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【十二の星の華】シャンバラを守護する者 その3

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【十二の星の華】シャンバラを守護する者 その3

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 地道な情報収集のおかげでホイップとじゃわが捕まっている洋館の場所を発見することが出来た。
 場所はキマク。
 荒れ果てた洋館からはパラミタコウモリが時折飛び立つ。
 洋館では割と近くまで来ていた人達が次々と突入していく。

「一番乗りとは縁起が良いな――って、おわーーーっ!」
 洋館の中に金属音が響く。
 総司は入ってすぐにシャンデリアに潰されそうになっていた。
「ふぅ……」
 なんとか避けられたが、これが直撃していたかと思うとぞっとする。

「かっ飛ばしたおかげで早く着いたな」
 武尊とシーリルも他の面子を待たずに洋館の中へと入っていった。
「これが仕掛けだったんでしょうか?」
 最初に飛び込んできたのはついさっき総司の頭上に落ちてきたシャンデリアだ。
「用心していかないとな」
「はい!」
 武尊はトラッパーで自分が仕掛けるならこの辺りと目星をつけ、罠を感知していく。
「多分この辺りに……やっぱりな」
 武尊は入ってすぐ、中央にある階段のわきを調べると何かのスイッチを押して戻ってきた。
「なんのスイッチだったんですか?」
「この階段の上に乗っかると滑り台みたいになって登れなくなる仕掛けだ」
「そんな! コントみたいな! なんとしても引っかかるわけにはいきませんね!」
「ああ」
 2人はなんだか楽しそうだ。

「あった〜! ここがそうだよ!」
 洋館を指差して、近付いてきたのは葵だ。
「だめですよ、危ないですから葵ちゃんは後ろから一緒にいきましょう」
「ええ!? せっかく見つけたのに〜」
 エレンディラの言葉に渋々頷き、他の人達が集まるのを待つのだった。

「ホイップを助けなきゃ……」
 思いつめた表情で館の中に入って行ったのはカレンだ。
 その後ろをジュレールが追っていく。
 中央にある階段が使えないのを見て、左の廊下へと入っていく。
「危ない!」
 ジュレールが勢いよくカレンを後ろに引いた。
 今までカレンがいたところに何かが通り過ぎた。
 鋭く尖った槍が壁から出たのだ。
「台風なんか知らないよ……大切な友達1人助けられないでそれ以上の人が救えるわけない!」
 カレンはそう叫ぶとジュレールに少し抱きついた。
 ちょっとだけ落ち着きを取り戻すと2人はホイップを探しに歩き出した。

「ふ〜ん、こんなところにあったのね」
 メニエスは館の手前で止まると、そう呟いた。
「すぐに突入しちゃう?」
「いいえ、もう少し様子を見ましょう。一番である必要はないわ」
「は〜い!」
 ロザリアスが返事をすると、中の様子が分かりそうな場所へと移動していった。

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 洋館から少し離れた場所では仮面を付け、正体を隠しているトライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)と口元を布で覆って隠している蘭堂 一媛(らんどう・いちひめ)に行く手を阻まれている者達がいた。
「お前達の持っている、その星杖を渡してもらおうか」
 トライブは手を出し、催促した。
「そんな事させないのですぅ!」
 トライブの前にメイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)セシリア・ライト(せしりあ・らいと)フィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)が降りてきた。
「この杖は渡さない!」
 金ぴか制服に身を包んだ生徒が杖をぎゅっと握りしめる。
「忘れるなよ? ホイップ・ノーンは俺たちの手にある。折角、石化解除の薬を作っても、本人がバラバラだったら意味はないだろう?」
「それは卑怯ですわ」
 フィリッパが言うと、トライブは溜息をついた。
「おやじの両足を銃で撃抜いたあんたらに言われたくないな」
 やれやれと頭を振る。
 他の者は何も言えない。
「さあ、杖をこっちに――」
「人の恋路を邪魔するやつは馬に蹴られて死んでしまえーーっ!」
 セシリアはトライブが言い終わる前に攻撃を仕掛けていた。
 野球のバットをぶん回した。
「主殿に敵対するというのなら、こちらもお相手させてもらう」
 野球のバットをセスタスで止めたは一媛だ。
「ホイップ・ノーンの命は惜しくないと言うのか?」
「くっ……受け取れ」
 投げられた杖を受け取るとトライブは一媛に合図して、撤退していった。
 もう姿が見えなくなったところで、金ぴか制服の者は金髪ウィッグを外した。
 そこに居たのは、変装していたウィルネストだったのだ。
「こんなにうまくいくとはなぁ。あんな出来の悪い偽物の杖だが……こう暗いと分かんないしな」
 悪戯が成功した子供のような笑顔だ。
「本当にこっちにくるとはびっくりしたですぅ」
 メイベルはへなへなと座り込んだ。
「あらあら、まだ終わってないですわ。もう少し頑張りましょう」
 へたり込んでしまったメイベルをフィリッパが助け起こした。
「もういっちょ頑張りますか」
 そう言うと、ウィルネストはウィッグをもう一度付けた。
 メンバーは傷がないか確認してから洋館へと向かって行ったのだった。