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【サルヴィン川花火大会】花火師募集!?

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【サルヴィン川花火大会】花火師募集!?

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第4章 静かな場所で花火を

 花火が披露された後、未だ喧騒で賑わう屋台の通りから離れた場所で、手持ち花火を楽しもうとしている者たちが居た。
 2人用の線香花火を作った北都とクナイは、持ち手のそれぞれを手にすると、先端に火をつけた。
 飛び散り始めた火花はピンク色だ。
 先端を落とさないよう、2人は絶妙な力加減を加え、蝋燭の傍を離れるよう移動する。
 落ちることなく移動できると、ピンク色だった火花は赤色に変わりつつあった。
「赤に変わりきれば、それだけ絆が高いということでございますね」
「そうだねぇ」
 クナイの言葉に、北都は嬉しそうに微笑んだ。
 その笑顔をクナイは素敵な夏の思い出として、焼き付ける。
「最後まで玉を落とさなければ願いが叶うと、願掛けするのはどうでしょう?」
 遥は作った線香花火をエメネアをはじめ、共に大会を楽しんだ者たちに配った。
「そうしましょう! 遥さんは何を願うのですかー?」
 花火を受け取りながら、エメネアは頷き、そして遥へと訊ねた。
「内緒です」
 言いながら、遥は花火の先に火をつけた。
(また来年も皆で花火大会にいけるといいな……)
 そう願いながら、火花を散らす先を見つめる。
 司は、作った花火を蝋燭に近付け、火をつけてみた。
 想定では、弾けた火花が羽の形になるはずだ。
 ポンと音を立てて散った火花は、少しばかり不恰好ながら羽の形を象った。
「よかった、上手く出来たわ」
「私もその花火、させてもらってもいいですかー?」
 喜ぶ司にエメネアが声を掛ける。
「もちろん、今日のお礼も兼ねて……持って行って」
 笑顔で告げれば、エメネアは喜び、司の花火を手にしていく。

 人気のないところで、透乃と陽子は、互いの花火を披露し合おうとしていた。
 まず、先に火をつけたのは透乃の作った花火だ。
 火をつけると、ニンジンのような形をした火花が、5つ連なって形作っていく。
「透乃ちゃんの花火、可愛らしいですね」
「うん、上手く出来てよかったよ」
 喜びながら、いくつかのニンジン花火を楽しんだ後、陽子の作った花火も楽しもうと、取り出した。
 その前に、と陽子はデジタルカメラを取り出すと、少し離れたところに置いて、セルフタイマーをセットする。
「はい、良いですよ」
 戻ってくると、線香花火に火をつけて、2人寄り添った。
 タイマーを知らせるランプが点滅をはじめ、間もなくシャッターが切れることを告げる。
 その瞬間、透乃が陽子の唇目掛けて、口付けた。
「!」
 陽子は驚くけれど、避けることはせず。
 カメラは2人の仲の良いところを残した。

「日本……じゃないけど暑い夏はかく過ごしたいものですよねぇ」
 豚の蚊取り線香を用いて、虫除けを施しながら、レティシアとミスティは、蛇花火やネズミ花火などを楽しんでいた。
「この花火、おかしな動きをするのね」
 大きな――打ち上げ花火に続き、小さな――手持ち花火を見るのも初めてのミスティは、色とりどりの火花を散らす花火に感動してみせ、蛇花火やネズミ花火の奇怪な動きには、驚きを見せる。
「最後はこれですよぉ」
 そう言ってレティシアが掲げてみせたのは線香花火だ。
「これは……締めの花火として、最適ね。盛り上がった心が落ち着くよう……」
 小さく火花を散らす線香花火に、ミスティはしんみりとした気持ちになった。