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闇世界の廃校舎(第2回/全3回)

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第5章 悪魔の喰らい合い

「この感じ・・・カガチさん!何かくる!!」
 椎名 真(しいな・まこと)は突然苦しみだし、床に手をついて座り込んでしまう。
「どうした・・・大丈夫か?」
 顔から汗を流して様子のおかしい真の肩を、東條 カガチ(とうじょう・かがち)が掴んで揺らす。
「どこか具合でも・・・てっ、おわぁっ!?」
 ドンッとカガチと突き飛ばすと真は、異変に気づいていない巽に背後から襲いかかる。
「くぅ・・・!」
 襟首を掴むとそのまま持ち上げ、真はケタケタと笑う。
 捕まった巽は苦しそうに足をばたつかせる。
「何やっているんだ!―・・・うぐっ」
 止めようとするカガチに巽を投げつけ、今度は調理室に駆け込み幸たちを襲撃する。
「だぁっ、なんでめんどくせーことになってんだよ、おめぇ!」
 掴みかかろうとする真から逃れ、縁は目を丸くして驚愕の声を上げた。
「大事な実験中です!何とかして、外でやってください!」
 ハルバードの柄で真を追い出そうとするが、床に倒れてもすぐに起き上がり暴れまわる。
「こいつ・・・何かにとり憑かれているぞ・・・」
 縁はどこを見ているのかわからない瞳孔の真から離れる。
「よぉベイビィフェイスのクソ執事!てめえに迷ってとり憑かれてなぁにが護るだ!てめえの身一つ護れねえでよ!」
 カガチが暴れる真の頭を掴み、廊下の方へぶん投げた。
「顔だけでなく根性までガキか。向いてねえよ、執事なんか辞めちまえこのデキソコナイ」
 叩きつけられた衝撃で血を吐き、床に転がる真を見下ろして嘲笑う。
「ああそうだ向かって来い。あんたの相手はこっちだ・・・踊ってやるよ椎名真!」
 ギロリと睨む彼を素手で相手してやると誘う。



 バスタードソードを調理室の方へ投げ、真に殴りかかる。
「あんた相手に武器なんて必要ない。素手で相手してやるよ」
「コワレ、ロ・・・ク・・・ダケロ・・・ァアアアア!」
 ゴスッと互いの顔を殴りつけた。
「そんなへなちょこ、効かねぇよ!」
 カガチは拳でツインスラッシュをくらわす。
「ハハ・・・ナニソレ?」
 ヒロイックアサルトをカガチの脇腹に叩き込む。
「―・・・げはぁあっ!」
 身体の内部までダメージをくらってしまったのか、口から血を吐き出した。
「こんなものか?ぬるいなっ」
「ガハっ!つ・・・ぐ、ぁ・・・ガァぁ・・・」
 床に滑り転がる真に、カガチは馬乗りになり首をギリギリと絞める。
 逃れようと首を絞つける両腕を掴み、ズブッと真の指がカガチの腕にめり込む。
 腕からドロドロと血を流しても、首から手を放そうとしない。
 本気で真を殺そうとするカガチに、無言で柳尾 なぎこ(やなお・なぎこ)が光条兵器を突きつける。
 しぶしぶ手を離した瞬間、ニヤリと笑った真がカガチの腹部をドスッと蹴り飛ばす。
「もうやめてください!」
「ヤメル・・・・・・ナニヲ・・・?」
 必死に訴えかけるなぎこに対し、真はクスリと笑う。
「まだお化けさんがとり憑いているんですね。真おにいちゃんから出て行ってください!」
「コイツハ・・・オレノモンダ・・・・・・キニイッタカラ・・・デテイッテヤラナイ」
「そうかい・・・だったらとことん殺し合おうじゃないか!」
「ナン・・・ダ?モット・・・・・・オレニ・・・・・・グロイコトシテミロヨ!シタヒキズリダストカヨォオ。ホラ・・・ドウシタ?ゲヒ・・・ゲッヒャッヒャァア」
 カガチの蹴りをまともにくらっても、憑かれた影響で痛覚がないのかケタケタと不気味に笑い舌なめずりをする。
「だったらお望み通り、守る者が見えなくなったその使えねぇ目ン玉からほじくり出してやるよ。後で焼いて食ってやるから安心しな!」
 ソニックブレードの能力を応用し、素早く間合いを詰めて真の目へ指を突きたてようとする。
「あれ・・・カガチさん?」
 いつもの真の声色で話しかけられ、手をピタッと止めてしまう。
「―・・・ハッハハ。ナァアンテ・・・ナァアッ」
 両膝や両肘を狙い、さらに顔面を思い切り殴りまくった。
「このやろう・・・よくも騙したな・・・・・・。(ちと血ィ流しすぎたか・・・頭がくらくらしやがる)」
「モウアキタ・・・モエロ」
 片手をカガチに向けて火術を放とうとする。
「―・・・・・・マルヤケ・・・ロ・・・」
「まったく手間かけさせやが・・・って・・・・・・」
 身体に蓄積した打撃のせいで、バタンッと廊下に倒れた真はそのまま気を失い、カガチもドサッと床へ倒れ込んだ。