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アラン少年の千夜一夜物語

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アラン少年の千夜一夜物語

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 大きな薔薇の花束片手に部屋の中に入ってきたのは変熊 仮面(へんくま・かめん)
 今日はマント一丁という恰好ではなく、マントにパジャマ姿だ。
「全く……冬の夜はこれだから……ぶつぶつ……お肌が乾燥してしまうではないか!! ぷりぷり!」
 何かを呟きながら入ってきた異様な人物にどう反応して良いのか分からないでいるアラン。
「あっと……その……よく来たな!」
「っと、これは失礼! これは部屋に飾る薔薇だ。紹介された者からこの部屋には薔薇も飾っていないと聞いたからな」
「うむ、すまない」
 変熊仮面が差し出した薔薇の花束をセバスチャンが受け取り、さっそく花瓶に活ける。
「で、君がベッドの上でお話を聞きたいのだな?」
「う、うむ……そうだが……なんか変な感じのする聞き方だな」
「そうか? なんの問題もないだろう。さて……」
 変熊仮面はパジャマのボタンをすべて開け、両肩を肌蹴させた。
 そして、アランの横に寝そべる。
「それでは近い将来君も体験するお話をしてあげよう」
「な、なんだか今までの人と雰囲気が違うな!」
「ふふ……そうであろう? さあ、耳の穴をかっぽじってよーく聞くのです!」
「うむー!」


『初体験』



「あっ……ダメ。それ……初めてなんです……私怖い……」
「ふふふ……奥さん誰でも最初は初めてなんですよ……。さぁ、力を抜いて」
 男は半ば強引に女性を押し倒す。
「待って……!」
「今さら引き返してなんになると言うんです?」
「そ、そうですけど……」
「もう前準備はしっかり整えてあります。ばっちりですよ」
 女性はごくりと喉を鳴らした。
 それは期待からなのか、恐怖からなのかはわからない。
 もしかしたらどちらも入り混じった感情なのかもしれない。
「いやっ! 大っきい! こんなの入らない……!」
「我慢して」
 男は額に汗の粒を光らせて、女性のナカに異物を挿入する。
「奥さん粘膜が吸いついてきて、実に具合がいい。相性ピッタリですよ」
「硬いっ! 出し入れすると硬くて擦れるっ! 血が出てきたわ!」
 年配の女性は痛そうに口を押さえました。
「そうですか? あ、この入れ歯あたりが強いですね。削っておきます」
「先生。私入れ歯なんて初めてで……ですから違和感なくお願いしますね」


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「う? 余が入れ歯を使うようになるのはもっと先の話だと思うのだが?」
 アランは澄んだ瞳で変熊仮面を見つめる。
「そ、そんな綺麗な目で私を見つめるなぁー! いや、もっと見るが良い!!!」
「どっちなんだ?」
 セバスチャンは変熊仮面とアランのこのやりとりを見て、こっそり吹き出していたという。