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花屋の一念発起

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花屋の一念発起

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「おっ、いたぞ。おもしれぇな、なかなかの踊りじゃねぇか。踊りって事なら俺も混ぜて貰うとすっか!」

 ウォーレン・シュトロン(うぉーれん・しゅとろん)は踊り狂う花を発見した途端、花に対抗するかのごとく踊り始めた。

「さぁさぁ、癒しを求めている方はぜひとも花屋シャビーへ! 新たな夢を感じた方は花屋シャビーへ!!」

 踊るだけではなく、きっちりと宣伝も忘れていない。

「もぅ、レオたら。でもせっかくだし、イリアも宣伝しちゃおう。よーし、そうと決まったら」
 イリア・ヘラー(いりあ・へらー)は花と共演しているウォーレンに少し呆れていたが、周囲の人々が注目していることに気付き、名案を思いついた。

「見てみて、人生でそう何度も見れない素敵なダンスの始まりだよー! 花屋シャビーの踊る花との共演だよー」
 イリアは思いっきり息を吸い込んでありったけの大きな声で宣伝活動を始めた。
 元気な声と楽しげな踊りに人々はの目を引きつけるも花に近付く者は皆癒し尽くされて地面に座り込んでしまう。その人達の対処は、ウォーレンとイリアの後ろを歩くルファン・グルーガ(るふぁん・ぐるーが)が担当した。

 花の匂いにやられて手荷物をばらまいてしまった女性を見かければ、手早く手伝い、地面から立ち上がるのに苦労している被害者には手を差し出し、立ち上がるのを手伝ったり速やかに被害者の対処にあたっていた。

「お姉ちゃん、あのすごいお花はどこのお花? お母さんに買ってあげたいんだ」

 踊る花に興味を抱いた男の子がイリアに声をかけてきた。

「花屋シャビーだよ。お店にはあの花よりずっと素敵な花があるよ。きっとお母さんも喜ぶよ!」
 イリアは、明るい笑顔と元気な声で男の子に答えた。

「ありがとう!!」
 男の子は楽しそうに花屋シャビーに急いだ。

 イリアが男の子の相手をしていた時、ルファンは別の相手をしていた。
「賑やかだっと思ったらキミ達だったんだ」
 鼻にしっかりとティッシュを詰めた朋美とウルスラーディが現れたのだ。

 ルファンもまた他の人達と同じように鼻ティッシュに視線を向けるも

「……それはもしや匂いを無力化するための物かのう」
 冷静なルファンの反応はさらりとしたものだった。

「……まぁ、そういうことよ。良かったら」
 朋美はルファンの反応に逆に戸惑うもしっかりと三人分の消臭剤セットとティッシュを渡すのは忘れなかった。
「貰っておこうかのう。それでそちらの案配はどうじゃ」
「探しているところだ」
「増殖する花の方は、通りかかった綾原さんとシャントルイユさんが解決してくれたから街にいるのは散歩する花だけよ」
 ルファンの言葉にウルスラーディが答え、増殖する花については朋美が話した。

「それは、安心じゃな」
 問題が一つ解決したことに言葉の通り安心していた。

「頑張ってね」
「それじゃな」
 用事を終えた朋美とウルスラーディは探索に行った。
 その後、ティッシュは全て花粉症で激しいくしゃみと鼻水に苦しんでいる人の助けとなった。