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闇世界の廃校舎(第2回/全3回)

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第10章 台座に隠されし謎

-AM2:00-

「俺も考えてみたんだが・・・」
「何か分かったんですか?ではもう一度メモとりますね」
「騎士は常に王の右側に控えている。つまり王の右側には騎士を。女王と王以外は騎士だから王は西列となる・・・。しかし4人の騎士は王の背後を狙っていた・・・これは王の背後に騎士を置けってことだろ?」
 謎の言葉の意味について速人が説明していく。
「そして騎士を王の右側と背後へ北から時計回り順に、大きい数字から並べていけば完成だと思うんだが」
「そうなるとカードの並びはどうなります?」
「まずは北側にJのカード、Kはその近くの北西の位置。西には6のカード・・・南西にQ、南に7・・・8は南東・・・9が東にきて、10が北東だな」
「では俺の考えも言おう」
「はいどうぞ」
 メモ帳のページを捲り、イーオン・アルカヌム(いーおん・あるかぬむ)の言葉をメモにとる準備をする。
「北にキング、北西に6のカード西がクイーン、南西は7で南には8・・・南東には9のカードがにくるのであろうか・・・。そして東にジャック、最後に北東へ10のカード・・・という感じだな」
「えっと・・・メモしました」
「それでは俺も・・・まず始めにスペードのマークは剣を表し、それを持つ騎士としての意味を持つと考えます。謎の文章中の王はキング・・・女王がクイーン・・・騎士は数字と考えます」
「ふむふむ・・・続きをどうぞ」
 御凪 真人(みなぎ・まこと)の言葉を聞き取りメモしていく。
「キングは8枚のカードの中でポーカーなどで、一番強いカードなので北に配置します。騎士は常に王の右側に控えている・・・と言う文からキングの位置より。右側の北東・・・東・・・南東が騎士で埋まると考えます。しかし・・・4人の騎士は王の背後を狙っていた・・・よりキングの背後の位置を東、南東・・・南・・・南西・・・西。女王も王を疎ましく思う・・・ことからクイーンも騎士と同じく背後に置くと考えます。ジャックのカードは王子を指すのではないでしょうか」
「それでカードの並びはどうなるの?」
 セルファ・オルドリン(せるふぁ・おるどりん)が横から口を挟む。
「以上の条件にあわせカードを強さの順で並べると、北にキング・・・北東10、東9・・・南東8・・・クイーンは南に配置して、南西7・・・西6・・・北西ジャックと考えます」
「当たっているのかしら・・・?」
 エイルのメモ帳を覗き込み、セルファはボソッと呟く。
「ちょっと思いついのでいいですか?」
「えぇどうぞ」
 今度はロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)が謎解きに挑戦する。
「とりあえず、王様が一番偉いのですし・・・前かな?」
「なるほどですね・・・」
「騎士は背後を狙っているのだから背後にはいなくて・・・、女王様は王様と一緒は嫌っぽいから一番離れている背後でしょうか。後はジャックが騎士であるなら・・・。正面と背後が埋まっていますから、ジャックが右前から数字の大きい順にぐるりと時計周りですかね。北にキング、北東へジャックのカード、東には10・・・南東9、南へクイーン・・・南西8・・・西7・・・そして北西6でしょうか?」
「面白い考えですね、他に意見のある方いますか?」
「俺も少し考えてみたんだが・・・8枚のトランプはトランプのカードとして見ずに、タロットのカードとして考えてみた」
「タロットですか・・・なるほど」
 葉山 龍壱(はやま・りゅういち)の考え方に頷きエイルはメモをとる。
「そうすると10から7のカードの意味はあまりいい意味ではない。よってこの4枚が王の背後を狙う騎士ということだろう。女王は王を疎ましく思っている事から一番遠い王の後ろに置くことが妥当だろうな」
「他の人とはちょっと違う視点から考えてみたんですね」
 龍壱の説明に空菜 雪(そらな・ゆき)は関心したように言う。
「最後に置き場所の時計回りにある強さだが、これはただ単に数の大小を表しているだけだろう」
「カードはどういうな位置になるんですか?」
「以上のことからの俺の考えだが、北から時計回りにK・・・J・・・10・・・9・・・Q・・・8・・・7・・・6の順番だと思う」
 よくわからないという顔をする雪に、龍壱は説明を続けた。
「次は私の案を言います」
 最後に牛皮消 アルコリア(いけま・あるこりあ)が提案する。
「北にジャックのカード、北東10・・・東9ですかね?それで南東には8・・・南7・・・南西6。西へクィーンのカード、北西にはキング・・・じゃないでしょうか」
「うーん・・・それじゃあボクの考えも♪」
 円も謎解きに参加しようと案を出す。
「まずは北キングを外向きにして北東クイーンを内向きに差し込む。続けて外向きにジャック。10・・・9・・・8・・・7を内向きに差込み最後に北西に6を外向きにはめ込む・・・という感じかな?」
「えっと・・・案はこれで全部でしょうか」
 メモにとった順番に台座にカードを差し込んでみることにした。



「このカードはここに・・・と。うーん特に変化はありませんね」
 真人は自分の案通りにトランプカードを台座へセットしてみるが何も起こらなかった。
「俺の案も駄目だったか・・・」
「外れてしまったか・・・・・・」
 イーオンと龍壱も試してみるが何も変化しない。
「それじゃあ次は私の案ですね。うーん・・・残念です何も起こりません」
 カードをロザリンドがセットしてみても、台座にまったく変化が起こらない。
「外れてしまったみたいですね。どうしましょう・・・」
 考えが外れたアルコリアは残念そうな顔をする。
「もしかして・・・ここでもう一泊とかするはめになるんでしょうか。怖いっ、めっちゃ怖いです。お漏らししそうなので、シーマちゃん胸揉ませて」
「アルコリア殿・・・シーマ殿は揉むほど・・・」
 ランゴバルト・レーム(らんごばると・れーむ)は首を左右に振り、深くため息をつく。
「ランゴバルト、そこへ直れ。正面から叩き斬る!」
 怒りを爆発させたシーマ・スプレイグ(しーま・すぷれいぐ)は、カルスノウトの柄を握り締めランゴバルトに詰め寄る。
「(奥ゆかしさを持った方が良いと思うのじゃが)」
 最後の一歩を踏み出さず睨みつけるシーマに、言葉に出さずにランゴバルトは心中で呟く。
「むぅ・・・ボクも外れ・・・・・・」
 円はションボリとした顔をする。



 何か案が出るまでロブとメイベルは生存者に、ゴーストについて聞いてみることにした。
「ゴーストタウンについて調べていたみたいだが、ここのゴーストたちについて何か知らないか?」
 謎解きをしようとしている生徒たちを見ているルフナにロブが話しかける。
「そうどすなぁ・・・幽霊や妖怪とかとちごうて人為的に作られた感じやね」
「というと・・・?」
 傍で聞いていた筐子が会話に入る。
「顔がすっぱり斬り取られているのっぺらぼうを見た時も思うたんやけど、あないなの自然的に発生せーへんやないか」
「―・・・誰かがそれを作り出し、それが町に迷い込んだ人々を手にかけ、使者となった行方不明者が強い念によって新たなゴーストとなったということだろうか」
「ていうことは・・・・・・誰かの仕業ということですか?」
 首を傾げてメイベルが問う。
「うちはそう思うとる」
「一体誰がこんなことを・・・。この町の中や校舎・・・病棟とかで怪しい行動をしたりしている人を見かけませんでしたか?」
「せやなぁ・・・探索中にどこかで会ったかもしれへん」
「その人の顔を覚えていたりは・・・」
「探索に夢中で覚えていないわ」
 横からラビアンが口を挟む。
「それじゃあ質問を変えます・・・。この町の時計や私たちの携帯電話の時間も止まっちゃっていますけど、それについて何か調べてみたりしました?」
「きっとこの町に徘徊しとる幽霊の強い念の影響やね」
「その念が消えれば、この町の時間が動き出すかもしれないんですね」
「まぁそうなるやろうなぁ。せやけど一度そうなってしまった場所を、人の手で元に戻すのはなんぎなことなんどす」
「―・・・そうなんですか・・・」
 ルフナの説明にメイベルは沈んだ表情をする。



「やっぱりカードゲームを重点に置いて考えた方がいいんじゃないかな?」
「そうだな・・・何か相当しそうなのがあるか?」
 綺人の言葉に頷き、イーオンは生徒たちの顔を見て意見を求める。
「―・・・・・・トランプのカードゲームなら・・・ポーカーとかか?」
 少し考えるように間を空けて黎が言う。
「数字通りにならべるなら、七並べとかあるな」
「その他にダウトとかありますよね」
 龍壱に続けて真人も例をあげてみる。
「4枚の同じカード・・・これに該当するのはポーカー以外にもあるよな。革命・・・という言葉を使うようなゲーム・・・・・・」
「なるほど・・・」
 考え込みながら言う、速人に綺人が頷く。
「―・・・ちょっと思いついたからやってみるよ」
 カードを北側に6、北東には7のカードを差し込み、東8には東南に9、南側へ10のカード、南西側へジャックのカードを差し込んだ。
 続けて西側クイーン、最後の北西側にはキングのカードを差し込む。
 台座の蓋がガタンッと外れ、中を覗き込んでみると人の頭が見えた。
「これは・・・なんだ?」
 速人たちが台座したら取り出したのは人の頭だった。
「どういう仕掛けになっているんでしょうか?」
 優希がパシャリと1枚、デジカメに撮った。