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リアクション
第二章 愉快な宣伝活動
「……ちょっとまて」
ウルスラーディ・シマック(うるすらーでぃ・しまっく)は、高崎 朋美(たかさき・ともみ)に渡された物とこれからの作戦に思わず声を上げた。
「匂いを無力化すると同時に匂いをブロックをするには一番の方法よ」
匂い対策として朋美は鼻ティッシュを提案したのだ。
二人は、散歩する花を追いかけていたのだが、手近な物で準備を整えようとトイレや冷蔵庫の消臭剤とティッシュを大量に調達したのが今現在の状況。ちなみに自分達と同じように匂いと戦っているだろう協力者達に渡す分もきっちり用意している。
「……このクールでそれなりのダンディで決めた俺様が、鼻にティッシュを詰めて戦うだと」
ウルスラーディは自分の鼻ティッシュの姿を想像していた。どう考えてもその姿はダンディではない。
「見栄えは悪くなるけど、ぐずぐずしていると花はどんどん巨大化していくのよ。ここでボク達が動かないとガヤックさんの店は閉店してしまうんだよ。そちらの方が鼻ティッシュの数十倍も重要だわ」
そう言って朋美は、はりきって鼻にティッシュを詰めた。
「……屈辱だ。だが、朋美もそうするというのなら、パートナーとして朋美だけには恥ずかしい格好をさせるわけにもいかん」
ウルスラーディは、決めた覚悟が揺らぐ前に勢いよく鼻にティッシュを詰めた。
「こういうのは、恥ずかしそうにするから恥ずかしいのであって、堂々とやっていれば批難される事も少ない」
「そうそう。見かけなんて気にしなかったら大したこと無いんだから。騒ぎでボク達のこと気付かないかもしれないし」
消臭剤を手に鼻ティッシュの二人は、本格的に散歩する花捕獲に動き出した。
賑やかな街の空の上、空飛ぶ箒スパロウで特に目的もなくふらりと散歩していたアキラ・セイルーン(あきら・せいるーん) は面白いものを発見していた。
「なんだあら。オカシナ花だなー」
通りを踊り狂いながら歩く花を発見し、一体どんな花なのかと観察を始めた。
「花が歩いた所はみんな地面に座り込んでるってこたぁ、花が何か出してるなぁ」
踊る花の後ろには、累々と地面に崩れ落ちる人々の姿。そのみんなの表情は、幸せそうなので命に関わることではないのは明確だが、近付くのが危険であることは一目瞭然。
「……欲しいなぁ」
アキラは思わず欲しくなって捕獲作戦を考え始めた。
「花と言えば、水」
何かを思いついたアキラは地上に降り立ち、作戦に必要な物を調達してから動き出した。
「ここに水を置いてあとは待つだけ〜」
アキラは先回りをして花が来るのを空で待つ。
「来た来た。飲んでる」
作戦通り花はやって来て水を根っこから吸い上げていく。
捕獲には絶好のチャンス。そろりと地上に降り立ち、花から随分離れた所で準備を整える。
「やあ!!」
アキラは迷うことなく網を使って捕獲。
その後、網の先端を箒にくくりつけ、空に飛び上がった。
「この花、どこから来たんだろうなぁ」
風に吹かれながらふと疑問を抱いたが、すぐに解消された。
街から賑やかに花屋の宣伝がいくつか聞こえてくる。それも同じ店で自分が捕獲した花もいる。
「花屋シャビーかぁ」
アキラは花屋シャビーに急いだ。もっとオカシナ花の入手と事情を聞くために。
しかし、目的地に着く前にもう一度だけ寄り道をした。
「うわぁ、花が増えてやがる。おもしれー」
途中で増殖する花を発見し、部分カットで手に入れてから再び箒を走らせた。
捕獲された花達は空を飛んでいるため巨大化しつつも匂い散布や増殖は出来ずにいた。
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