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リアクション
「バルクはよしとして、ホーティは一体」
「バルクが暴走しているなら、ホーティがベルの機晶石を持ってる可能性が高いと思う」
「ってーと、なんだ?」
「多分、この機晶石の反応がそのままホーティの反応として問題ないと思うわ」
他の契約者達にバルクを任せたフリューネ。
その傍らではリネン・エルフト(りねん・えるふと)、フェイミィ・オルトリンデ(ふぇいみぃ・おるとりんで)がいる。
「なるほどな! さっすがリネンだぜ!」
「なら機晶石を追えばホーティも見つかるってことね」
「恐らくね。……それにしても、退屈しないわね。フリューネといると」
微笑んで、フリューネにそう言う。
「そう?」
「そうだ! なんでフリューネばっかこういうシチュに出会えるんだよ!」
「それは、風にでも聞いてみたら?」
「聞けるか!」
「ふふっ。そうだ、ヘリワード?」
『はーい。何かしら?』
呼ばれて返事をしたのはヘリワード・ザ・ウェイク(へりわーど・ざうぇいく)。
一人だけ三人と別行動を取っていた。
「何か異常はあった?」
『そうね。隠れながら陣地を構築してたのだけど、ここの住人、やっぱり女性しかいないわ』
「……女性しかいない島、ね」
『まるで空族団、男性恐怖症や嫌いな女性にとっては天国のような島、かもね』
「いろいろ調べたいことはあるけれど、とりあえずは機晶石が優先ね」
「リネン、住人がこっちに飛んでくる」
「了解。ヘリワード、何かあったら連絡して。こっちからもするから」
『りょーかい。気をつけてね』
ヘリワードとの連絡を一旦切ったリネン。
そこへ先ほどの住人が現れる。一瞬値踏みするように三人を見た後、すぐ笑顔に戻る。
「お三方、この島は初めてで?」
「ええ、ちょっと探しものをしてたら偶然ここにたどり着いちゃって」
「それはそれは、ここまでの道のりは大変だったでしょう」
「ああ、そりゃもう! だがここはいい島だな。なんたって男がいない」
「ちょっとフェイミィ」
リネンの制止も虚しく空振り、フェイミィが手をわきわきさせはじめる。
「男など邪道! 男は獣! ってことで、ここは一つオレが……」
「どういうわけよ、ばか」
「あたっ!」
「ふふ、面白い方達ですね。それにお三方ともお美しい。美女コンテストに出てみてはいかがでしょうか?」
「美女コンテスト?」
怪訝な顔つきで住人を見るフリューネとリネン。
フェイミィは、なんだかちょっとだけ耳をそばだてている。
「ええ、優勝者には人魚が贈られるそうですわ。もしかしたら、そこで探し人が見つかるかもしれませんよ?」
「……いろいろ教えてくれてありがとう」
「いえいえ、それでは」
笑顔を絶やさなかった住人は去っていった。
「美女コンテスト、ね?」
「ななっ、ちょっとだけ行ってみようぜ!」
「……気をつけていきましょう。何があるかわからないわ」
「リネン?」
「私たちはあの人に『人を探している』なんて一言も言ってないのに、あの人は『探し人』と言った」
「そういえば」
「何か思惑があるはず。ただ、ホーティがそこにいそうなことも事実だわ」
完璧に見えた住人のちょっとしたミスも見逃さないリネン。
リネンの言う通りフリューネとフェルミィ、ベリワードもいつでも手助けできるように準備を整え、会場へと向った。
「さーてと。大騒ぎに乗じて、普通にこれた訳だが」
バルク暴走騒動を隠れ蓑にし、一人でティブルシーの調査に乗り込んだ柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)。
「あっちで暴れてる奴等と勘違いされて攻撃されてもあれだし、隠れますか」
『光学迷彩』を使い自身の姿を消した恭也。
と、ほぼ同時にボロボロでおっかない武器を持った住人たちが走ってくる。
「早くしてっ!」
「ちょっと待ってよ! 普段こんな走ることなんてないんだから!」
「見つかって、はなさそうだな。しかし、おっかねぇな。あんなけったいな武器持って、重くないのか?」
住人の手には重厚感あるライフルが握られていた。
「そんなもの、今はしまいなさいよ!」
「あ、そうね」
住人の手に握られていたライフルが一瞬で消える。
「……ありゃ、【メルトバスター】と同じような仕組みか? 可能性は、あるか」
「はやくネフュラ様に報告しないと……!」
「ちょ、ちょっと待ってってば! こんなことなら、美女コンテストに出て人魚をもらっとくんだったわ!」
恭也に気付かず走り去る住人たち。
「ネフュラ様? ここの、親玉か何かか?
それに美女コンテスト、商品が人魚って。美人はいいが、もう少し胡散臭さを抑えられなかったのかねぇ」
あまりに怪しいティブルシーにはまだ何かありそうだと判断し、継続して調査を行う恭也だった。
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