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リアクション
「フーハハハハ! 契約者諸君! この大男の実験に付き合ってくれて、感謝するぞ!」
白衣を棚引かせ、眼鏡を光らせ、少しだけ息を整える天才科学者。
「我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、天才科学者ドクター・ハデス(どくたー・はです)!」
今日も今日とて勘違いしつつ登場したのはハデス。勘違い率であれば世界を狙える。
「この大男、名づけて機晶怪人一号を止められるかな? 他にもこんなものを用意しているぞ!」
【戦闘員】、46名の【信頼の空賊】を率いるハデス。その戦力は決して軽んじることはできない。
「もう、ただでさえ総出の住人たちを抑えるのが大変なのに!」
「こんなことになるとはな」
レンとルカルカの空賊、更には契約者たちでも相当な人数であるが、
相手もかなりの数で来ているうえ、ハデスの参戦により戦闘の規模は更に拡大していく。
「だが負けん。信じて進んでくれたフリューネのために」
「そうだね。さっさとバルクと、ついでにハデスの正気を取り戻してホーティを捕まえよう!」
「俺は至って真面目に正気だが?」
「正気なら下がりなさい!」
「だが断る! ヘスティア! ペルセポネ!」
呼ばれて現れたのはヘスティア・ウルカヌス(へすてぃあ・うるかぬす)、ペルセポネ・エレウシス(ぺるせぽね・えれうしす)。
「オリュンピアへの機晶合体を許可する! 敵の率いる空賊たちを蹴散せい!」
「かしこまりました、ご主人さ……ではなくハデス博士」
「わかりました、ハデス先生っ!」
「機晶合体、スタンバイ! そしてー! しょーにん!」
ウェポンコンテナ内部にちょこんと体育座りで入り込んだヘスティア。
そのウェポンユニットをペルセポネが担ぎ、もとい装着することで完成、名づけて。
『合体機晶姫オリュンピア!』
小さなペルセポネが巨大コンテナ(inヘスティア)を背負ってる図はなかなかに見ごたえがある。
「手術であんなに元気になったバルクさんのことを傷つけようとする人には負けませんっ!」
あの暴れっぷりを元気の一言でまとめてペルセポネが戦闘を開始。
住人以上に手ごわい相手の登場に空賊たちは更なる苦戦を強いられる。
「いきます! エネルギー全開の豪雷をお見舞いです!」
【轟雷閃】を融合機晶石【ライトニングイエロー】で底上げし、自慢の高機動戦をしかけるペルセポネ。
「い、いささか揺れますが……狙えないことはありませんっ」
近接戦闘は任せて詰みに詰んだミサイルユニットと機晶魔銃を撃ち、
相手の動きを止めつつペルセポネをサポートするヘスティア。
『合体機晶姫オリュンピア』は見かけによらずバランスがとれた、難攻不落の城に近いものがある。
「……」
しかし、ルニは気付く。難攻不落の城の意外な落とし穴を。
「ん? どうした、そんな大きな斧を持ってどわあ!?」
「外した」
「当たったら大惨事だぞ!」
難攻不落の城の弱点。それは城主でもあるハデスが無防備なこと。
「殺しはしない」
「そんな大斧振り回された後で言われても説得力というものがな! ぬお!?」
「ご主人様!」
「ハデス先生!」
城主の危機を見かねたヘスティアとペルセポネ。だがその行く手を阻まれる。
「悪いが、こちらも仕事でのぅ。バルク救出が今の仕事じゃて」
「ルニちゃんの邪魔はさせないよ!」
ルニと共にバルク救出に来ていた辿楼院 刹那(てんろういん・せつな)とアルミナ・シンフォーニル(あるみな・しんふぉーにる)が二人の前に立ちはだかる。
「そこどいてー! ハデス先生がピンチなんだからー!」
強引に突っ切ろうとするペルセポネをいなし、暗器を投擲。
無数の暗器がペルセポネを取り囲むように地面に突き刺さる。
「ならば、こちらも!」
「そうはさせないよ!」
ヘスティアのミサイルにはアルミナが対応する。
火、氷、雷の三種類の術をミサイルに相殺させる。更にその爆風によって数で押し迫るミサイルを誘爆させた。
「ちと甘いのぅ。まあ及第点じゃがな」
破壊しそこねたミサイルは刹那が手早く排除。
両者共々息のあったコンビネーションを見せつけ一進一退の攻防を繰り広げる。
「うむぅ、こやつら見かけによらずやりよる。さっさとバルクを救出したいんじゃが」
「ルニちゃんは大丈夫かな? あんまりそっち見れてないんだけど!」
「さてはて、どうかのう。まあ早いとこバルクの動きを鈍らすためにも、おぬしらには退いてもらおう!」
真正面から戦っていた刹那はなりを潜める。住人や契約者たちの影を縫って、相手を翻弄する。
「く、このままではご主人様が!」
「どいてったらー!」
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