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花屋の一念発起

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花屋の一念発起

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「この癒しは最高でしょう。花屋シャビーには百花繚乱、色とりどりのもっと癒される花がありますよ〜♪」

 騎沙良 詩穂(きさら・しほ)は踊りながら散歩する花の後ろを歩きながらガヤックの店を宣伝していた。

「さて」
 たっぷりと店の名前を宣伝した後、何かを始めようとして動きを止めた。横から朋美とウルスラーディが現れたのだ。

「あ、朋美ちゃん」
 詩穂は思わず声をかけた。

「おまえもあの植物の相手をしているのか」
 ウルスラーディは先を踊り狂いながら歩いている花を見ていた。

「……せっかくだから宣伝をしようと思って、綺麗な花がたくさんあるのにもったいないから」
 詩穂は、ウルスラーディに答えるも目は二人の鼻ティッシュに向いていた。

「だったら、これを使った方がいいよ」
 朋美は忘れずに消臭剤セットとティッシュを押しつけた。

「……ティッシュと消臭剤だよね」
 思いがけない物を押しつけられ、詩穂は思わず朋美を見た。見れば何をするための物なのか明らかだ。

「匂いを無力化するには一番よ。大事なのは実質なんだから。見かけなんて微塵も気にしちゃダメ!」
「増殖する花は解決して街をうろついているのはあの花達だけだからな」

 朋美は鼻ティッシュの有効さを話し、ウルスラーディは散歩する花に目を向けながら増殖する花について話した。

「増殖する花、解決したの?」
「たまたま通りかかった綾原さんとシャントルイユさんが解決してくれたよ」
 思わぬ情報に聞き返し、朋美が答えた。
「それなら少し安心だね」
 安心し、別の花を追う朋美とウルスラーディを見送った。

「さぁ、楽しく宣伝開始!!」
 詩穂は、花の踊りを活かした宣伝を開始した。
 『マーチングスネア』と『幸せの歌』を使って幸せに溢れる楽しい音楽を生み出していく。気ままに踊っていた花はいつの間にか音楽に合わせて動き始めた。
 もう少し賑やかさをと『ディーバード』でさえずりを加え、このまま花と一緒に街中を行進していく。
 癒しの匂いの被害に遭ってしまった人達は楽しいマーチングバンドの歌に思わず楽しそうな顔になり、被害から回復した人々は一緒に手拍子をしている。
 詩穂はそんな観客の様子を見るとますます楽しくなって歌にも力が入る。

少し降り出した雨に
ほのかに混じる香り

ここは花屋さんだったわね
いつもは気にもとめていなかった

何の記念日でもないけど 花束を
香りに誘われ たまにはいいでしょ
あなたには花を 私に唄を
花を贈ろう 雨に揺れて

少し顔を覗かせ
ほのかに香るつぼみの色

かすみ草も忘れないでね
リボンは小さいほうがいいわ

止まない雨に傘もない 雨宿り
香りに誘われ たどり着いたの
あなたに花を 私に唄を
花を贈ろう 音楽に乗せて


 聞いた人達皆、花が恋しくなるような歌詞が街中を駆け巡って行った。
 その途中、もう一つの賑やかな宣伝組に出会い、一緒に歌い踊った後、巨大化した花と共に歌いながら花屋に帰還した。