそうですわね……」
 涼子はがっくりと肩を落とした。
 「マア、ナニカ見ツケタラ教エテアゲルカラ、アンマリ気ヲ落トサナイデネ」
 長は劣化した巻物の表面についていた埃で汚れた手で、涼子の手をぽんぽんと叩いた。