リアクション
張飛軍は森の中をゆっくりと進んでいた。迂回してハイナのいる本陣を背後から襲撃すべし、との軍師様の助言に従ったのだった。 張飛・翼徳VSレティシア LIFE◇LIFE ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■◇■■■■■■■■■■■■■■■□□□□ 「わちきのほうが、最初からライフ四つ分少ないってことですかぁ。厳しいですねぇ……」 レティシアは張飛の体力に驚愕しながらも、一騎打ちモードで戦う。 程なく……。 張飛・翼徳VSレティシア LIFE◇LIFE □□■■■■■■■■■■■■■■■■■◇■■■■■■■■■■■□□□□□□□□ 「……なるほどぉ、これは強いですぅ……。まともに戦っていては勝てませんねぇ……」 張飛のあまりの強さに埒が明かないと判断したレティシアは、素早く身を翻すと、木々の陰から陰へ、身を隠すように退却を始める。 「敵が出たぞ、追え!」 張飛の号令に、兵士たちがドッと追ってきた。 レティシアはピィッと口笛を吹いた。その合図で、ハイナから借りていた影の忍者軍団がどこからともなく現れる。その数1000人。命令を下すまでもなく、彼らは信長軍に攻撃を加えた。 「ぐあっ!?」 兵士たちが忍刀で首をかき斬られて倒れていく。もちろん敵も反撃してくる。 続けざまに……。忍者軍団の一部隊が、追ってくる張飛を捕獲すべく投げ網を放った。 「甘いわ!」 張飛は、自分を包み込もうとしていた大きな網を鋼矛一振りで切り裂いていた。そのまま突進してくると、レティシアが乗っている木を幹ごと切り倒してしまう。 「あれまぁ……。全然効果ありませんねぇ……」 レティシアは一瞬驚いたものの、忍者軍団と連携を取りながら、何とか隙を作ろうと兵士たちを翻弄し始める。 ○ 「やべぇ……、張飛強すぎるだろ。なんだよ、巨漢なのにあの素早い攻撃は……」 レティシアたちの戦いを森の外れからこっそりと覗いていた柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)は、噂どおりの張飛の強さに舌を巻いていた。 「あれ、わざわざ正面から正攻法で戦う必要ねぇな。つーか、下手したら余裕で死ねるぞ」 くわばらくわばら……、と見送ってから、恭也は連れてきていた兵士たちを呼び寄せる。 シャンバラ軍として信長陣営と戦うために参戦していた彼であったが、当然のごとく張飛軍とまともにぶつかり合うつもりはこれっぽっちもなかった。 ただでさえ、シャンバラ軍は兵力が少ないのだ。これ以上無駄に減らすわけには行かなかった。 イコン屠龍の能力を存分に試してみるのも悪くはないだろうが、それでもあの男と戦う気にはならない。計略を駆使するのにも問題はないだろう。 大軍を相手にするのも非常に危険であり、分が悪いのはわかりきっていた。森に火を放って軍勢ごと張飛も一緒に焼き払ってやることにしたのだ。張飛といえば、猪突猛進の代名詞のような武将でもある。きっと引っかかるだろう。 『森の中では火遊びはやめましょう!』 森の中、あちらこちらに立っている看板がある。 「全く、世の中には悪い奴がいるよな。こういう看板が立っているということは、誰かが以前森に火をつけたってことだ。嘆かわしい」 恭也は立て看板を引っこ抜くとバキバキに小さく砕いて火がつきやすいようにした。 「よーし、みんな。いい種火の素材を見つけたぞ。作戦に取り掛かれ!」 彼は、兵士を100人づつに10班に分けて森に潜入していた。見つからないように火計に取り掛かる。それだけの数をただ火をつけるためだけに投入したのだ。抜かりはなかった。 「熱っつあつのローストビーフしてやんよ」 彼自身も、単独で光学迷彩で姿を消してイコンアビリティ【ストライダー】の移動力を生かし、一番奥からファイアーストームで焼いていく。 炎は見る見るうちに燃え広がり始めた。 「くははっ、楽しみだなぁおい。派手に燃えるといいな?」 恭也はとても楽しそうに、森の奥へと入っていく。 と……。 先ほど通りすぎていった張飛軍の後ろから、もう一部隊敵軍団がやってくるのが見えて、彼は思わず木陰に隠れた。いや、透明にはなっているのだが、なんだかとっさに。 「まあ、誰ですかぁ、森に火をつけたのは……!」 張飛軍団のインパクトに隠れて目立たなかったが、佐野ルーシェリア率いる軍団も進撃してきていた。 影から敵を奇襲してやるつもりが、奇襲されているのに気付いたルーシェリアは、森の所々が燃え始めているのに目をやって驚く。 「むっ……。あの軍勢ですわねぇ、悪い人たちは……」 ルーシェリアは黙々と放火作業を続ける恭也の部隊を目ざとく見つけて、キッと眉根を吊り上げた。 「やっつけてしまいましょう!」 彼女の号令で、3000の軍勢が恭也の部隊に襲い掛かる。 「……しまった!」 恭也は放火活動を中止し、すぐさま自分の軍勢の元へと取って返した。。 「ええい、負けてたまるか! 張飛翼徳相手に正攻法とかあり得ないから! 空気くらい読めよ!」 指揮を取り反撃に転ずるも、兵力を分散させている上に、放火以外の対策は大して立てていなかったので、部隊はどんどんやられていく。 「せっかくの戦争なんだ! 楽しもうぜ!」 炎を撒き散らしながら笑う恭也。 彼とその部隊は、いよいよ危なくなってほうほうの体で逃げ出すまで放火活動をやめなかったと言う……。 ▼恭也軍団:1000→500 |
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