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【秋のスペシャル】はーろーーーうぃーーーーーーーんっっ!!

リアクション公開中!

【秋のスペシャル】はーろーーーうぃーーーーーーーんっっ!!
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リアクション


●R U Enjoyed ?

 鍔が広く、尖った頂上部が、やや斜めに倒れた三角帽子。
 フリルのついたワンピースも、本革のブーツも、その留め金に至るまですべてが黒、黒一色の扮装である。
 月光を浴びすっくと立つ、彼女はローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)
 だがこの服装は、ローザが亡き友を想定して凝らしたものであった。
 友は、名を大黒澪(おぐろ・みお)という。又の名をクランジΟ(オミクロン)
(「――澪、今夜くらいは、いいわよね?今夜くらいは貴方として、貴方の想い出と共に……」)
 本当に澪が着ていた服は、某所に安置してある。これは、限りなく澪のものに近づけた衣装だ。
 まだ今はつけていないが、黒目のカラーコンタクトと黒いウィッグも用意している。ある人に見せる際は、その両方も使って完全に澪になりきるつもりだ。彼女に告げる言葉も決めてある。オミクロンとして告げよう。
「私はいつでもお前の傍にいる。ただ姿が、なくなっただけだ。目で見る事なく、私をお前の思うままに感じて欲しい。しんみりするなんてお前らしくもないな。また、いつもみたいに笑ってくれないか?」
 と。
 しかしそれは、もう少しだけパーティを楽しんでからにしよう。一時的に『澪』となるのは。クランジΡ(ロー)ことローラに見せるのは……。
「だからもう少しだけ」
 ローザマリアは言った。
「もう少しだけ、あなたをいじらせて」
「って、冷静な口調でなに言ってるのぉぉ!」
 いじらせて、と言われた少女、コケティッシュな小悪魔ッ娘(に女装させられた)榊 朝斗(さかき・あさと)はもじもじしつつ内股で抗議の声を上げた。
「だってあなた、可愛いんだもの」
 朝斗のあごを指でさわさわしつつローザは眼を細める。
「ルシェンとうちの英国王に作ってもらったのね。素敵よ」
 今夜も女装ナイトな朝斗だ。今やすっかりお馴染みの『魔法少女マジカルメイド☆あさにゃん』をベースに、黒をベースにしたハロウィンカラーのゴスロリ服を着させられ、羊の角を小さくしたかのような角を頭部につけさせられている。女性らしくくびれた体型は、コルセットで締め上げたおかげだという。コウモリ状した背中の翼にも着目したいところだ。
「仮装パーティと聞いた途端、二人ともおおはしゃぎで僕を……」
「コーディネートしたって話なんやね……その……全オレが泣いたっつーか、イイハナシダナー」
 皆まで言うな、とばかりに、七枷 陣(ななかせ・じん)が言葉を継いだ。
 陣はその手の趣味はないが、いまの朝斗は冗談抜きで魅力的だ。事情を知らなければ絶対に本当の女子だと思ったことだろう。さりげなく女の子ちっくな動作も板につき始めている。たとえばスカートの前を両手で押さえる仕草が、なんとも色っぽかったりするのだ。
(「無意識のうちに朝斗くん、女装の楽しさに目覚めはじめてへんか……?」)
 などと陣は心配してみたりもする。
 心配といえば、だ。
(「別に怒ってないけどな」)
 今、ここいるべき人を陣は密かに想った。
 軽く開いた口から白い牙が顔を出している。今、陣は吸血鬼の仮装をしているのだ。
 吸血鬼の扮装といえば黒、というイメージを逆にして、白タキシードと白マントな全身白ずくめとし、目は青と赤のカラーコンタクトでオッドアイにしてみた。
 陣はおすましして微笑を浮かべている。
 怒っていないから微笑できる。
(「一言も相談もしないで、不幸にするとかファイスみたく勝手に思い込んで、一人で何もかも終わらせようと無茶して出て行って……」)
 あの日、残されていた大黒美空(おぐろ・みく)の手紙は、今も陣の胸ポケットに入れてある。
(「……ホントにそんな事で怒ってナイヨ?」)
 繰り返す。怒っていないから微笑できる。
 多少つくり笑いっぽい微笑に見えるかもしれないが、怒ってないから! (陣のパートナーたちが今の彼を見れば、別の感想を持つかもしれないが)
「待たせたのならすまない」
 そこに、すらりとしたミイラ男が歩み来た。
 といっても現役古代エジプシャンではなく、現代に馴染んだミイラ男といった様相だ。
 包帯でぐるぐる巻きにした上にコートを着こなし、彼は軽く一礼した。見守るローザと陣に、
「俺だよ」
 と、彼が顔の包帯だけほどくとそこから、柊 真司(ひいらぎ・しんじ)の笑みが現れた。
「真司さん……」
 ところが振り返った朝斗を見て、真司は息を呑んだ。理由はご想像の通り。
 しばし言葉を失ったがさすがは真司、すぐに冷静さを取り戻して得心顔となった。
「まさか朝斗にそういう趣味があったとはな……いや、いいんだ。俺は受け入れる」
「な、なんか謝った理解をされてる気がっ……!」
「隠さなくてもいい」真司はゆっくりと首を振った。「だからといって俺は、接し方を変えたりしない」
「違うのに〜」
 朝斗は思った。(「あぁ……穴があったら本当に入りたい」)と。
 切実に思った。
 そのとき真司はすでに、Cinema Exceed(携帯電話)を用いて朝斗を撮影していた。
 恥ずかしいような、困ったような朝斗の顔が綺麗に写っている。
「行動早っ! こ、こんな姿は記録に残さなくていいので……」
「記録に残すわけじゃない。メールしようと思ってな」
「いやそれはますますっ!? あっ!」
 朝斗が反対する声を、ローザが素早く封じてしまった。彼と肩を組んでウインクする。
「いいじゃない? みんなに見てもらいなさいよ……ふふ、朝斗ったら、息を荒くして……実は興奮してるんでしょう?」
「興奮してるっていうより、コルセットが締めつけて息が苦しいだけで……」
 などと言っている間に真司がまたもシャッターを切った。
 朝斗を気の毒に思いつつも、しっかり陣も並んで写った。
「あー」
 朝斗の嘆き虚しく、真司のメールは、その一秒後には発信されていた。
 彼が送ったメールは、ユマ・ユウヅキに宛てたものだ。

「ユマへ
 元気にしているか?
 仲間やローラと一緒にハロウィンパーティーに参加してな。
 写真を添付しておくので気分だけでもハロウィンに浸って貰えればと思う

 追伸:次は連れていく」


 さあ、と、まだジタバタする朝斗の背中に触れてローザは言った。
「そろそろローラに挨拶に行きましょう。この娘を連れてね」
「そうしょっか……あ、俺も撮影しとくな」
 陣もてろーんと電話で彼女ら(?)を撮るのだった。
 陣がこのメールを送る相手、そして文面、いずれも既に決めている。

「ハロウィンパーティなう
 美空も来りゃ良かったのに
 てか直ぐに見つけて一回ハリセンかますからな
 …それまで絶対生きてろよ

 居候先の家主より」