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十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別

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十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別
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第四十三篇:白瀬 歩夢×アゾート・ワルプルギス
「そうなんだ……その女の子、助けてあげたいね」
 白瀬 歩夢(しらせ・あゆむ)は『本』のことを聞いた時、何かを決意してアゾートを誘った。
「……あのね、アゾートちゃん。私と『本』の中へ一緒に……いいかな? 同じ女の子の私と一緒って変に思うかもだけど、訳は後できちんと話すからっ……!」
 歩夢はアゾートと手を繋いで『本』の中へと入った。
 そして、今はどこまでも青い、果てしない空と海を臨む白い砂浜に、二人で水着を着て立っている。
「あ……初めて会った時も水着だったね」
 歩夢はアゾートの目をまっすぐに見ながら切り出した。
「あのね……私、ずっと……アゾートちゃんの力になれたらって、良い友達でいられるように……って接してきて……」
 だが、歩夢はたまりかねたように、そこで一旦言葉を切った。
「だけど……最近、それは失礼かも……って思って」
 搾り出すような歩夢の言葉。アゾートはただ、それを静かに聴いていた。
「なぜなら……それは、嘘をついているから」
 一瞬の間を置き、改めて心の準備をした歩夢は、自分の胸の膨らみの無い水着の上を取った。
「ごめんね…私、本当は男の子で」
 遂に告白した歩夢。その瞳は小さく震えていた。
「ずっと友達のままじゃ切なくて」
 切なそうに揺れる瞳でアゾートを見ながら、歩夢は必死に告げる。
「アゾートちゃんの事、初めて会ってから、そして一緒に過ごすうち優しさに触れたりして、どんどん好きになっていってっ……!」 抑えていた気持ちを解放するように、歩夢は一息に思いのたけをアゾートに告げた。
「あっ……でもね。急に答えが欲しいって訳じゃなくて……」
 気持ちを解放して、晴れやかになった表情で、歩夢は改めて切り出す。
「私は……アゾートちゃんが喜んでくれる事が、自分の事のように嬉しい」
 真剣な表情で語る歩夢。
「だから……嫌がる事や無理強いはしたくない。これからも一緒に楽しく過ごせて、気持ちが定まったら教えてくれたら……って」
 不安そうな目でアゾートを見る歩夢。歩夢は勇気を振り絞って、アゾートへと問いかけた。
「ただ……嘘つきだったこんな私だけど、嫌じゃなかったら……アゾートちゃんの事を好きでいたまま、いつか答えが出るまで側にいて……いいかな……?」
 歩夢がそう問いかけると、アゾートは満面の笑みで答えた。
「いいに決まってる。ボクにとっても歩夢は大切な人だから」
 その答えを聞いて、歩夢の瞳から涙がこぼれる。その涙を拭いてやりながら微笑むアゾートの笑顔は、どこまでも続く青い空と海、そして真っ白な砂浜に何よりも映えていた。
 勇気を振り絞って一歩を踏み出した歩夢。
 二人の未来が、幸福に満ちたものであらんことを。