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ミッドナイトシャンバラ5

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ミッドナイトシャンバラ5

リアクション

 

ゲストコーナー

 
 
「少し待っていてくださいね。準備がありますので」
 会場では長いCMが流れ、シャレード・ムーンも机をステージ袖に移動させていきました。
 代わりに、中央にマイクスタンドが立てられ、背後のスピーカーが調整されます。
「何か始まるのですかぁ?」
 神代 明日香(かみしろ・あすか)がわくわくしていると、ホールの照明がスーッと暗くなりました。
 
『よし、それじゃ行くよ!せーの!インパクトメロディ!』
 
 CMあけにジングルが流れると、会場の照明が落ち、シャレードムーンをぽっとスポットライトが照らしだしました。
「それでは、ゲストコーナーです。秋葉原四十八星華の騎沙良詩穂さんをお招きしました。さあ、ミニコンサートをお楽しみください!」
 シャレード・ムーンが紹介すると、彼女を照らしていたスポットライトが消え、代わりにステージ中央をいくつものスポットライトが明るく照らし出しました。その光の中に、騎沙良詩穂が立っています。
「みんなー、空京大学音楽ホールへようこそー。そして、ミッドナイトシャンバラ公開録音へようこそー。楽しんでるー?」
 騎沙良詩穂が会場の方へとマイクをむけました。
 ちらほらと野太い声が返ってきます。
「じゃあ、いっくよー。最初の曲は、『Comet☆Day』!」
 バンと音楽が鳴り響くと共に、ステージが明るく照らし出されました。バックバンドの演奏と共に、騎沙良詩穂が歌い出します。
 
「ずっとそのままの輝きで
 僕らに希望を残すComet☆Day
 光放て運命のその日まで
 僕らに希望をください
 
 いつ出会えるか分からない運命の歯車が回りだす
 刻一刻と迫る希望の光が動き出す
 守るべき大切な人と手をつなぎ微笑みかける
 
 ずっとそのままの輝きで僕らに希望を残すComet☆Day
 光放て運命の日まで僕らに希望をください
 
 夜空で出会う美しきComet
 世界を変えるミラクル
 時間の中で芽生えるハート
 僕と君とをつなぐイベント
 
 この広い宇宙の中でCometにめぐり合えた偶然
 愛してると誓いながら君と二人で帰ろう
 
 一生に一回のComet☆Day
 君と一緒に見れたダブル・ミラクル
 僕は絶対に忘れはしない
 この瞬間を…
 
 どんなに辛い出来事が僕らを引き裂いても
 あの瞬間がつなげてくれる!ありがとう希望のComet
 
 ずっとそのままの輝きで
 僕らに希望を残すComet☆Day
 光放て運命の日まで
 僕らに希望をください」
 
「わーい、これは嬉しいサプライズなんだもん♪」
 首を左右に振ってリズムを取りながら、松本恵が言いました。
 
「ずるい、私も歌いたかったのに……」
 多比良幽那が、ちょっと悔しそうに言います。同じアイドルとしては、ちょっと出し抜かれてしまったかのようです。
『へへえ』
「ほう」
 キャロル著・不思議の国のアリスとネロ・オクタヴィア・カエサル・アウグスタはというと、あまり興味がなさそうです。
 
「それじゃあ、続いての曲は……」
 ステージ上では、騎沙良詩穂が次の曲を歌い出しました。
 
    ★    ★    ★
 
「騎沙良詩穂さんでしたー。ありがとうございましたー」
 三曲ほど歌って、騎沙良詩穂のミニコンサートが終了しました。
「さて、まだゲストはいますよー」
 CMを使って、またレイアウトが変更されました。
 今度は、ステージ中央に長テーブルがおかれました。
「週刊少年シャンバラの売れっ子漫画家、土方歳三先生です」
 シャレード・ムーンが、次のゲストを紹介しました。
「ここで、ミニサイン会を行います。フアンの方がいらっしゃいましたらステージへどうぞ」
 
「なんですとー!!」
 ガタンと音をたてて、悠久ノカナタが立ちあがりました。
「まだフアンだったのか……」
 そのままステージへ全速で駆けあがっていく悠久ノカナタを見て、緋桜ケイが小さくつぶやきました。
「うおおおおお、生原稿があ! 直筆の色紙があっという間にできあがっていくう!! なんと、なんと凄いのだ」
 ステージ上からは、悠久ノカナタの歓喜の叫びが聞こえてきます。緋桜ケイはあえてそれを無視しました。
「うふっ、うふっ、うふふふふふふ……」
 戻ってきた悠久ノカナタは、この上もなく御満悦でした。描いてもらった色紙をしっかりとだきしめています。
「なお、先生は、アシスタントの募集もして……」
「なんですとー!!」
 シャレード・ムーンの言葉を最後まで聞かないうちに、再び悠久ノカナタが立ちあがりました。
「カナタ、落ち着いて……」
 とにかく座れと、緋桜ケイが悠久ノカナタの肩をつかんで座らせようとしました。
「いいや、さっそく応募を……」
 すぐさま、また悠久ノカナタが立ちあがります。
「落ち着けー!!」
 
「いったい、どこがいいんだろうな。たかが漫画だろ」
 ほとんど興味のない源鉄心が、ちょっと呆れたように言いました。
「いいじゃないですか。フアンの人がいるんですから」
「そうですわ。鉄心は、本とか読まなすぎですわ。たまには私のことも読んでほしいものですわ」
 だからだめなんだと言いたげな、ティー・ティーとイコナ・ユア・クックブックの二人です。