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第二章 園児救出大作戦!


「さて、おいしい昼食のために材料を仕入れますか」
 先ほどまで幼稚園にいたルイ・フリード(るい・ふりーど)は昼食が近くなって森にやって来た。子供を捜しながら移動しているが、どこにもいない。
 代わりに現れたのは、かなり巨大なツァンダグリズリーだった。
「これで最高の熊鍋ができますよ」
 ルイはあっという間に仕留め、その場で血抜きをして解体を済ませて新鮮な肉を手に幼稚園へと急いだ。

 園児達を追って芦原 郁乃(あはら・いくの)秋月 桃花(あきづき・とうか)が森の中を歩いていると少し先から大きな泣き声が聞こえてきた。
「郁乃様、急ぎましょう」
「うん」
 声に気付いた二人は急いだ。辿り着いた先には空腹と心細さで大泣きしている子供が二人いた。

「怖いよぉ、せんせぇ」
「お腹、空いたよぉ」

「みーつけた。幼稚園に帰ろうか」
 大泣きする子供達に最初に声をかけたのは郁乃。不安がられないように陽気に。
「お姉ちゃん!」
 子供達は二人を見て少しだけほっとしたのか泣き止んだ。
「大丈夫ですよ。お姉ちゃん達と一緒に帰りましょう。帰ってみんなと雪だるまと遊びましょう」
 桃花も優しく子供達に声をかけて安心させる。
「うん」
 子供達はこくりとうなずき、心細さがどこかにいったが、突然遠くからツァンダオオカミの遠吠えが聞こえてきた。途端に止まっていた涙が溢れ始めた。
「泣かなくても大丈夫だよ。オオカミでもグリズリーでもへっちゃらだよ。お姉ちゃん強いんだから」
 再び泣き始めた子供達に郁乃は右腕を曲げて強いんだぞアピールをする。
「郁乃様がいれば大丈夫ですよ。ほら、手を繋ぎましょう」
 桃花は優しい笑顔を浮かべながらすっと手を差し出した。ずっとここにいるわけにはいかない。いつモンスターが現れるのか分からないのだから。
 子供達を真ん中にして左右を郁乃と桃花が挟む。
「何か歌いながら帰ろうか。お姉ちゃんに幼稚園で習ったお歌を教えてよ」
 手を繋ぐだけでは不十分だと思った郁乃は何か気を紛らわす方法として歌うことを提案した。
「うん」
 郁乃に言われて子供達は幼稚園で習ったばかりの童謡を歌い始めた。二人も一緒に歌い、繋いだ手を振りながら元気よく森を抜けて行った。