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か・ゆ~い!

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か・ゆ~い!

リアクション

「あっ……んんんっ、や、やめてぇ……」
「ふふふ。それは、私の意志ではどうにもならないかもしれませんわ」
 崩城 亜璃珠(くずしろ・ありす)の目の前で、冬山 小夜子(ふゆやま・さよこ)は悶えていた。
 彼女を蝕んでいるのは、クラゲ……ではなかった。
 亜璃珠の髪に寄生している、パラサイトブレード。
 それが、彼女の意志なのか、はたまた寄生生物そのものの意志なのか。
 黒いビキニに身を包んだ小夜子を縛り、弄んでいた。

 最初に絡みついたのは、クラゲだった。
「きゃあああ! お、御姉様ぁ……あっ」
 小夜子は逃げ出そうともがくうちに、クラゲに胸を噛まれてしまった。
「あっ、いた……か、痒いぃ……」
「あら、小夜子、どうしたの?」
「お、御姉様、た、たすけて、ください……」
 亜璃珠の姿を見とめ、すがりつく小夜子。
 痒さと愛する人を見つけた安堵、そしてクラゲが付けた僅かな火種。
 それらがない交ぜとなって、小夜子の中で言い知れぬ感情が渦巻く。
 その様子を見て、亜璃珠はニヤリと笑った。
 それは悪魔のように妖艶で凄惨で、そして美しい笑顔だった。
「もう大丈夫ですわ。今、助けてあげますわよ」

 砂浜に小夜子を横たえた亜璃珠は、髪の毛にパラサイトブレードを寄生させた。
「ほら、分かるかしら? クラゲの代わりに、これであなたを愛してあげる……」
「あっ」
 つん、と、水着の上から小夜子の胸に触れる。
 ゆっくりゆっくりと絡みついていく。
 じわじわと巻き付き、あえて敏感な部分を最後に残しながら小夜子を侵略していく。
「ふぁ……あっ、御姉様……っ」
 小夜子は次第に亜璃珠から与えられる快感になすがままになっていく。
 しかし、快楽の途中でふと、気づく。
(これは……御姉様?)
「くす。気が付いたかしら?」
 小夜子の様子を見て微笑む亜璃珠。
「これは、寄生生物。あなたを弄っているのは私ではなく、この寄生生物っていう可能性もあるわよねぇ……」
 ぎゅるり。
「あうっ!」
 パラサイトブレードが一際強く小夜子を刺激する。
 思わず大きな声が漏れる。
「はうっ、そ、そんな……御姉様じゃなきゃ、好きな人じゃなきゃ、嫌ぁ……」
 小夜子の懇願を全く介さず、パラサイトブレードはぐにぐにと小夜子を責め上げる。
「あっ……んんんっ、や、やめてぇ……」
 気が付けば、砂浜の上、周囲には何も隠れる所はない。
 小夜子の声を聞きつけて、ちらちらと海水浴客がこちらに向ける視線を感じる。
「や、やめっ、ひとが、見てる……っ」
「あら、いつもならどれだけ見られても気にしないんじゃないですか」
「だ、だってそれは御姉様だから……」
「大丈夫よ。私も、見てるから」
「お、御姉様あああ……っ」
 小夜子の痴態はしばらく続いた。

   ※※※

「うあっ、お、お願いします、レノア」
「ちっ、仕方ないですね……私は便利屋ではないんですよ」
「分かって、ます。それでも……」
「なら、私の好きにさせてもらいますよ」
「あっ」
 海の家のシャワールーム。
 アルビダ・シルフィング(あるびだ・しるふぃんぐ)レノア・レヴィスペンサー(れのあ・れう゛ぃすぺんさー)が、睦み合っていた。
 赤い紐ビキニがレノアの手で歪む。
 レノアは自分の漆黒のビキニに手をかける。
 アルビダが噛まれたクラゲの治療、の筈だった。
 しかし彼女の痒みは完全に納まった今になっても、アルビダとレノアの行為は終わらなかった。
 シャワールームでの時間は、もう少し続くこととなる。

 丁度その頃。
「あぅうっ……」
 リブロ・グランチェスター(りぶろ・ぐらんちぇすたー)はクラゲに襲われていた。
 大胆不敵な白いビキニも、今それを堪能しているのは触手だけ。
(ど、どうしてこんな事に……っ)
 それは、楽しいビーチリゾートの筈だった。
 ビーチパラソルとビーチチェアを用意して、その上に優雅に寝そべる。
 レノアにオイルを塗ってもらった。
 背中を塗ってもらっている最中に、前も頼んでみたら真っ赤になって辞退してきた。
 いつもは冷静な彼女が、この時ばかりは激しく動揺していてつい笑ってしまった。
 ナンパしてきた男達は手玉にとって、ジュースや軽食を持ってきてもらった。
 途中、アルビダとレノアがいなくなったのは気になったけどそのまま海水浴を楽しもうと思って、海へ。
 そう、海へ。
 そして、襲われた。
 クラゲと、気が付けばイソギンチャクも彼女の体に絡みついている。
 ぐにょぐにょと、柔らかくしかし弾力のある触手が彼女を蹂躙する。
「は、あっ……」
 体に絡みつくこのクラゲだけならば、なんとか逃げられたかもしれない。
 しかしこのピンク色のイソギンチャク。
 まるで意志を持っているかのように彼女を捕え、離さない。
 そして……
「んんっ、や、あんっ」
 圧倒的な触手の数に、リブロの意識は落ちそうになっていた。
「リブロっ!」
 リブロの危機に気づいたエーリカ・ブラウンシュヴァイク(えーりか・ぶらうんしゅう゛ぁいく)が、海に飛び込む。
 一直線にリブロの方へと泳ぐ。
「私が来たからにはもう大丈夫! すぐ助けるから!」
 武器を使おうとするが、リブロに深く絡みついた触手を見て巻き込んでしまう可能性を考え、止める。
「う、ぐ、ぐっ……」
 リブロに絡みついた触手を自分の手でなんとか外そうとするが、滑ってしまいなかなか上手くいかない。
「や、そこ……っ」
 やっと掴んだ触手を引っ張ってみても、リブロの体が絞まるだけ。
「くうう……っ」
 目の前で苦しむリブロに、歯噛みする。
「リブローっ!」
「リブロ!」
 そこに、レノアとアルビダが走ってきた。
 二人が息を切らせていたり水着が乱れているのは、全力疾走したからだけではないのだがそれはまた別の話。
「リブロっ、大丈夫か!? くっ、あんな事に時間を取られなければ……」
「あんな事って……」
 レノアの言葉に何か言いかけるが、さすがに自重するアルビダ。
「とにかく、今すぐ助ける!」
 即座に海に飛び込むと、真っ直ぐに大きなイソギンチャクに向かって泳ぐ。
 にょろりとレノアに向かって伸びる触手を容赦なく切り捨てる。
 ざくり、と得物をイソギンチャクの中心に刺す。
「散れ」
 爆破。
 中心部をやられたイソギンチャクの触手は、みるみるうちに力を無くし、海の藻屑となった。