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か・ゆ~い!

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か・ゆ~い!

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「どう? 今年の新作」
「ええ、似合ってるわ」
「えへ。もちろん、セレアナもね」
 岩陰。
 セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)は二人きりだった。
 セレンフィリティは。買ったばかりの今年の新作水着をセレアナに見せる。
 彼女の瞳と同じエメラルドグリーンと、白を基調としたハイレグビキニは彼女の健康的な肢体を更に美しく見せていた。
 セレアナもまた、彼女の瞳の色に合わせたサファイアブルーを基調としたハイレグビキニ。
 岩陰で、恋人と二人きり。
 となるとこの次の展開はひとつ。
 バケーション中の解放感と誰が来るか分からないというスリルが、二人をいっそう燃え上がらせる。
「ん……セレアナ」
「セレン……」
 ついばむようなキスから、ディープキスへ。
 そしてその先へ…… 行こうとした時だった。
 波と共に運ばれてきた、邪魔者がいた。
「ん……ああっ!」
「どうしたの!」
 突然のセレンフィリティの悲鳴。
 波に運ばれたクラゲが、彼女に絡みつき刺したのだ。
「あっ、かゆ、痒い痒い……っ」
「セレン、大丈夫?」
「痒い……ど、毒、クラゲだったのかも」
 痒さのあまり、セレンフィリティの思考がヒートアップする。
「毒で……もう、駄目、あたし、刺されちゃった…… セレアナ、あたしを抱いて、キスして……」
「どうしたの、大丈夫?」
「……セレアナの胸の中で死ねるなら、幸せ……」
「な、何言ってるのよ! そんな事言っちゃ嫌!」
 セレンフィリティの動揺が感染し、セレアナも悲痛な声を出す。
「死んじゃったら抱いてあげられない、キスもしてあげられない……っ!」
 そっと、まるで壊れ物でも扱うかのように優しくセレンフィリティを抱き締める。
 そして、キス。
「ん……」
「んっ」
 夢中になって、互いに求め合うように、深く深く。
 死も毒も痒みも、二人の愛を燃やすためのエッセンスでしかない。
 気が付けば、セレンフィリティの痒みは治まっていた。
 しかし二人がそれに気づくのは、もっと後のこと。
 今は、まだまだしばらく恋人同士の時間。

   ※※※ 

「ん……アディ、だめぇ、こんなところでっ……」
「……だめよ、さゆみ、こんなところで……」
「ん?」
「ん?」

 綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)アデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)は、海水浴デートを満喫していた。
 南国風の花柄ビキニのさゆみと、ライトブルーのビキニのアデリーヌ。
 二人にとって、今年最初の海!
 たっぷり泳いだ後は、お約束の波打ち際での水の掛け合い。
 ひとしきりはしゃいだ後、二人はビーチパラソルの下、並んで横になっていた。
 日光浴も兼ねて、ブラは外してうつ伏せで。
 波の音。
 照りつける太陽。
 愛しい恋人。
 充足した時間に、ついつい二人はとろとろと眠りについたその時。
 二人に忍び寄るピンクの影。
「んぅ……」
 最初は、恋人かと思った。
 恋人の手による、優しい愛撫。
 そう思って、素直に受け入れ、感じるがままに任せて時折抑えた声を上げたりしていた。
 だけど、なんか違う。
 気づけば、隣の恋人がいるはずの場所からも甘い声が聞こえてくる。
「ん?」
「ん?」
 目を開けたさゆみが見たものは、全身をピンク色の触手に絡まれた自分と、恋人の姿だった。
「ん、んんっ」
「ふぁっ」
 逃げようとするが、奥深い所まで絡んだ触手からはなかなか離れることができない。
 それどころか動くだけで、触手が引っ張られ自分の予想外の所を刺激される。
 互いに触手に絡みつかれたまま、身を捩り、くねらせ、押し寄せる波に耐える。
 隣りを見れば、自分と同じ様に触手に巻きつかれた恋人。
 その、とろんとした顔、瞳。
 自分も同じような表情をしているのだろうか……
 ぐい。
 さゆみとアデリーヌに絡みついた触手が、二人の距離を縮める。
 きつくきつく絡み合いながら、触れ合うほど近くに、恋人同士を近づける。
「あん……っ、あ、アディ」
「さ、さゆみ……っ」
 触手が2人を押し付けたのだろうか、それとも二人が求め合ったのだろうか。
 絡まれたまま、二人は激しいキスを交わす。
「ん……」
「んんんっ……」
 びくりと二人が痙攣すると同時に、彼女たちは触手から解放された。