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【秋のスペシャル】はーろーーーうぃーーーーーーーんっっ!!

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【秋のスペシャル】はーろーーーうぃーーーーーーーんっっ!!
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リアクション


●ハロウィンのパレード〜想いを乗せて

 百鬼夜行ならぬハロウィンパレードはいよいよクライマックスに向かっていた。
 紙吹雪が舞う。ジャック・オ・ランタンが踊る。案山子の人形、電飾の山車、そのすべてがこの夜を、まるで絵本の一枚のように彩っているのだ。
 パレードの中央付近を、山葉 涼司(やまは・りょうじ)火村 加夜(ひむら・かや)が並んで歩いていた。
 二人は公私ともに認める恋人同士だ。涼司の手は、加夜の手を握っている。
 加夜の衣装は透き通るようなブルー、袖は裾に独自の刺繍がなされており、肩の部分が少し空き、白い肌を見せていた。魔法使いの格好だという。
 一方で涼司はといえば、クラシックな吸血鬼のスタイルで統一していた。貴公子のような衣装、マントの裏地はワインレッドだ。オールバックにして額を見せ、牙をつけて本格派にしてみる。これは既製品のパーティ衣装なのだが、まるで涼司一人のためにデザインされたかの如くぴったりだった。
「こうして明かりの下でみると改めて、やっぱり似合う、って思います! 涼司くん、本物のドラキュラのようです」
「そうかな? たまにはこうして羽目を外すのも悪くないな」
 加夜は心配していた。涼司は学長として準備に追われ、今夜も七夕のときのように忙殺されないだろうか。
 だから彼女は「準備と事後の書類整理手伝いますから」と言って涼司を誘ったのだった。
 しかし加夜の懸念は杞憂に終わった。彼は一日、自由に過ごせていた。
「意外にもあのエリザベートが真面目に書類仕事をやってくれてな。どうやらエリザベートの周囲がきちんと指導してくれたらしい。それに、ローラもよくやってくれた。字を読むのは苦手なのに、きちんと必要なものを揃えてくれた……おかげで、今回は随分スムーズに仕事が進んだよ」
 もちろん、と彼は言うのを忘れなかった。
「加夜の手伝いにも感謝している。……それと、詫びたい」
 涼司は恥じ入ったように言う。
「七夕では忙しさにかまけて、加夜のことをあまり構ってやれなかった……」
 あの気丈な涼司が、本当にすまなさそうな顔をしていた。こんな表情を彼は、彼女にしか見せないだろう。
「そ、そんなことないですっ」
 本当は寂しく思っていた加夜だが、それはあえて触れずに言った。
「私のことはいいんです。涼司くんが、七夕の時は忙しくて楽しんでくれてたのか不安でした。だから、ハロウィンは楽しんでほしいって思います」
「大丈夫」
 すると涼司は、作り物の牙をのぞかせ笑顔を見せた。
「楽しんでるよ。存分に」
 ――てらいのない笑顔、やはりこれも、加夜にしか見せない涼司の表情だろう。
 今だけは……加夜は思った。(「今だけは、涼司くんには生徒に戻ってもらいたいです」)
 その願いは叶っている。涼司はまるで、鎖から解き放たれた子犬のようにパーティを満喫していたからだ。このパレードにも、率先して加夜を引っ張り込んだのである。
 少し引いた位置から、レギオン・ヴァルザード(れぎおん・う゛ぁるざーど)は涼司と加夜の背中を見つけた。
(「無粋は望むところではないが……ま、報告だけならいいだろう」)
 レギオンはパートナーのアドバイスもあって、超感覚を用いた仮装を行っていた。
 体の各所を黒ヤギ(正しくはアイベックス)化し、巨大な角を頭の両側に生やしている。膝から下も完全にヤギのものとした。衣装は全て黒のコート、腰には反りの少ない日本刀を差している。余裕のあるパンツ姿なので、禍々しい脚は綺麗に隠れている。
 その姿で彼は、ブラックコートの機能を用いて気配を消し、音もなく涼司の背後に接した。
「……っ! 何だ!」
 恋人と睦んでいた涼司には、これは青天の霹靂だったらしい、やや肝を冷やした様子で振り向いた。
「……雇っておいてその態度とはご挨拶だな」
 まあ、驚いてもらうのを期待していたのだがね――とは言わず、またニコリともせず、魔物姿のレギオンは言う。
「レギオンか。脅かすのはなしにしてもらおう」
 涼司の顔つきは一学生のそれから、学長のものへと転じていた。ほう、と内心感心しつつも、やはり称賛の色など見せずレギオンは告げた。
「羽目を外し過ぎている生徒がいないか、仮装して見廻ったが、今のところは大丈夫だ」
「そうか。もうしばらく頼む」
「了解だ。ではパレードの中に潜ませてもらうとしようか」
 レギオンは告げて、再び音もなく恋人たちから離れた。
(「では見張るとするか……せっかくの二人の時間だ。最後まで平穏に保って見せよう」)
 レギオンの口元には、我知らず笑みに似たものが浮かんでいた。
 蓮見 朱里(はすみ・しゅり)も涼司の近くにいます。彼女は手に盆を持って、そこに乗ったお茶やお菓子を配っていました。(山車があれば山車にお茶の用意を乗せています) 朱里も幸せそうな表情です。もうすぐ生まれてくる子のことを考えているのかもしれません。
 古城を模した山車から、蓮見 朱里(はすみ・しゅり)が姿を見せていた。
「仮装もいいけど『トリック・オア・トリート!』なら、もう一つの主役のトリート、つまりお菓子も欠かせないよね」
 彼女は手に籠を持ち、そこからお菓子を配るのだった。ゆっくりするむ山車から身を乗り出し、手を伸ばす人々に渡していく。
 目の覚めるようなお菓子の数々だ。
 大きめサイズのパンプキンパイや、かぼちゃや黒猫、オバケちゃんを象ったクッキー……キャンディも色々そろえた。いずれのお菓子も、丹精込めた彼女の手製だ。すべてがポップで楽しげに彩られていた。そのまま食べてしまうのが勿体ないほどである。
「どうぞ。それから、お茶も用意してあるんだよ。温まりたい人も遠慮なく申し出てね」
 そばのテーブルでは、ティーポットが湯気を上げていた。
 そんな朱里の装いは清楚なメイド服だった。長袖でスカート丈は長め、加えて超感覚で白猫の耳と尻尾を生やし、背中にはコウモリの付け羽までしている。どういう仕掛けか、この翼はときどきパタパタと羽ばたくのである。
 すでに朱里の妊娠は7カ月目に入っていた。腰回りがふんわり広がったデザインのスカートなので遠目にはそれとわからないかもしれないが、女性であればそこに、新たな生命が鼓動していることがわかるのではないか。
 お腹の子はまだ外の世界を見てはいないけれど、この場所に満ちている音、楽しい雰囲気、それらはすべて吸収していることだろう。
 来年のハロウィンは、産まれてくる赤ちゃんと一緒だ。

 すでに季節は十月の末、今夜は生温かいとはいえ、時折吹く木枯らしは冷たい。
 このときも、加夜は剃刀で撫でられたような寒さを感じた。
 ぶるっ、と身を震わせたそのとき、加夜は風の寒さに十倍、いや、百倍するようなぬくもりを肩に覚えたのである。
 加夜の肩を、涼司の腕が抱いていたのだ。
「寒くないか?」
 涼司は目に、これ以上ないほどの優しさを浮かべて問うた。
「ううん」
 小さく首を振った加夜の耳元に、涼司が唇を寄せてなにか囁いた。
 一瞬、加夜は驚いたような表情をする。頬が、ぱっと紅くなる。
 そして、ややあって、
「私も」
 と、彼女は嬉しさに胸を高鳴らせつつ、彼に言葉を返したのである。
 涼司が何と言ったのか、それがなぜ、加夜をこれほど幸せな気分にしたのか。
 それは二人だけの、秘密。


担当マスターより

▼担当マスター

桂木京介

▼マスターコメント

 マスターの桂木京介です。
 ご参加いただきありがとうございました。

 今回はイラストシナリオということで、普段とは少々、構成を変えてお送り致しました。
 楽しい仮装とパーティの一夜、気に入っていただけたでしょうか? 皆様の思い出作りに協力できたとしたら、マスターとしてこれ以上の喜びはありません。

 美麗なイラストをじっくりご鑑賞いただきたく思います。イラストレーターの皆様、本当にお疲れ様でした。
 本来、追加負担のないNPCの登場指定や、五人以上のPCが描かれるご指定は、通常商品では行うことができませんが、今回はイラストシナリオということで特別に描いていただいております。

 それでは、また近いうち、新たな物語でお目にかかりましょう。
 桂木京介でした。