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学園祭に火をつけろ!

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学園祭に火をつけろ!
学園祭に火をつけろ! 学園祭に火をつけろ!

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「えっとね、決勝が始まるところくらいからね、あたしと一緒に真奈を応援してくれてたんだよ。名前はね――なまえは、えっと………なまえ」
 恐らくは本人、名乗られていない事をわかっていないのか、懸命に思いだそううとする。それを面白そうに見ていたウォウルとセレンフィリティだが、セレアナがセレンフィリティを肘で小突いた。誰にも気付かれない様な小声と共に。
「いい加減意地悪しないで教えてあげなさいよ。流石に可哀想すぎるでしょうに」
「わかったわかった」
 にこにこしながら、若干泣きそうな顔のミルディアと、その状態に何がなんだかわからず困り果てている二人に声をかけるセレンフィリティ。
「大丈夫よ。わたしたちまだ名のってなかったもんね。ごめんごめん。わたしはセレンフィリティ。呼びずらきゃセレン、とでも呼んで頂戴よ。よろしくね」
 その言葉を聞いたミルディアは、漸く泣きそうな顔に笑顔を灯した。
「よ、よかったぁ……真奈が優勝したの、一緒に喜んでくれた人なのに名前忘れたらひどい子だって思って」
「ごめんね。私たちが名乗らなかったのが悪いんだし、気にしなくていいわよ。あ、私ね、セレアナよ。よろしく」
「うん。あ、えっと……あたしね、ミルディア。一緒に応援してくれてありがとね!」
「わたくしからも、お礼を言わせて下さい。有り難うございました。ミルディのパートナー、守護天使の和泉 真奈と申しますわ」
、 深々とお辞儀した彼女にセレンフィリティとセレアナが笑顔で応えた。と、そこで、四人の目線がウォウルに向く。
「あぁ、僕も、ですか。お二方はお初お目に掛かりますしねぇ。ウォウル・クラウンと言う者です。よろしく」
「何か、一緒に応援してもらって言うのもあれあけど、お兄さん胡散臭い笑い方だよね。ずっと笑ってるし」
「み、ミルディ!? そんな失礼な事を言っては……」
 ミルディアが呟いた率直な感想に、セレンフィリティ、セレアナが懸命に笑いを堪え、隣にいた真奈が慌てて彼女を止めに入った。
「良いですよ、モナさん。言われ慣れていますからねぇ、その手の言葉は」
「も、モナ?」
「違うよウォウルさん、彼女は真奈! マーナっ!」
「おや? また間違えてしまった様で。これは失敬しました」
 悪びれているのかいないのか、彼の顔つきが変わることはない。
「あんたさ、わざと間違えてない? あたしたちん時も器用な間違え方するし……」
「何故です? 間違えたところで利点などはないでしょう? 精々僕の心象が悪くなるだけですよ」
「何か、気になるわよねぇ……」
 セレンフィリティの疑いに返事をする彼に、やはり納得できない、と言った目付きでウォウルを見るセレアナ。と、そんな事など気にならなかったのか、ミルディアが突然声をあげた。
「ねぇ、お腹減った!」
「そうですわ、わたくしのわがままに付き合って貰ってますし、ご飯まだでしたわね」
「あら、奇遇ね。私たちもよ。この人が遊び回ってご飯食べ損ねたの」
「あたし知らないわよ」
「………で、どう? これからこの人のお店でご飯をいただこうかと思ってるんだけど、あなたたちも一緒に来ない?」
 セレアナに誘われた二人は、迷うことなく承諾した。
「そうだ。ウォウル君、さっきあたしたちの名前、間違えたわよね?」
「?」
「そうだ、セレアナ。あたし良いこと思い付いたわ。今日のお昼は彼の奢りって事にしないかしら」
「セレン、それは流石に――」
 やはりそれはセレアナの良心に反するのか言葉を濁す彼女だが、セレンフィリティは更に悪ふざけ、言った様子で続けた。
「って事で、よろしくね。ウォウル君!」
「………ふぅ。まぁ良いでしょう。今日はお祭りですし、名前を間違えた罪滅ぼしとしてお昼は僕が奢りますよ。エレンフィルティさん」
「いや、遠退いてるし。それ誰!?」
「セレン、一本取られて貴女の負けみたいよ」
「ちょ、待ちなさいよ! まだ負けた訳じゃ――」
「何だかこの人たち面白いかもー」
「良かったですわね、お声を掛けて頂いて」
 ムキになるセレアフィリティを見て笑う一同は、スカイホリディへと足を向けた。