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合コンパーティにバトルにお爺さん孝行!?

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合コンパーティにバトルにお爺さん孝行!?

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(うお! 情報ゲット!)
 興奮するにゃん丸に、
「それも昔の話だよ。ただ、真言公が僕を連れてきた意図は僕にもよく分かっていない。それでも真言公は僕には信頼を置いてくれていると思うよ。ただ、僕は真言公から『赫夜さんに思い人がいる』と聞かされたから、それを確かめにきたんだ。僕にとっては『運命の人』だからね」
「うんめいの、ひと?」
「…君も恋をしたことがあるなら分かるだろう? みすみす、僕は愛する人が他の男のものになるのを指をくわえてみていられないんだ。だから、こうやってここまで来た。…さて、バスタブもお湯で溢れかえりそうだから、お引き取りねがえるかな」
 そのままきびすを返して、バスルームに入ってしまった理に、にゃん丸は退散するしかなかった。
(…リリィに怒られそうだなあ。でも、理も悪い奴じゃなさそうだ…好きかどうかは別としても)


 …パーティ当日の藤野家。夜が明けた頃だった。
「辛い特訓によく耐えた…健闘を祈ってるぜ…赫夜」
 バタリ…と倒れる総司。
「いや、私よりは総司殿が大変だったかと。意外に身体が硬いのだな…」
「いうな…」
 そのまま寝息を立てる総司。
「婆やにお布団を敷いてもらうから、一眠りしたらパーティに来るといい。さて、私も少し寝よう。祥子さんたちもなんだかすっかり静かになって…」
「真珠様とお仲間のかたは別のお部屋で寝ていますよ。正悟様もいっしょになって雑魚寝ですよ。嫁入り前だというのに」
 そこに婆やが布団を持って入ってくる。
「そうか。いいじゃないか、婆や。真珠が人と雑魚寝できるなんて、大した進歩だ」
(真珠自身、それに気がついてくれていれば、お爺様とも上手くコミュニケーションがとれるのにな…)
 赫夜はふああっとあくびをすると自室に戻った。


【第2章】


 パーティ会場は賑わっていた。それぞれにパートナーを連れている面々は熱いムードでデートを楽しみ、合コン会場では男女が会話に花を咲かせている。

 そんななか、橘 恭司(たちばな・きょうじ)と赫夜はばったりと鉢合わせをした。
「赫夜、どうしたんだ、そんなに慌てて」
「あ、いえ、ちょっと」
 包みをそっとうしろがわに隠す赫夜に、何かあるな、と恭司は悟ったが、そこはスルーすることにした。そして単刀直入に話を切り出す。
「赫夜、はっきりと聞いておきたいことがある。如月 佑也(きさらぎ・ゆうや)について、どう思っているんだ?」
 その瞬間、みるみるうちに赫夜の顔が赤く染まっていく。それが答えだな、と恭司は悟った。
「ゆ、佑也さんは私なんかにはもったいない人なんだ…」
「なぜ?」
「私は十二星華として5000年眠っていた。そして蒼空学園にテロを起こして、みんなに迷惑をかけた。心はこわばって、頑固になって、素直になることが出来なかった。十二星華としてやらなけばいけないこと、それを一人で抱え込んでいた。それに気がついて解放してくれたのは、佑也さんなんだ」
「最終的にどうするかは君次第だ、赫夜。だが余り時間をかけすぎてもいずれ後悔する事になるぞ…俺みたいにな」
「どういう意味だ?」
「幸い君に想いを寄せている二人は生きているがこのご時世、3分…いや5秒後にはどうなっているか分からないからな。本当に大きなお世話かもしれないがこれだけは言っておきたい…誰かの亡骸を抱きかかえて泣いてる奴を見るのはもうたくさんだからな」
「恭司殿…あなた、過去に誰かを失ったのか…?」
「…っと暗い話はここまでにしとこう…え、自分で言うなって? 細かい事は気にしたら負けだぞ! とにかく思うまま頑張れ」
「ありがとう。恭司殿も今日を楽しんで!」
 赫夜はそういうと駆け出していく。手を振りながら恭司は
「それにしても、あの包みはなんなんだ?」

 恭司と別れて校舎のほうへ駆け込んでいく赫夜を七刀 切(しちとう・きり)が発見する。
「わ! あれが藤野赫夜さんか、よっし!」
 トラブル楽しい、ハプニング最高! いつも楽しいことを探している切は、赫夜と手合わせをしてみたかったのだ。
(合コンパーティに、鏖殺寺院? それに剣戟美男子との試合? でもまぁワイが一番興味あるのは赫夜さんなんだけどね? 一応言っとくと色恋じゃないぜぃ? 確かにかわいいと思うけど今回は剣の腕前って意味な!)
「赫夜さん! ワイと試合してみねえ!?」と早速あとを追っかけて声をかけたときだった。
「キャー!!」
「え、なにしてるの? ねこみみ…? って赫夜さんは猫耳属性だったのかい?」
 赫夜は包みに隠しておいた、正悟からもらった猫耳グッズを意を決して、試しに装着していたところだったのだ。
「ち、違う、これは!」
「とにかく試合してみねえ?」
「…い、今はだ、ダメだ」
「えー? なんでだよ」
「都合がある。あとで頼む」
 猫耳をつけたまま真面目な顔をして言うので、切は
「りょーかい。ワイ、楽しみにしとくぜぃ」

「姉様、どこへ行ったのかしら…」
 桃染に鮮やかな若草色を配した華文柄の振り袖を身に纏った真珠は赫夜の姿を探すが、どこにも見あたらない。
 そうこうしているうちに、山葉 涼司校長の挨拶がはじまった。
「みんな、今日は集まってくれてありがとう。わが学園は悲しい出来事に見舞われたが、歩みを止めるわけにはいかない。今日の日を楽しんで、心機一転前へ進んでいこう」
 簡単な挨拶ではあったが、生徒達からは盛大な拍手が起こる。その後、山葉 涼司からホストである藤野真言、そして弓削 理の紹介が行われた。
 理が壇上に上がると女生徒たちからのキャー!! という黄色い悲鳴が上がる。男子生徒も理の独特のさわやかな色気と、スターのようなオーラに唖然となった。理は人に愛されることになれているタイプで、しぐさ一つ一つがエレガント。そしてにっこりと微笑むと背景にバラやガーベラの花の幻影が舞い散るのだった。