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プロローグ 闇に潜む者達
古代呪術研究所。
それは遥か昔に何らかの原因で廃墟と化した遺跡であるという。
残された器具、資料などから呪術研究所であったとされているが、実際にどうであったかは不明だ。
しかし、遺跡の中を歩き回る醜悪な怪物達の姿は、この施設の中で何らかの邪悪な実験が行われていた事を示唆していた。
「……しかし、本当に来るのでしょうか」
その遺跡の中で、黒いローブを目深に被った男が何者かに話しかける。
そこには、複数の男達と。
その男達に守られるように中央に位置する少女の姿。
男達の前には、複数の怪物達の死骸が積み重なっている。
どうやら、怪物達は彼等にも襲い掛かっているようだ。
「……来る、わ。シェヘラは、そういう人、よ」
男の言葉に答えたのは、プリンセスカルテットの呪術姫、シェヘラザードと同じくらいの年に見える少女。
しかし、男達の様子から判断するに、少女はかなり高い地位にあるように見える。
「来たとして……どうされるのですか」
別の男の言葉に、少女は答えない。
目を閉じて、何事かを考えているようにも見える。
「そもそも、あのガルデとかいう男……信用できるようには思えませぬ」
「恐れながら、私もそう思います。我々にない知識があるのは認めますが……」
「長は、あの男の甘言に惑わされておられるのでは……」
口々に出てくる不満に、少女は小さく、しかしハッキリとした声で口にする。
「口を……慎みなさい……今回の、決定は……長を中心とした協議で……決まった、事……よ」
まだ不満の消えぬ様子の男達を見て、少女は小さな笑いを漏らす。
「……その忠義、嬉しく思う……わ。だから、私……に、ついてきな……さい」
言って少女が杖を振るうと、近づいてきていた怪物が一体呪殺されて床に倒れ伏す。
「仰せのままに……ドニアザード様」
頭を垂れる男達を従えて、少女は妖しく微笑む。
少女の名はドニアザード・アズラーン。
シェヘラザードの幼馴染であり……今は、敵対する仲である。
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