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【冬季ろくりんピック】雪山モンスター狩り対決

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【冬季ろくりんピック】雪山モンスター狩り対決

リアクション





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「ラビルーナ、雪火龍だッ! 一緒に引っ張るぞッ!」
 最初に雪火龍の姿を捉えたのは、仲間の集団から離れていた者達だった。
「ふっふっふ、出番だな!」
 チェリーとラビルーナは滑空する雪火龍を見つけると、2人で一緒に身体全体を使ってバリスタの弓を引き――放った!
 ドンッ――!
 鈍い音と共に丸太のような木の一本矢が雪火龍の翼に突き刺さった。
 が、片翼に杭を打ち込まれたまま、雪火龍は飛ぶことを止めなかった。

*

「皆さん、来ますよッ!」
 木の上から眺めていたロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)が素早く降り、接近を知らせると、一斉に陣取っていた仲間が行動を開始し、ロザリンド自身は特製睡眠薬を塗ったランスと自身を守る盾を構え、前線を目指し駆け上がっていた。
「行くよッ!」
 月夜がパワーブレスを味方に掛け、続く。
*

「皆さん、あれは雪火龍ではありません!」
 龍ヶ崎 灯(りゅうがさき・あかり)が続いて声をあげた。
 言っておかねばならぬことがある。
「今晩の食材と見てください! だってあんなに美味しそうなんですよ!?」
 前線に駆け上がっていった味方が盛大にその言葉にこけた。
 もっとこう、なんていうのかな、戦闘に対する諸注意じゃないのかよ――とのツッコミが聞こえてきそうな気がした。
「ここは1つ、助っ人の皆様にもお礼を兼ねて振る舞うためにがんばりましょう!」
 そう言われればやぶさかでもないと、全員が頷き、再び駆け上がった。
「そうか、あれは食材か……。ならば今晩のご馳走のために全力で倒そう! よし、そろそろ行くぞ、灯! いくぜッ!」
 武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)がポーズをとると、今度は灯が頷く番だった。
「了解ッ! カードインストール!」
「変身ッ、ケンリュウガー! 剛臨ッ!!」
 灯が光に包まれ、牙竜に纏わると正義のヒーローケンリュウガーへと姿を変えた。
「可変型機晶バイク、ロボットモードオンッ!」
 牙竜は自前のバイクをロボットモードにし、指示を出した。
「お前は俺達の……否、俺のセイニィを守ってくれ! 頼んだぜ!」
 ロボットは頷く代わりに銃を構えてくれた。
「セイニィ、雪火龍にやられないよう、安全な所で見守っててくれ!」
 ――愚弟は単細胞だから応援一つで張り切るに違いない!
 との武神 雅(たけがみ・みやび)の言葉を受け、助っ人にやってきたセイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)は、牙竜の言葉に頷き、自分の役目を果たそうと声をかけた。
「はあい、頑張ってね!」
 アイドルが間近で手を振っているみたいな、そんな感覚――。
「うおおおお……力が漲ってくるッ! セイニィの応援があれば全力で戦えるぜ−!」
 その牙竜の加速は、ヒーローの颯爽というよりも、愛しのあの子と話せちゃったよヤッホーと飛び跳ねる少年のような走りだった。

*

「あーあー、雅羅ちゃんが変な事言うから始まっちゃったよぉ」
「私のせいなの!?」
「冗談だよぉ〜。さぁて、本当だったら雪火龍を描いてみたいけどぉ、それはこの競技が終わったら存分に描かせてもらいましょ〜」
 アスカは軽口を叩きながら、前線に続いた。

*

「ろくりん競技としても頑張りたいけど、出来ることなら個人的に……個人的にだ……」
「気になって仕方がないんですね」
 前線へ駆けるセルマ・アリス(せるま・ありす)の様子を見て、リンゼイ・アリス(りんぜい・ありす)が言った。
「ああ、連れて帰りたい……。だが、まあそれはそれとして、これは競技だ。あくまで得点を優先、可能であれば捕獲で行こう」
「私としてはどちらでも構いませんが、寒い場所に来て狩りなど堪りません。さっさと終わらせて戻ることにしましょう」
「すまないが、露払いは任せた……ッ」
 支給されている睡眠薬を塗ったゴールデンアクスを柄のぎゅっと握り、バーストダッシュで距離を一気に詰めた。

*

「学長、失礼しますよ!」
 祥子はティフォンの背に乗ると、梟雄剣ヴァルザドーンを構えた。
「ふむ、しっかり腰を落とし、振り落とされんようにの」
 ティフォンが木々をめきめきとへし折りその翼を広げ、一気に羽ばたき、雪火龍と同じ高さまで飛び立った。
「撃ち落として……やんよッ!」
 呼応するようにティフォンが咆哮をあげ、それを合図にレーザーキャノンの引き金を引いた。
 それはもう片方の翼に焼き穴を開け、焦げる臭いと黒煙をあげながら、雪火龍を地に叩きつけた。

*

 両翼に傷を負い、空の王者が地に堕落した。ならばここからは、磔にする――。
「地に縛り付けてみせます……ッ!」
 木の上で待機していた御神楽 陽太(みかぐら・ようた)が、銃弾の先に睡眠薬を仕込んだ弾を素早く、丁寧に込めた。
 スナイパーライフルで覗いた先、雪火龍が纏う炎は怒り狂っているようにも見えた。
 我を忘れどうのような行動を取るかわかったものではないが、それでも自身の行動予測を信じ、引き金を引いた。
 その弾道が炎を突き抜け、翼を撃ち、血飛沫と咆哮をあげさせることに成功した。
「一発で眠るほど軟じゃないのはわかってるッ」
 再びスコープを覗き――、
「――ッ!」
 有り得ないことに、目が合った。
 そして大きな口がこちら目掛けて開かれると、その中に火が円を成すように集い、大きな火球となって放たれた。
「狙撃相手をこうも簡単に捉えられては……ッ」
 陽太は間一髪で木から飛び降り、脛まで埋もれた足を引き抜きながら自身がいた木を見上げると、雪と同じように燃え溶けてしまっていた。
 堪らない――。
 陽太は光学モザイクで身を隠しながら、別の木に素早く登り、ポジションを取った。
 2度目の狙撃は、雪火龍の胴に穴を空けた。
 が、再び火球が正確に放たれ、陽太の木も、その目の前にあった木々も一直線に焼かれた。