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Let’s鍋パーティ!

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Let’s鍋パーティ!

リアクション


仕掛ける者、仕掛けられる者

 ふわふわ気分で木々や建物など高い所を移動しているクロセル。

「俺のように地に足のつかない生活を送っていると、このように飛べるようになるわけです!」

 得意げにふわふわと飛び歩いていると、その下ではナマコをじっと見ている雷霆 リナリエッタ(らいてい・りなりえった)がいる。

「これってきっとコラーゲンたっぷりよね。海の中にいるし、大丈夫。うん」

―――スタンッ

「鍋奉行になるのはこの俺ですよっ」

 ビシッと決めるクロセル。

「うわっと!? びっくりしたなー。というか鍋(合コン)将軍(クイーン)になるのは私だしぃ」
「鍋将軍ですか!? 鍋奉行の方が偉いですよ!」

 どちらが一番偉いのかと言い合う内に意気投合した二人は一緒に行動するようになった。

 クロセルとリナリエッタがふわふわ気分で飛んでいる時。
 山菜を摘んでいた戦部 小次郎(いくさべ・こじろう)は湖で釣りをしているミーナ・リンドバーグ(みーな・りんどばーぐ)と出会っていた。

「へぇ〜、こじろってアンコウを引いたんだぁ」
「えぇ。私はさばけるのでこれをメインに鍋を作ろうかなと」
「いーなー。ミーナは漁師鍋にして、真田先輩においしく食べてもらうんだ〜」
「いいですね。出来あがったら食べさせて下さいよ」
「いいよっ。こじろのアンコウ鍋も気になるしね」

 お互いに作った鍋を食べ合う約束をして鍋にするにはまだ量が足りないからと、摘みに戻る小次郎。
 鼻歌交じりにミーナが釣りをしていると、ふわふわ気分で飛んで来たクロセルとリナリエッタが着地した。

「ん?」
「「鍋奉行/鍋将軍、登場!!」」

 ポーズを決めるクロセルとリナリエッタ。目が点になるミーナ。
 正気に戻ったミーナは、クロセルとリナリエッタがトド肉とナマコを持っている事を知り、漁師鍋にしたい旨を二人に伝える。

「良いですよ! ただし、鍋奉行として口出しさせてもらいますよ」
「私は料理とか出来ないからよろしくー」

 二人なりの許しをもらい、ミーナがクロセルたちの仲間になった。


 電気をため込んで常闇 夜月(とこやみ・よづき)医心方 房内(いしんぼう・ぼうない)に向き合っているセレンフィリティとスポンジ槍を構えているセレアナ。

「おとなしく言う事を聞いて下さい」
「お断りします。痛い目を見る前に渡してくださいませんか?」
「これはわらわ達のお肉なのじゃ。木村!」

 そう言って房内が呼んだのは救世主木村。

「呼んだかい? 房内ちゃーん!」

 現れた木村が思い切り抱きついてくるのを鬱陶しげに足蹴する房内。

「えぇい、退くのじゃ!」
「あぁ、もっと蹴ってくれ! そう強く!!」

 顔を赤らめ喜ぶ木村に、ものすごく引くセレンフィリティとセレアナ。
 そこへ鬼龍 貴仁(きりゅう・たかひと)神崎 荒神(かんざき・こうじん)がやって来る。

「二人ともお肉は無事です……か?」
「もしかして場違いだったか?」

 木村を足蹴にしている房内とそれを見ている月夜。
 セレンフィリティとセレアナは向こう側では固まっている。
 その状況を空笑いする貴仁と荒神。

「……なるほど。ここはお互いに袋を交換して良しとしませんか?」
「袋を交換……うん、良いわよ!」

 お互い何を渡すかは言わずに、袋のまま交換して別れた。

「貴仁、あっちになにをあげたんだ?」
「ん? 荒神が引き当てたお菓子の詰め合わせ」
「それでこちらは何をいただいたのですか?」

 袋を開ける貴仁。中には和菓子の詰め合わせが入っていた。

「もしかしてよ、菓子と菓子の交換をしただけ、なのか?」
「そのようじゃの」

 全員が同じようにため息をついたのだった。